未曾有の国難・東日本大震災の対応に日夜取り組まれる国・政府の皆様に、心より感謝申し上げます。
この度私たちNPO法人高齢社会をよくする女性の会では、被災地の会員・グループ会員からの声を踏まえ、とくに女性・高齢者の立場から、今後の支援・復興政策に必要と思われる要望をまとめました。今後の政策に取り入れてくださいますようお願い申し上げます。
防災・被災に取り組む女性の姿があまりにも少な過ぎます。もっと女性の目と耳と姿を。高齢化がすすむ地域では、人口自体女性が多いのです。国はじめ自治体職員にも、地域リーダーにも、専門家にも、女性の姿が見えません。
国は2020年までにあらゆる指導的分野に女性30%を打ち出しています。防災のように、生活を基盤とした対策にはとくに女性の力が必要です。防災会議に女性ゼロ県(現在13県)をなくすことは当然ですが、今回の災害を受けて即刻30%に引き上げてください。内閣府男女共同参画局が、女性の視点を重んじるよう各自治体に依頼(3月16日付)したことは適切であり、今後とも国の責任で的確な依頼をお願いします。一方、もし現地の防災担当者・リーダーに、女性・高齢者・障がい者等が含まれていれば、依頼がなくても女性等の視点から即、行動できるはずです。
被災時の「食」で最も望まれるのは、温かいもの、温かい水分のあるものです。現在は火がなくても加熱できる食品もあります。食料備蓄の内容も、女性・高齢者・妊産婦・子どもの目が加われば、変化し多様性が加わると思います。
国・自治体の防災会議・防災関連委員会さらに避難所運営にいたるまで必要なのは、性別、年代別(できれば10代から10年ごと)の全員参加型組織です。性別・年代によってそれぞれ災害時の問題が異なります。女性比率は当然50%になります。この構成を土台とした防災グループを常時地域ごとに設けることは、訓練、会議などで顔を合わせることを通してそのまま全員参加の地域づくりにつながります。
女性・高齢者・子どもは「災害弱者」とは限りません。現地の生活は女性とくに中高年女性によって支えられていることを忘れないでください。その活動を見える化し、国・自治体・全国各地からの支援をお願いします。
民生・児童委員の女性比率はすでにほぼ半数に達し、被災当日27人のひとりぐらし高齢者の安否確認を徒歩で行なった会員(郡山)もいます。地域を支える中高年女性はじめ、青少年を含めて、地域のさまざまな役職者、活動団体などから女性リーダー育成につとめてください。
防災担当に女性の参画は、第1次男女共同参画基本計画に書き込まれ、第2次、第3次とさらにきめ細かく記述されています。しかしその間の中越大震災、今回の東日本大震災と、引き続く災害のなかで、女性の防災会議・消防団等への参画は一向に進捗した実感がありません。迅速におすすめくださるようお願い申し上げます。
すでに被災体験者である本会グループ会員、長岡老いを考える会(平石京会長)から女性被災支援ネット立ち上げの報告がきています。「食」というライフラインの確保は、どの被災地をとっても女性の手で確保されています。看護・介護も同様ですが、女性の存在とリーダーシップが欠落している分野もあります。全国的組織のみならず、分権型ネット、離れた地域同士のとびとびネットなど、民間の力を活かした柔軟な連携が必要です。女性の知恵で、蓄積された知恵を交換し増幅したいと存じます。もちろん政府の支援は大きな励ましとなります。
介護保険の運用はじめ厚生労働省が緊急対策をつぎつぎと打ち出していることに敬意を表します。今後の対策の中で以下のことを要望します。
介護施設などで入居高齢者を守ろうとして命を落とした職員に、心より哀悼と感謝の祈りを捧げます。
とくに介護職の賃金は十分といえず、非正規雇用者も少なくありません。弔慰金などが支給されるときは、世帯主であるか否かにかかわらず、また逸失利益にかかわらず、平等な一個の生命として扱われるようお願いします。
災害時に必要なのは1に人手、2に物資、3にカネ、ということがよく分かりました。医療・看護とともに介護職員は人間の生命を支えるライフラインの担い手です。この担い手が確保されないとき、高齢者・障がい者など多くの生命が失われます。
介護福祉士、ヘルパー1級・2級の有資格者で、現在その資格を生かして働いていない人は大勢います。大勢の中には、災害時には救援に駆けつけることができる人もいるでしょう。
介護職有資格者および看護師・保健師有資格者を、自衛隊予備役のように何段階かに分けて、非常呼集に応えるシステムをつくるよう提案します。介護福祉士会やヘルパーの協会など専門職組織がその責を担うよう期待しています。
介護職予備役には一定の研修が課せられ、これは今後急増する日本の介護需要に対応する備えともなります。
コミュニティ再生には、これまでの人間間関係を維持し、その中に医療・ケア(介護・保育)を必要とする人を包摂するものであってほしいと思います。
震災で大量の失業者が生じました。失業者を1人でも多く雇用し、社会の支え手とすることが大切です。ケアセンターの職員として、国・自治体は臨時的に介護職員養成のルートをつくり、人件費を支出し、研修しながら働ける道をひらいてください。
離職して避難生活が長期化する場合、そこで研修の場をひらく工夫をしてください。
働く男女と子ども自身の社会的成長のために、保育所は必要不可欠です。
ひとり暮らし高齢者の7〜8割は女性。被災時に要介護でなく、介護サービスにつながっていなかった独居者の孤立が目立ちます。要介護でなくても、歩いて重い水などを受け取りに行くことができません。被災がきっかけで一挙に要介護状態になる場合もあります。ひとり暮らしの人を孤立させない日ごろの対策を一層すすめてください。
介護保険制度に災害対応を入れる、新たな立法を行なうなど、災害時の高齢者介護に関する法制度を整える必要があります。
原発事故の緊急対応ののち、早急に日本のエネルギー対策を見直してください。私たちは電気がふんだんに使える生活を享受し、計画停電でさえどんなに不自由で 不安かを知りました。その電力の30%を原子力に負い、とくに東京都民は福島の 原発に依存していることも、あらためて認識しました。いまさら電気のない生活には戻れません。
しかし、私たち世代は今、国債の残高以上に大きなツケを子孫に回してしまったのです。新たに生まれる生命にとって、母親の身体自身が環境そのものです。悪影響は女性の体を通して次世代へ伝えられます。外国にも多大の迷惑をかけています。
これ以上、子孫に禍根を残すことのないよう、私たちもここで立ち止まって消費の あり方を見直したいと思います。国・供給側は原子力以外の多様な電源を開発し、新たなエネルギー政策を根本的に立て直してください。資料を公開し、その政策立案もまた男女共同参画で検討されるようお願い申し上げます。