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いのまた和雄の視察研修報告 2008年3月以前はこちらです。






文教委員会で、四条畷市を視察してきました
2011/11/6

四条畷市は「2学期制の試行」をやめて、全面的に3学期制に復帰した

2011年10月20日

 10月20日に、文教委員会の研修視察で、大阪府四条畷(しじょうなわて)市に行ってきました。
 今回の視察テーマは「学校の2学期制について」です。
 四条畷市は小学校7校、中学校4校があり、17年度から一部で2学期制を試行実施しましたが、21年度には全面的に「3学期制」に復帰しています。
 平成17年度  中学校1校で「2学期制」を“試行実施”
   18年度  全校で「2学期制検討委員会」を設置
   19年度  小学校1校で2学期制を試行実施
   20年度  4中学校全部で2学期制を試行実施
   21年度  全校で3学期制に復帰

 この間、18年度には全部の小中学校で、2学期制への移行を展望した「2学期制検討委員会」を立ち上げ、順次実施していく方向でしたが、20年度に教育委員会、教職員、保護者からなる「2学期制検証委員会」を立ち上げて、これまでの試行実施を踏まえて状況を分析した結果、12月に教育委員会として「2学期制の見直し、21年度からの3学期制復帰」の結論を出して、2学期制は全面的に廃止されました。

 当初2学期制を導入した目的は、そのメリットとして、次のようなことがあげられていました。
(1)終業式や始業式、長期休業前の半日授業などの回数を減らして、授業時間数を増やすことができる。
 前期、後期の期間が長くなるので学習プランが立てやすくなる。
(2)特に3学期制における7月、12月の“過密スケジュール”が解消され、ゆとりを持って授業が進められる。
 3学期制では年3回の評価に負われていたが、子どもたちの評価や懇談もゆとりを持ってできるようになる。
(3)学期が長くなることで、子どもの学習のようすを多面的に評価できるようになる。
 保護者らから指摘された心配については、通知表の回数が減ることについては、従来通りの個人成績カードを作成し、従来通りに夏休み前には懇談を持ち、さらに必要に応じて10月、3月にも懇談を行うことでよりきめ細かい指導ができると説明されていました。

「2学期制」は、子どもたちや保護者、現場の理解を得られなかった

 計画では、21年度には全面的に2学期制に移行して本格実施する方向でしたが、しかし現実的には、
(1)保護者に理解してもらうだけの客観的なデータが整わなかったこと
(2)試行実施した中学校において、当初に期待したほどの授業時数の確保ができなかった
(3)保護者の間からは、「1学期末試験や長期休業前の通知表がなくなって、学力の把握についての不安や疑問」「10月の前期末試験が、部活動の公式試合日程と重なり、テスト前の勉強についての不安」の声が増加した。
(4)古くから2学期制を採用している大学でさえ、9月の前期試験を7月に終了させ、後期の開始を10月から9月中旬にはやめ、後期の終了を2月下旬に変更する大学が多くなっている。
 これは、2学期制のメリットとして「長期の休みを学期の途中に位置付けて活かすことができる」とされているが、実際には困難であり、機能していないのではないか。
などの問題点が生じてきていました。

 また、2学期制の導入のそもそもの目的の一つに、年3回の評価と通知表の作成が2回に減ることによって、教師の負担軽減が図られるということがありましたが、現実には、保護者らの不安に答えるために、夏休み前にやっぱり一定の評価をせざるを得なくて、結局負担感はは同じで、むしろ夏休み前に試験をしないで評価しなければならないので、かえってたいへんだということもあったようです。

 これらの経過から、2学期制について、現場や、保護者・児童生徒の理解も得られたとは言えず、現場の声も「2学期制を積極的に推進していく」方向にはならなかったため、21年度から、2学期制を廃止し、全面的に3学期制に復帰するという結論になりました。

2学期制は子どもたちの生活実感に合っていない

 私たちの視察の際に、四条畷市教育長さんがあいさつを兼ねて説明をしてくださいましたが、その中で、次のような現場の実態をあげていました。

・日本の気候風土や生活習慣の中で、夏休み、冬休み、春休みと、子どもたちの1年間は生活実感として3つに分かれているが、2学期制はその生活実感に合っていない。
 2学期制では、体育の日の前後の3連休で学期が変わることになるが、その区切り目は実感しにくい。
・(中学校では)試験が年4回、通知表が2回となって、夏休み前には通知表を渡さないことになる。休み前の懇談はどうしても生活指導が中心にならざるを得ないで、成績についての指標が示されないことについて、保護者の不安や不満が大きくならざるを得ない。
 3学期制の時の1回の試験の範囲に比べて、2学期制ではどうしても定期テストの範囲が広くなって、子どもたちにとっても勉強しにくいことにならざるを得ない。

 最後に、3学期制で学校の授業期間が3回のかたまりになっているのは、日本の風土からしても、これで区切るのがいちばん自然ではないのか、と言われていました。

 私たちにはこれはいちばんしっくりする説明だったように思います。

久喜地区の2学期制も、同じ問題を抱えている

 久喜市では久喜地区(旧久喜市)の4中学校・10小学校だけが「2学期制」で、菖蒲、鷲宮、栗橋は「3学期制のままです。

 早期に“統一”する必要があり、今、「学期制検討委員会」が設置されて検討作業が行われています。
 しかし統一といっても、久喜地区以外では合併前から「3学期制」を守ってほしいという声が圧倒的で、旧久喜市の「2学期制」に統合されることに対して反対の声や警戒感が強いのが現実です。
 久喜地区でも「2学期制はやめて3学期制に戻してほしい」という声が根強くあります。

 旧久喜市において、2学期制が導入されたのは、議会や保護者の間での議論もなく、教育委員会で突然決定されて、「来年度から2学期制に移行します」という結論だけが唐突に押し付けられました。

 夏休みで子どもたちの学習が途切れてしまうのではないかという疑問に対しては、『7月までの学習を夏休み中に継続して、弱点を補い、夏休み明けの学習につなげていくことができる』と説明されていました。
 しかし現実には、結局はほとんどの子どもたちにとっては夏休みで学習が途切れて、いわば“リセット”されてしまい、夏休み明けに7月までの到達点を取り戻すのがたいへんだという指摘もあります。

 また『サマースクールで夏休み中にも学習指導をするからだいじょうぶ』とも言われていましたが、実際にはサマースクールに通う子どもはほんの一部に過ぎませんでした。

 “2学期制のメリット”とされていたものが、子どもたちや保護者には実感されていない現実は、四条畷市とまったく同じだと言わざるをえません。
 久喜市(久喜地区)においても、早期に3学期制に復帰すべきだと考えます。

浜岡原発見学ツアーに参加してきました
2011/7/21

 7月16、17日、静岡県の浜岡原発見学ツアーに参加してきました。

 今回のツアーは、反原発自治体議員・市民連盟とたんぽぽ舎の共催で約80名が参加しました。
 「反原発自治体議員・市民連盟」は5月に結成されたばかりの全国の自治体議員と市民の「反原発」の共闘組織です。
 16日の朝9時ごろに品川駅前からバスで出発し、当日の午後に静岡市内で開催された浜岡原発の廃炉をめざす集会(講演会)に参加スル予定でしたが、中央高速の事故で大幅に遅れて静岡市に到着したのは午後3時半ごろで、講演会の最後の1時間くらいを聞くことができました。
 講師は最近あちこちに引っぱりだこの石橋克彦氏、1997年に初めて「原発震災」の可能性と危険性をしてきた歴史地震学者です。

石橋克彦氏の講演で印象に残ったお話し

 3.11の福島原発の大事校は自然災害ではなく、原発震災の警告を無視し続けてきた東電と政府による人災であり、事故の原因も「津波による電源喪失」ではなくて、地震動そのものによる原子炉破壊と冷却材喪失であること

 原発の安全性は「止める、冷やす、閉じこめる」機能によって確保されるが、福島原発事故は、そのいずれの機能も破綻したのであるから、これまでの安全基準そのものを問い直さなければならないこと

 1964年の原発立地指針では「大きな事故の原因となるような事象が過去になかったこと、将来においても考えられないこと」としていたのであるが、三陸沖で(日本中で)今回のマグニチュード9に匹敵する大規模な地震が過去においてあったことが明らかなのだから、福島原発ばかりか、日本中の原発がその立地指針に反していること

 (1)原発の安全性は、莫大な放射能故に、他の施設より格段に高くなければならない、(2)ところが原発は完成された技術ではない、(3)一方、地震は本気を出すと本当に恐ろしい、(4)しかし人間の地震現象に関する理解はまだ不十分で、予測できないことがたくさんある、したがって、地震列島に54基もの原発を並べるのはきわめて危険であり、すぐにやめるべきだ

 浜岡原発は活断層の上に立っていると指摘されているが、それ以上に、太平洋プレートとユーラシアプレートとフィリピン海プレートの3つのプレートの境界線上に位置しているから、近い将来に確実に予想されている東海地震、東南海地震の震源域のあるので、最も危険な原発である

 17日の朝に静岡市内のホテルを出発して御前崎市の浜岡原発現地へ向かいました。
 2時間くらいで到着して、浜岡原発の隣接地にある「原子力館」を見学しました。
 原子炉の実物大模型の前には、「5重の壁に守られた原子力発電所の安全性」を強調する説明がありましたが、これがまさに原発の安全神話そのものであり、いまでにそれをそのまま掲げ続けていることに、驚きを禁じ得ませんでした。
 6階の展望台から浜岡原発の全景を見ましたが、海岸線がすぐそこで、地震…津波の被害の可能性をこれまで「想定」さえしてこなかった、はっきり言えば無視してきたことがうかがい知れました。

 その後、海岸線に出て、海側から原発を臨みました。
 これまで高さ8mの防波堤と砂丘があるから津波や高波の被害を防止できると言ってきたのですが、それがいかに頼りないものであるかを実感しました。
 沖合100mには冷却水の取水口があるのですが、津波でその取水口自体が破壊されたらどうなるのでしょう。

原子力館の前にあった浜岡原発のの沿革 展望台から浜岡原発の全景
手前から1号機、…、5号機と並ぶ
海岸線から5号機を臨む。すぐ左は遠州灘
 浜岡原発は、1号機(76年運転開始)と5号機(78年同)が、老朽化を理由として2年目に運転を終了し、廃炉が決定しています。
 3号機、4号機、5号機は、管首相の決断によって運転を中止して、これから海側に防波堤を建設して2〜3年後の運転再開を予定していますが、東海地震の震源域の真ん中に位置することを考えれば、直ちに廃炉を決定して、そのための準備を開始するべきだと考えます。
右の写真は原子炉の実物大模型。

原発は核燃料を「五重の壁」で囲んで、安全性を守っているという説明が、今は白々しい
第1の壁:ウラン燃料を焼き固めたペレット
第2の壁:丈夫な金属(ジルコニウム)の被覆管
第3の壁:厚さ約15センチの金属製の原子炉圧力容器
第4の壁:厚さ約3センチの鋼鉄製の原子炉格納容器
第5の壁:厚さ1メートル以上の鉄筋コンクリート製の原子炉建屋(たてや)

福島原発では、そのすべてが役に立たなかったわけだ

久喜宮代衛生議会の視察研修、上田市のごみ減量化の取り組み
2011/7/9

 7月4日、5日に久喜宮代衛生組合議会の研修視察が行われました。

【長野県上田市のごみ処理行政「エコハウス」 7月4日】

 上田市は2006年に1市2町1村で合併、現在の人口約16万人で、ごみ処理手数料やごみ処理方式については2008年に旧上田市の方式で統一されました。

 ごみ収集は「燃やせるごみ」「プラスチック製容器包装に限定したプラスチック・ビニルごみ」「燃やせないごみ」を週2回、収集は全面的に民間業者に委託されています。

 ごみ出しは「指定袋に個人名を記入」が義務付けられていて、袋は有料です。
 袋の代金だけでなく、ごみ処理費用の一部を市民に負担させているために、かなり高く設定されていて、たとえば燃やせるごみの袋は小(10リットル)10枚250円、中(20リットル)350円、大(30リットル)500円などとなっています。

 分別を厳しく指導していますが、有料袋でごみ出しをしているので、分別していないごみでも、あるいは指定袋以外のごみでも、民間収集業者はどんどん収集車に放り込んでしまう、シールを貼って集積所に残してきた場合には市の担当職員が現場へ行って指導していますが、結局は収集せざるを得ないという説明でした。
 現実には、残されていったごみを住民が自分の有料袋を使って仕分けするわけにはいかないという事情もあるようです。

 全体として、上田市のごみ排出量は大幅な減量が続いています。
 燃やせるごみは5年間で15.6%の減量…事業系の腰は搬入禁止、剪定枝木類は再資源化
 燃やせないごみは6.4%の減量…指定袋化と排出方法の統一による
 資源物回収も5年間で15.9%の減量になっていますが、景気の低迷や消費の減退のよるのではないかと説明されていました。

 視察目的である「リサイクル活動拠点施設=エコハウス」は焼却施設の上田クリーンセンターの敷地内に建てられていて、市民が気軽に立ち寄ってごみの減量やリサイクルについての学習、体験をする場で、管理運営はボランティア団体「エコサポート21」が行っており、全面的に自主的な運営に委ねられています。
 講演会や勉強会、不要品再生に関わる講座、不用品交換事業などを行っています。


 特にエコハウスの独自の取り組みである「わくわくボックス・ぱっくん(堆肥化基材)」はたいへん興味深いものでした。
 ピートモス、もみ殻くん炭を混ぜたもので、これをダンボール箱に入れておいて、生ごみを投入し、毎日よく撹拌していると、微生物の働きで分解発酵して3か月くらいで堆肥(土壌改良材)ができあがるといいます。

 全国で(久喜でも)家庭などでEM菌などを使っての生ごみ堆肥化、また電気式の生ごみ処理機におる堆肥化も取り組まれており、久喜宮代衛生組合ではモデル地区でHDM菌を使った大規模な生ごみ消滅・堆肥化施設が稼働していますが、上田市の「ぱっくん」は外部から菌を加えないで生ごみだけから堆肥化するというものです。

 ぱっくんは20リットル400円で販売していて、市民には市から半額補助があります。

 私も1袋を買ってきて、さっそく自宅で実験を開始しましたが、さてうまくいくかどうか…。

上田市のホームページ「ぱっくん」


市役所のシュレッダーごみをトイレットペーパーに再生
政策会議で、桐生市役所の視察(1月17日)

2011/1/23

 1月17日、政策会議の会派研修視察で桐生市へ行ってきました。
 視察目的は「全自動パーパーマシン・ホワイトゴート」と名付けられた、廃棄紙ごみからトイレットペーパーを作る機械です。
 ちなみにホワイトゴートというのは“白やぎ”さんのことです。

 桐生市内の企業が開発して、平成21年9月に市役所玄関ロビーに第1号が設置されました。

 今どき、雑紙をリサイクルするというのはあたりまえになっています。
 しかしこちらは、市役所の中に設置した機械でトイレットペーパーが次々と生産されて、それを市民が自由に持っていっていいという仕組みで、これは全国でもここだけです。

 本体価格は900万円、他に専用シュレッダーや電源工事に100万円ほどがかかっています。
 メンテナンス費用が月額33000円、光熱水費月額15万円(ほとんど電気代)です。

 市役所の職員が毎朝、1日分のシュレッダーごみ約7sと水を投入するだけで、あとは全自動運転で30分に1この割でトイレットペーパーが下の穴から転がり出てきます。
 仕組みは至って簡単で、要するに不要になったコピー用紙をシュレッダーにかけて細かくしたくずを水に溶かして薄くのばしてトイレットペーパーにして出てくるというものです。
 この機械のわきには、シュレッダーごみが紙袋にいっぱい詰め込まれて10袋くらいも積まれていて、処理を待っていました。

 紙を水に溶かしてトイレットペーパーにする過程で、薬品を使うわけでもなく、漂白もしていませんから、下の写真にあるとおり、出てきたロールは、原料の紙のインクの色が残って、青みがかっていたり、赤みがかっていたり、それがかえって新鮮でもあり、環境に害を与えない安全性すら感じさせます。

 行政では毎日毎日、個人情報の書かれた紙ごみがシュレッダーにかけられて廃棄(ほとんどは焼却)されていますが、桐生市役所では今のところ、その内8分の1くらいをこの「ホワイトゴート」で処理しているそうです。
 残りは焼却されているということで、それらがすべてトイレットペーパーに再生されることになれば、それだけ環境負荷を減らすことができることになります。

 私たちが見ている前で、ホワイトゴートの横に開けられた穴からトイレットペーパーが1つころんと転がり出てきて、そばで待っていた市民の方がすぐに持って帰っていました。
 その方のお話では、「この紙はとっても評判がよくて、すぐになくなってしまうんです」と言われていました。
 30分に1こで24時間自動運転ですから、1日48箇、朝には20こ以上のトイレットペーパーが箱の中にたまっていて、市民が持ち帰っていくそうです。

 久喜市役所から排出される紙ごみ、特に個人情報の入ったコピー用紙は、すべてシュレッダーにかけられて焼却か溶融処理されてしまっています。
 桐生市と同じように、久喜市役所のロビーにこのホワイトゴートを設置して、トイレットペーパーに再生して、市民のみなさんに還元したらいいと思うのですが、いかがでしょうか。


埼玉県の「生活保護受給者チャレンジ支援事業」を視察してきました
2010/11/22

11月15日、近隣の地方議員や市民で作っている「地方政治改革ネット」の仲間たち11人で、「アスポート越谷」を視察してきました。

【アスポート越谷】 生活保護受給者に対する就労・住宅支援を一体的に推進

 「アスポート」は、埼玉県が実施している「生活保護受給者チャレンジ支援事業」で、生活保護受給者に対する就労支援、住宅支援、子どもの教育支援を行っています。
 県東部地区では、今年9月から、越谷駅西口から徒歩5分くらい、越谷市役所手前のビル2階に開設されていて、ここの他、川口、所沢、上尾の県内4か所に設置されています。

 実際に事業を進めているのは、就労支援部門はワーカーズコープ、住宅支援、教育支援はNPOなどが受託し、それぞれの事業の“支援員”は緊急雇用対策補助金を活用して、失業者から募集して採用し、これ自体が雇用対策にもなっています。
 就労支援の支援員は全部で49人、その内40名が失業者からの新規採用者、住宅支援の“住宅ソーシャルワーカー”が支援員43名、東部地区では就労支援の支援員は11名、住宅支援は10名です。

就労支援は〜〜1人1人に寄り添って、「就職率100%近い」成果

 埼玉県の生活保護世帯は5万世帯を超えていますが、その内、就労可能世帯といわれるものが1割近く、20〜40代の離職者が世帯主である世帯が約3000世帯です。

 何度も面接に行っても断られ続け、失業が長期化していくと、自分で仕事を探して採用にまでこぎつけることがむずかしく、意欲も衰えていくと言われます。
 自力では新たな就労が困難であり、行政などからのより強力な支援が必要ですが、そのために、生活保護世帯に対して、アスポートの支援員が面接を続けながら個々に指導・支援して1人1人の希望や適正に応じた職業訓練の受講を勧め、その後も就職活動をいっしょに行っていって企業選びや面接の指導なども行います。

 県全体では、福祉事務所のケースワーカーなどから400世帯が紹介され、面接相談1197件、生活保護世帯への訪問相談209件で、支援員がそれぞれ1日平均3件の相談を受けていることになります。(9、10月の2か月間の実績)

 さらにハローワークへの同行101件を経て、職業訓練校への入校指導、採用面接指導、就労決定待ちなど30人が就労へ向けてサポートを受けています。

 久喜市にも“ふるさとハローワーク”の相談窓口が開設されていますが、相談に来た人の中で就職決定までこぎ着けた人は5%に過ぎません。
 それに対して、アスポートが9月に開設してからわずか2か月間で、地域の福祉事務所から紹介されて就労支援を受けている400人の内、すでに30人が職業訓練や就労決定に至っているそうです。
 特徴的なのは、アスポートの“支援員”の方々も、つい2か月前まで同じ失業者であって、体験者であるからこそ生活保護受給者の立場に立って、より実践的なきめ細かい支援ができると言えそうです。

住宅支援〜〜無料低額宿泊所からアパートへの移行

 路上生活社や住居がなくて生活保護を受給すると、多くが無料低額宿泊所に入ることになり、県内で36か所、2000人余りが暮らしていますが、食事代などを含めて1人あたり月に平均13万円弱もかかっています。
 そうした生活を続けている内に、社会性も失われ、就労などにも結びつかないで長期化する傾向にあります。

 そこで、本人の同意を得て、民間アパートに入居させ、地域で安定した生活が送れるように支援しています。

 久喜市ではケースワーカーが9名で、生活保護世帯が800世帯を超えていますから、1人が90件くらいを担当している計算です。
 1人のケースワーカーが月に30世帯くらいを訪問していますが、お年寄りや長期入院の人などは年に1〜2回の訪問、就労可能世帯へは毎月訪問しているそうですが、生活保護を受けている人がその状態から抜け出して就労していけるまでの、きめ細かな指導はむずかしいのが現状です。

 また、行政の生活保護者対策はどうしてもタテワリになりがちですが、アスポートの活動は、就労可能な人に対しては1人1人に寄り添った形での就労支援を行いながら、同時に住宅支援を結びつけて一体になって、その人の生活全体への支援を進めていくことで、成果をあげていけるのではないでしょうか。

 ⇒久喜市の生活保護受給者、ハローワークの現状はどうなっているか

【視察報告】 駒ヶ根市の市立図書館、市文化財団に指定管理
2010/11/4

 文教委員会の研修視察、11月2日は駒ヶ根市の市立図書館を訪れました。

2010年11月2日

駒ヶ根市の市立図書館に学ぶところは多い ⇒写真はこちら

 駒ヶ根市総合文化センターの中に、文化会館、勤労青少年ホーム、女性館、市立図書館、博物館が併設されていて、昭和61年から文化会館、勤労青少年ホーム、女性館の管理運営とセンター全体の施設管理を文化財団に委託、その後、図書館と博物館の運営を文化財団に委託してきており、平成18年度から文化センター全体の管理運営を文化財団に指定管理としました。

 したがって、市立図書館の指定管理といっても、平成15年の地方自治法の改正後によって指定管理の検討を始めたというわけではなく、それまでのセンターの施設管理委託、図書館の運営委託を自然に引き継ぐ形で、それまでの委託先である文化財団に“非公募・随意指定”で指定管理に移行してきたといえます。
 財団法人駒ヶ根市文化財団は市の100%出資法人です。

 文化財団の事務局長である市の文化係長がおもに説明してくれましたが、その中では、指定管理に求められるものは競争原理と経済効率性であるが、こうした教育施設・文化施設においては市民サービスの達成向上が大前提であり、経費削減は追求しにくい、ましてや「無料の原則」に貫かれた公共図書館については指定管理になじまないのではないかという問題意識が示されました。

 駒ヶ根市の場合は、文化センターが市の100%出資の公益法人であり、理事会や事務局についても市と事実上一体となった運営をしているため、長期的な施策展開、運営方針の安定、事業の継続性が保障されている、随意契約とすることによって職員の安定的雇用が保障されていることなどが、“文化財団への指定管理”のメリットとして強調されました。

 駒ヶ根市立図書館の指定管理についてはいくつかの特徴があります。

・市民の学習権を保障する機関であり、市が経費のほとんどを負担すべき事業であって、市況においてサービスの目標を明示する。
・図書等の資料購入費は市の直接予算として措置し、資料の選定などは市教委が責任を負い、その指示によって資料の受け入れを行う。
 毎年1200万円の図書購入費を確保し、指定管理料に含めて措置する
・市民の思想信条に触れる可能性があるコンピュータのリース料は、市の直接予算で措置する。
・人件費は指定管理料に含めず、財団への補助金として交付する。
・管理運営費は実費弁償として、毎会計年度末に精算する。

 これらからして、駒ヶ根市の場合、指定管理という形をとってはいるものの、「市直営と実質的に変わらない」と言えます。

7人の職員の内の6人が司書

 図書館事業はたいへん先進的なものでした。

(1)図書館職員は8人は全員が常勤職員で、その内6人が司書で、専門職としての司書の安定的雇用を保障して、高いモチベーションを維持しています。
 他に、合併前の旧村にある2つの分館に1人ずつの非常勤職員(会館は平日の午後だけ)、小中学校図書館の司書7名も図書館職員の位置付け(常勤5名、非常勤2名)となっており、小中学校7校に派遣しています。

図書購入費、蔵書冊数、貸出し冊数、どれをとってもすごい!

(2)図書貸出し冊数は平成15年度の16万冊(1人あたり4.83冊)から、21年度20万冊超(1人あたり5.91冊)と年々増加し続けています。←→久喜は1人あたり《3.61冊》

 この基礎になっているものは何と言っても図書購入費の水準です。
 図書購入費は平成15年度の1460万円から、21年度は1280万円まで漸減傾向にありますが、それでもなお市民1人あたり360円の高い水準を維持しています。←→久喜は1人あたり《56円》
 その結果として当然のことながら蔵書冊数も増え続けており、14万冊から21年度は16万冊超、1人あたりでは21年度4.83冊となっています。←→久喜は1人あたり《2.80冊》
 いずれの数値をとっても、久喜市に比べて、図書館行政にかける力と財政の大きさがわかります。

 図書館は貸本屋さんとは違いますから、貸し出し冊数が多いというのは、町の最近の書店のように単に市民や子どもに喜ばれる本を多く買っているということではありません。 たとえば受け入れ雑誌の一覧を見ても、一般の雑誌が80誌の他、郷土雑誌が6誌、児童雑誌が17誌、さらに新聞では全国紙7紙の他、地方紙6紙、専門紙3紙(週刊読書人、『不登校新聞』)など、市民の知的欲求に応えるという思想に基づいての図書館方針が見て取れます。

図書館事業推進の基本的思想と子どもの読書推進の取り組み

 図書館の運営基本方針では、
・図書資料の充実は当然のこととして、
・レファレンスやリクエスト・予約サービスを充実して「市民の求める情報や資料を適格に速やかに提供する」、
・豊かな感性を育む児童サービスの充実
 ブックスタート、セカンドブック、ブックトーク、読み聞かせやお話し会、
 保育園への図書巡回サービスでは、13保育園*50冊(=650冊)を定期的に巡回して、子ども読書活動を活発に展開

 学校図書館に司書を派遣して、その連携を強め、人事交流も実施しています。

 こうした活動の結果として、貸し出し冊数の多さ、しかもそれが増え続けているということができます。
 また駒ヶ根市では平成19年に「駒ヶ根子ども読書活動推進計画」を策定し、“こまがねっこ 読育(よみいく)ぷらん”として実施しています。
 その中に、「子どもたちが幼いときから本に親しむ習慣が身につくように、日常生活の中で子どもが本を好きになる…」という一節があり、心惹かれました。

【視察報告】 松本市の学校給食センターにおける、地産地消と食育、アレルギー対応給食
2010/11/4

 文教委員会で研修視察を行い、11月1日に長野県松本市、2日には駒ヶ根市へ行ってきました。

2010年11月1日

松本市の学校給食センター、地産地消と食育、アレルギー対応給食の取り組み ⇒こちらもどうぞ

 松本市は周辺町村との合併で大きくなってきた市で、旧松本市で2つの給食センター、合併した町や村にあった給食センター、他に10の小中学校が自校調理方式で給食を実施していて、自校調理方式の中の1か所だけが調理を民間委託している他は、すべて市の直営で、当然、栄養士や調理員も市の職員です。

 合併前から給食センター、自校調理方式の学校ごとに給食費も給食実施日数も異なっていますが、今のところ統一の予定はないとのことでした。

 合併して同じ市内の子どもたちの給食は、せめて給食費や献立は統一の方向をめざすのが自然ではないかと思って聞いてみたところ、現場の栄養士さんは、
 「それぞれの合併前の市町村で、献立も工夫したり地元産の食材を使うなどして特徴ある給食を実施してきたので、それを引き継いでいこうという意識が強いのではないか。
 給食費も地元の安全なおいしいものを提供しているのだから高くてもいいという意見もある」
と説明してくれました。

 実際、センター給食では副食は3品が基本ですが、自校調理方式の学校ではもっと多い学校もあるということで、これをむりに統一するよりも、地域の特徴を行かした方がいいというのも納得できました。 

直営、大規模の給食センター

 私たちが視察したのは、東部学校給食センターです。
 ここは小学校11校、中学校6校、合わせて8000食の給食を調理している大規模センターで、ここに栄養士5人、調理員57人(常勤20、嘱託22、臨時15)が働いています。

 これほどの大規模なセンターにもかかわらず、食材搬入が7時半、調理スタートが8時半、「味見スタート」が10時40分、それから最後の味の調整をして、コンテナに積み込んで搬送開始が11時半、それぞれの学校へは10〜25分で配送できるとのことでした。

 調理開始も搬送開始も、久喜の給食センターよりも1時間は遅く組まれているわけで、これは子どもたちに“できたて”を届けるためにぎりぎりの調理時間となっています。
 ひるがえって見てみれば、久喜の場合は、配送トラックは給食センターを10時半には出発していますから、せっかくの給食がそれだけ冷めてしまうことになります。 

基本はできるだけ地元産の食材を使って、地産地消を推進

・お米は100%松本産(コシヒカリ、ヒトメボレ)…米飯給食は週4回
・月1回程度、梓川(市内)の発芽玄米を使用
・牛乳は県内産を松本市内の工場で加工し、ビンで提供…紙パックよりも安価で環境にも配慮
・野菜や肉類、卵は松本産をおもに使用し、松本産が手に入らないときは県内産、国産と範囲を広げていく
・加工品も素材や産地がわかっている安全なものを使用し、その原材料もできる限り松本産(または県内産)を使用
・豆腐や油揚げは県内産大豆100%…豆腐屋さんが減農薬で給食用大豆の栽培から手がけている
・果物は、旬に対応して県内産を多く使用

 加工品などを使用する場合にも、加工業者に対して材料や製造方法を指定して給食センターの特別仕様での製品を作ってもらう、たとえばハンバーグを発注する場合、乳製品を使わない、県内産の肉を使ってもらっているということでした。

 野菜の一部については、ニンジンや「松本一本ネギ」などをJAとの契約栽培で仕入れており、その中でできるだけ農薬を減らしてもらう取り組みもしていますが、全体的には特に“無農薬・減農薬”を指定しているわけではありません。

 こうした取り組みによって、地場産食材の使用率は米なども入れた重量換算で70%くらいではないかと言っていました。

 なお、久喜の場合、地元産の野菜は無(減)農薬・特別栽培野菜を使用していて、私たちはそれ以外の野菜についても久喜産や県内産を優先するように求めているのですが、それ以外のものについては地産地消に関係なく全農食品を通じて仕入れているのが現実です。

 「食育」は、子どもたちに知らせることから

 学校での食育指導は、学校からの要請に応じて年に1回(学校によっては何時間もかけている)、栄養士と調理員が4人1組になって学校を訪問して子どもたちいっしょに食べていて、その前後の時間や授業を使って子どもたちとの話しをしているそうです。

 また献立表と別に、写真入りのニュースを作って配布しています。
 栄養士さんは、
 「食材や調理の工夫について、何も知らせないでいると、出てきた給食を食べてそれで終わってしまう。たとえば郷土食の「松本丼」だったら、材料は何と何が入っているとしっかりと伝えないといけない」
 「センターで煮干しの頭とはらわたを取る作業のことや、あく取りのことなどをちゃんと知らせていくことを大切に考えたい」
と話していらっしゃいました。

 きめ細かな「アレルギー対応給食」を提供

 「松本市学校給食アレルギー対応食提供事業実施要綱」に基づいて、きめ細かいていねいな対応をしていて、これは全国的にも最も“先進的”と言えるかもしれません。

 4つのセンター、10の自校調理方式の学校給食で、全部で2万食を提供していますが、市内でアレルギーを持つ児童・生徒は約600人と推計されていますが、その内、、保護者の意向調査や申請に基づいて140人の子どもたちに「アレルギー対応給食」を実施しています。

 対応している食品は、卵、乳製品、肉類、魚介類、そばを除く穀類、大豆製品、野菜、果物、意盛る時、油、食品添加物など、多くの食材に対応しています。

 一般の献立作成と同時にアレルギーを除去した献立(個人別メニューカード)を作成して、学校、保護者、給食センターで協議・共通認識を持ち、個人別に一つ一つの食品の代替食を作っています。

・給食センターには一般の調理室とは別に、独立の「アレルギー調理室」が設置され、食材が混じらないように細心の注意をして調理
・他の子どもたちと別のおかずではなく、できるだけ見た目も内容も同じようなおかずとして提供する 

たとえば、

・加工品の小龍包 → 菜種油を使わない「手作り小龍包風」
・スパゲッティ → ビーフンやマカロニで代替
・コーンポタージュ → 乳製品を除去
・オムレツ → 卵をカボチャに変えて「カボチャのオムレツ風」
・給食は個人別の専用ランチジャーに入れ、個人カード、チェック表を付けて搬送する
・センターの複数の栄養士、担任の教師による確認、返送されてきたジャーやチェック表を確認

 8000食もの学校給食を提供する大規模センターですが、5人の栄養士さんを中心に、献立作成、調理体制、地産地消と食育の取り組み、アレルギー対応給食と、1人1人の子どもたちを大切にした給食を作っていることを、感じさせられました。

研修報告
2010/9/6

 8月28日、29日の2日間、静岡市で開催された「みんなで創る、私たちの自治 全国政策研究会」に参加してきました。
 主催は自治体議員政策情報センター・虹とみどりです。
 かかった費用は、研修会参加費5000円、宿泊費8500円、交通費12600円で、合計26100円で、政務調査費から支出しました。

【8月28日】

1.講演会「新しい公共は未来を開けるか? 〜地域から考える新しい公共とは〜」
    講師:根本祐二 東洋大学経済学部教授

 高い質の豊かな公共サービスを受けたいという市民の要求、財政の肥大化を避けようという行政の側の意志、いわば、「豊かな公共」と「小さな政府」という相反する2つの要請がある。
その矛盾を解決するために、“新しい公共”は、公民連携(PPP=パブリック・プライベート・パートナーシップ)の手法によって、個々のケースごとに、官・民・市民の役割分担を通じて社会的な費用対効果を最大化する方法と位置づけられる。

 新しい公共を、ペストフの三角形(公共のトライアングル)によって、政府、市場、地域のセクターの連携と位置づけるが、特に、市民の立場から考えるとき、政府と市場のセクターが、「地域」セクターとの連携パートナーシップを以下に作っていくかという問題が重要である。

(1)地域セクターが公式のハードルを越えるケース
     にしすがも創造社、千葉市少年自然の家
(2)政府が公式のハードルを下げて、地域セクターを呼び込むケース
     道路里親制度、ボランティアの活用←ボランティア保険を負担
(3)市場が公式のハードルを下げて、地域セクターを活用するケース
     神戸コミュニティクレジット
(4)市場のセクターが非営利活動を行うケース
     非営利型株式会社、千代田区で区有財産をNPOベンチャーに賃貸して産業振興

 こうしたケースを拡大していく際、民営化自体がいけないというイデオロギーにしばられる必要はない、民営化しても契約で制約できるという立場である。

 ただし、以下のようなケースは似て非なるものであり、排除する。
 不透明な癒着・談合、単なる仲良しクラブ
 守られなくても仕方ない口約束
 無償のボランティアの強要
 行政責任を果たさない民間へのマル投げ
 民間の安さだけを目的とした単なる下請け
 民間の知恵を発揮しようがない仕様の押し付け
 民間は儲かってはいけないという意識の押し付け
 特定の官・民・市民に対する利益誘導
 そもそも不必要な事業や過剰投資

2.分科会「市民自治と新しい公共」  報告者 福島浩彦(中央学院大学社会システム研究所教授・消費者町長官)

 福島氏の公共のトライアングルは、「地域セクター」がいかに政府・市場セクターをコントロールするかという視点から考える。

公共は「市民の公共」でなくてはならない。政府・行政は市民の公共を創るための道具である。
 従来の公共は、市民の意思と乖離した官が、一方的な決定権を持って公共を支配し、みずからの都合で民間に下請けに出してきたのに対して、「新しい公共」=市民の公共を実現するためには、市民・地域コミュニティを強化し、市民の政府を創ることが前提となる。
 新しい公共とは、市民と行政の対等なパートナーシップではなくて、市民の僕=パブリック・サーバントとしての行政を市民がコントロールすることである。

 我孫子市「提案型公共サービス民営化制度」…「コスト」でなくて「質」で民間へ移す。
 行政が出したいものではなくて、民間がやりたいものを民間へ移す、発想の転換が必要である。

 しかし実際には、職員の人件費と民間の人件費の差額で安上がりになるから指定管理に移しているだけであって、あるサービスをだれがやればいちばんいいサービスができるかという判断の基準でなければならない。
たとえば音楽ホールの運営は専門性、能力、ノウハウ、どの点を考えても民間がやった方がいいサービスになる。
 公共だから非効率でも仕方がないではなくて、公共性と効率性は同時に実現すべきである。
 
 学校の空き教室を他の行政目的に使おうとすると制約があるが、民間の視点からは、逆の発想が出てくるのではないか。
   ⇒コミュニティセンターがあって、その中に小学校、高齢者デイケア、学童保育、…、それぞれが間借りして使うという方法

3.分科会「新しい公共」と市民自治   報告者 日詰幸一(静岡大学人文学部法学科教授)

 平成22年6月4日に発表された「新しい公共宣言」を実現していくためには、市民が民主主義と自治を学場としての地域社会の成熟が必要である。

 行政には調整者ないしコーディネーターとしての力量形成が求められる。
 市民みずからが自治力を高める、サービスの権限、財源を含む環境整備が必要である。
 討議民主主義の取り組みを活用して、広範な市民の参加…無作為抽出による市民協議会の設置して、行政からの一方的な選任や公募型審議会に参加しない市民の意見を求める。

 千代田区「市民討議会」(2005年)
 三鷹市「基本計画改定に向けたまちづくりディスカッション」(2007年)
静岡市「Voice of しずおか市民討議会」(2008年)
埼玉県内では、川口市、飯能市で実施

【8月29日】

4.分科会「ゼロ・ウェイストへの道」  報告者 広瀬立成(町田市ゼロ・ウェイストの会)

 「ごみを作らない、燃やさない、埋め立てない」を理念として、2006年から「ごみゼロ市民会議」を組織した。
町田市民134名の市民委員が参加して、13の部会、チームに分かれて、1年間で280回の会議を重ねて、町田市のごみ減量運動に取り組んでいる。
2009年にはNPO法人「町田発・ゼロ・ウェイストの会」へ発展した。

《主な事業》
 戸建て住宅と集合住宅における生ごみ処理機の設置…公団住宅、都営住宅にも設置
 家庭生ごみ堆肥を利用したレタス栽培委託(長野県川上村)
 リサイクル広場・町田
 町田市内の耕作放棄地で、田んぼ再生プロジェクト
 お祭りやイベントでごみ分別・減量、リユース食器の導入
 リサイクル広場の開催

 町田市廃棄物減量等推進審議会で、「ごみをごみを作らない、燃やさない、埋め立てない」を確認、「生ごみの全量資源化、生ごみは自家処理を優先させる」方針を決定、「町田市ゼロ・ウェイスト宣言」をめざす。

《ゼロ・ウェイスト宣言》
  徳島県上勝町  2003年
  福岡県大木町  2008年
  熊本県水俣市  2009年
  神奈川県葉山町 2011〜2012年に予定
  東京都町田市  2012〜2014年に予定

 久喜宮代衛生組合も町田市に劣らない取り組みをしてきている。
 げんりょう(減量・原料)化大作戦、できるだけ燃やさない、生ごみ全量堆肥化の基本方針を、これからどう実現させていくか、大いに参考になる取り組みである。

会派・政策会議の視察研修の報告
2010/8/9

 8月2日と3日、久喜市議会・政策会議の7名で長野県・小諸市と群馬県前橋市に視察研修に行ってきました。

 前橋市の視察目的は公共交通政策で、市街地の中を走っている「コミュニティバス」(循環バス)と、農村部を走る「デマンドバス」の運行を視察しました。

 久喜市では7路線69便の循環バスが運行していて、平成20年度決算では、7路線で年間利用者数14万人、運賃収入は約1400万円、それを差し引いて市の支出は5500万円の運行委託料を支払っています。(22年度予算では運行委託料6700万です)。
 合併協議の中では、「公共交通機関をどのように新市において取り扱うか検討期間を設置して、廃止を含めた上で、合併後1年以内に検討します。」とされ、6月議会で公共交通検討委員会条例が可決されて、今後検討が進められることになっています。
 しかしこの「廃止を含めて」検討するという方針には、市民からは大きな反対の声が出ているのが現実であってむしろ運行本数の増を望む意見が強く出されていますし、旧3町地区にも循環バスを運行して欲しいという希望も寄せられています。
 鉄道を別にすれば、久喜地区でバス路線が東西の2路線だけという現状では、市民の移動手段は車に頼らざるを得ず、特にいわゆる“交通弱者”とされる人々にとって、公共交通の充実は緊急の課題と行って過言ではありません。

 前橋市では公共交通政策として、中心市街地における「コミュニティバス」(マイバス)と、過疎地域における「ふるさとバス」(デマンドバス)という2通りのバス運行を行っています。

【1】過疎地域における、前橋市ふるさとバス(デマンドバス)


パソコンが運行ルートを組み立てる
 前橋市に平成16年に合併した旧3村地区(周辺部の過疎地域)の路線バスが廃止されて、市民の足としての公共交通を確保するために、平成19年から「デマンドバス」の運行を開始しました。
 背景としては、全国有数の自家用車保有率 ←→ 公共交通の利用者の減少 ←→ バスの路線と本数の減少という悪循環、一方で高齢社会の進展の中で、『地域における需要に応じた住民の生活に必要な旅客輸送の確保…を図り』(前橋市地域公共交通会議設置要綱第1条)、地域に応じた公共交通サービスを提供することを、行政の責任として果たしてきたといえます。

 従来の1時間に1本しか運行しない定期運行の路線バスに補助金を支出するという選択肢もありましたが、実際の利用者は限られていることなどから、費用対効果はきわめて低いと考えれます。
 それに対して、デマンド方式は、需要がなければ走らない、1人1人のその都度の需要に合わせてルートを決定することから、定期路線バスに比べてはるかに“効率的”です。
 またデマンドバスは、利用者にとっては、定期運行のバスよりもはるかに便利で、タクシーよりもはるかに安価な“出前バス”であり、公共交通の潜在需要を喚起することにつながっています。
 約80Kuの地域に停留所が240か所、運行時間は8時30分〜19時まで、運賃は大人200円、中学生以下100円、未就学児無料、普通割引と敬老割引の回数券もあります。

 利用の流れは、
(1)利用者は電話で、乗車バス停と目的地のバス停、乗車人数を申し込む。
(2)受け付けのオペレーターがパソコンに入力すると、即座に4台のバスの運行状況を検索して新条件でのルートを設定して、「Aバス停に何時何分にX車が到着、次は30分後にY車が到着」と表示します。
(3)利用者の都合のよい時間のバスを予約します。
(4)バスにもパソコンが設置されていて、その都度、予約状況に応じたルートと運行計画が表示され、運転手はその運行計画に従って走行しながら各バス停で利用者を乗降させます。

前橋市ふるさとバスのホームページ

 車両は10人乗りワゴン車4台、1日当たりの利用者数は平日で平均112人、土日休日で87人で、年間利用者数は4万人に達し、4台の車両は1日中ほとんどフル稼働しています。
 最も多く利用しているのは高齢の女性で、目的は買い物や通院が50%を超えていて、地域住民へのヒアリングによると、デマンドバスを利用して以前よりも外出機会が増えたという方が65%にものぼり、デマンドバスが地域住民の生活や行動に変化をもたらしていることも明らかになってきています。

平成21年度の収支は
運行経費・管理費 3070万円
運賃収入 630万円
収支率 20.7%
市の負担(赤字補償) 2430万円

 ただしこれは、車両購入費(1台380万円)、予約・運行管理システムのリース料420万円などは含んでいません。

 また、運行開始前はタクシー業界への影響が懸念されましたが、タクシー利用者数は減っていないということです。

 合併後の久喜市で、菖蒲・栗橋・鷲宮地域などからコミュニティバス運行の要望が強く出されていますが、前橋ふるさとバスのデマンド方式での運行が大いに参考になるのではないでしょうか。


【2】市街地におけるコミュニティバス(マイバス)の運行

 運行開始は、北循環、南循環、西循環の3路線、民間バス事業者に運行委託契約を結んで運行、車両は日野ポンチョ・ノンステップ25人乗り
 運賃はいずれも大人100円、こども50円、未就学児童は無料、1日券300円

北循環・南循環(平成14年運行開始) 西循環(平成19年運行開始)
9時〜19時、20分間隔で、運行本数は1日30本 8時15分〜20時40分、80分間隔、1日9本運行(両回りで18本)
それぞれ1周6〜7qを40分で走行(片まわり)、バス停は31と27 1周17qを70分で走行(左回りと右回りの2方向)、バス停44
車両はいずれも2台で、乗車人数1便平均6.2人 車両は2台で、1便あたり平均乗車人数9.5人
2路線合計で、収入1240万円、支出(委託料)3530万円、収支率35.1% 収入440万円、支出(委託料)2290万円 収支率19.2%
市の負担(赤字補償) 2290万円 市の負担(赤字補償) 1850万円

前橋の循環バス マイバスのホームページ

 特に、北循環・南循環は比較的短距離区間を20分間隔で運行していることからたいへん利便性が高く、それが収支率の高さに反映していると言えます。

鷲宮、栗橋の公共施設を視察研修しました
2010/7/7

 合併して、旧3町に、私たちの知らない施設がたくさんあるので、会派・政策会議で、新久喜市内のさまざまな施設の視察・見学を行っています。

 これまでに、5月24日には、鷲宮総合支所(旧鷲宮町庁舎)、鷲宮町に開設された「認定こども園」、栗橋総合支所(旧栗橋町役場)、「栗橋B&G海洋センター」、公立の栗橋幼稚園を視察しました。
 7月5日には、栗橋地区に2月に開設された「ボートピア栗橋」、栗橋まちづくり協議会事務所、鷲宮地区の「花と香りのふれあいセンター」などを視察・見学してきました。

鷲宮総合支所

 久喜市役所よりも建物も新しく、ほとんどの職員は本庁舎(久喜市役所)に移動して、今は職員が100人くらいしかいません。
 事務室としては1階と2階しか使用していなくて、本庁舎のゴチャゴチャした狭苦しい事務室に比べると、職員の働く環境としては最高と言えそうです。
 3階以上は会議室や物置として使われていますが、本庁の会議室が取れないために、鷲宮総合支所で会議を行うことが多くなっているそうです。
 空きフロアには、まだ使えそうな机やいす、応接セットやロッカー、使われなくなったパソコンやプリンタなどがたくさん残されていて、廃棄するのはもったいない、本庁舎に運ぶか、市民に無償か格安で譲渡したらいいのではないかと思いました。

 3階から5階の使われなくなったフロア、町議会の議場や町長室なども含めて、市民にどのように使ってもらうのかを考えるべきです。
 なぜ市民に貸し出しをしないのか、質問してみました。
 市では“貸し出せない理由”として、
 「3階以上に職員がいないので、管理ができない」
 「カギがかけられないので、市民が勝手に入り込んでいっては困る」
などと言っていますが、これらは単に行政側の都合ばかりを考えた管理上の問題であって、公民館などと同じように市民に貸し出して使ってもらうことはできるはずです。

 市民の財産である庁舎の有効利用を積極的に進めるべきです。
 地域団体や、ボランティア団体、福祉団体などの事務室や活動スペースとして利用できるように、市民団体党と協議していくべきではないでしょうか。

 鷲宮の観光資源として、「らき☆すた」、鷲宮神社についても説明を受けました。
 行政主導でなく、市民の創意とパワーで盛り上げて全国的に有名になったことは特筆すべきでしょう。 
【写真 左】
 明るくて広々とした、鷲宮総合支所のフロア。
本庁舎の一部の部・課を持ってきたらどうだろう。

【写真 中】
 久喜市議会よりも立派(?)な旧・町議会の議場。
ちょっと改造すれば、
講演会やミニコンサートの会場に使えるんじゃないか?

【写真 右】
 旧・町長応接室に、“お宝”らしい絵の屏風が無造作にあった。
「棟方志功の弟子」だと言うが、置き忘れられてしまったらしい。
このまま、陽にさらされてほこりまみれにしておくつもりだろうか。

栗橋総合支所

 こちらは建物が老朽化していますが、残っている職員数はやはり82名です。
 栗橋総合支所には第1庁舎と第2庁舎があって、職員が少なくてがらがらなのに、2つの建物を使い続けているのは、セキュリティや光熱水費などの管理費用がムダではないか、なぜ一つの庁舎に集約しないのか、疑問に感じました。

 こちらも多くの部屋が物置替わりになっていましたが、あまり再利用できる備品はないようでした。
 ただしやっぱり、空いている部屋があるのですから、市民活動の場として大いに利用してもらう方が有効利用になるのではないかと思いました。

 栗橋地区の観光資源としては、くりはし夏祭りやサンバ・サマーフェスタ、くりはし八福神、赤花そば、靜御前の墓、靜桜、「鉄道むすめ」(まだあまり知られていない)、ハクレン(いつジャンプするかわからない)などがあると教えてもらいましたが、残念ながら今のところあまりメジャーな存在とは言えません。

栗橋B&G海洋センター

 もともと船舶振興会が母体のB&G財団が建てて平成3年に栗橋町に無償譲渡された施設です。

 設置は昭和63年とかなり古いのですが、アリーナやトレーニング室の利用は市民にたいへん利用されています。
 アリーナは特に卓球サークルの利用がさかんで、6月などは、アリーナを2つに区切ってのべ180件の利用、ということは、ほとんどいつでも利用されているということになります。

 プールの期間は6月末から8月いっぱいですが、久喜総合運動公園の市民プールと違って屋根が付いているので、天候に関係なく利用できます。

久喜市立栗橋幼稚園

 平成18年に、町民の運動によって新設された公立幼稚園です。
 4歳児と5歳児がそれぞれ2クラス、全部で116人の園児が生活しています。
 職員は15人(内、10人は非常勤職員)、その内の2人は通園バスの運転手です。
 園舎は扇形に配置され、天井が高くてきれいで明るい、子どもたちには居心地がよさそうに感じました。

 ここでは、幼稚園が終わった後に、ニーズに応じて“お預かり保育”も行っていて、1日5〜10人くらいの児童が夕方までを過ごしています。

 入園料10000円、保育料2か月分16000円、バス代2か月分4000円です。 

学校法人 青木学園、さくらだ保育園、認定こども園

 「認定こども園」は、平成18年から制度化された新しい幼児施設で、幼稚園と保育園を一体化させたいわゆる「幼保一元化」の一形態です。

 幼保連携型、幼稚園型、保育園型などの携帯がありますが、保護者が就労しているか否かに関わりなく、児童に保育を提供するとともに、幼稚園のような就学前(幼児)教育を行う施設で、久喜市内では、この青木学園が唯一開設されています。

 現在は、0歳児3人、1歳児21人、3歳児35人など、5歳児まで全部で約130人の児童が在籍していて、保育時間は、延長保育も含めて朝7時から午後7時までとなっています。
 10名くらいはバス送迎で通園していますが、ほとんど保護者が送迎しているそうです。

 昨年度まで鷲宮町では公立保育園があって60名くらいの児童が通っていましたが、その中央保育園が今年から閉園となってしまったため、保育園に通っていた児童の受け皿として開設されたという経過もあります。
 中央保育園の児童の内の半数弱を、さくらだ認定こども園で受け入れたそうです。
 なお、学校法人・青木学園は、道を挟んだ隣接地に桜田幼稚園も経営していて、そちらには200名の児童が通っています。
(左)
外観は
宇都宮線の電車

(右)
屋内の通路は
道路と横断歩道

飯田市議会の研修視察報告
2010/2/4

 昨年12月25日に、決算委員会で長野県飯田市議会を研修視察してきました。
 飯田市議会は、一昨年から、政策評価を中心にした決算審査を進めていて、これは行政に対する市民の立場に立った監視、チェック、政策提案の仕方として、全国の議会から注目されています。

 決算委員会は10名の議員で構成していますが、この日の参加は、猪股(委員長)、川辺、矢野、園部、鈴木、岸、角田、戸ヶ崎、渡辺の9名でした。
 久喜駅を25日(金)の朝7時に出発して、新宿から高速バスに乗って飯田駅へ着いたのが12時半ごろ。
 昼食を取ってから、飯田市役所に行って、1時半から4時くらいまで視察しました。
その日は飯田市内のビジネスホテルに泊まって、翌26日(土)の9時頃に飯田駅前から高速バスに乗車、久喜到着は午後2時半ごろでした。
 格安の高速バスを使ったので交通費は往復で約1万円ですみました。

【長野県飯田市議会における行政評価を活用した決算審査】

1.飯田市議会では20年度から、議会の決算認定において、行政評価の手法を導入していて、21年度(20年度決算認定)は2年目となる。
 議会における決算認定は9月議会で実施し、議会による行政評価の結論として「決算認定に関わる施策及び事務事業に対する提言書」を作成し、9月議会最終日に市長に提出して、次年度の予算編成に生かすよう求めている。
 なお、飯田市議会では4常任委員会が設置され、議員は正副議長と監査委員を除いて全員が2つの委員会に所属、副議長と監査委員は1委員会に所属しています。
 予算審査も決算審査も、この4常任委員会への分割付託しています。また、決算審査は、久喜市議会のように12月議会までの継続審査ではなく、9月議会中に各委員会で実施します。このようないくつかの違いを踏まえてお聞きください。

2.飯田市では平成19年に自治基本条例を施行、この飯田市自治基本条例は議会が策定したものですが、その22条2項に「市議会は、市の執行機関の活動を監視、評価することにより、適正な行政運営の確保に努めます」と明記しました。
また、飯田市基本構想を議会の議決事項とし、議会は予算審査や決算審査を通して基本計画の進行管理を行うと位置付けています。
 議会における進行管理とは、基本計画の推進における《Plan、Do、See》の流れの中で、執行の内部評価に対して、外部評価としての市民評価とともに、議会としても独自の評価を行い、チェックし、意見・提案をだすという関係にあります。
 この実践として、19年度決算審査を20年度の議会において実施しました。

3.飯田市議会における施策及び事務事業評価、および決算審査の進め方について、報告します。
 まず、「ステップ1」は7月に開始します。
 まず行政内部では6月末に行政評価が実施されるわけですが、その評価結果を、7月上旬に議会に説明します。
 各常任委員会で1日ないし2日間をかけて、「施策及び事務事業の成果説明会」を開催し、基本計画に基づいて施策と事務事業の20年度の実績とそれに対する執行機関側の評価結果等を説明します。これらの評価はすべて基本計画の政策をいかに進め、以下に成果をあげたかという観点から行われ、議員は所管する施策と事務事業の成果について質疑します。
 この説明会は、6月議会において「閉会中の継続審査・所管事務調査」として各委員会に付託されており、いわば実質的には7月から決算審査の勉強会が始まっているということになります。
 「ステップ2」は、個々の議員による評価です。
 その説明会を踏まえて、委員長会において各委員会15項目、4委員会全体ではの重点施策・重点事業を抽出して個々の議員がチェックします。
 「ステップ3」は、各委員の評価結果を基にして、8月に4委員会を2日間ずつ開催して、行政評価の勉強会を行います。
 委員会で、委員同士の意見交換を行い、課題や問題点の共有化をはかるとともに、この段階で、後でまとめる提言内容をある程度集約していきます。また9月議会での決算審査で、執行機関に対して質疑、あるいは確認すべき内容を評価項目ごとに整理し、決算審査に結びつけていきます。

4.「ステップ4」は、9月議会における決算審査です。
 まず初日に閉会中の所管事務調査として行った政策・事務事業評価の審査経過について、本会議で報告します。
 したがって9月議会の委員会における決算審査は、ステップ3で明らかになった課題や問題点について質疑し答弁を求めて評価の論点を深めることと、各委員会15項目の重点施策・重点事業以外の事務事業に対する評価、および総括的な審査を行い、「政策および事務事業に対する提言書」のとりまとめ作業となります。
 9月議会最終日、所管事務調査結果として、「決算認定に関わる施策及び事務事業に対する提言書」を、決算認定に係わる付帯決議として本会議において議決し、後日、市長に提出します。

5.施策予備事務事業評価を生かした決算審査を基本計画の進行管理と結びつけるため、平成22年度2月議会の冒頭(3月1日)において、「提言書」を22年度予算編成にどのように反映したかを説明する機会をもつことになっています。これは、この「提言書」が出しっぱなし、市長は受け取りっぱなしでなく、これを次年度の予算編成に生かしていくことによって、《P・D・S》のサイクルが完成することになります。

6.各委員会において施策及び事務事業評価を行うにあたって、議会としての評価基準を決めておきます。施策の評価基準は、協働のまちづくりという視点、責任の主体はどこにあるのか、事務事業の拡大か・維持か・縮小か・廃止かという今後の方向性、その施策が目標達成にどれだけ資するのか、個々の事務事業が当該年度の目標に対して実績がどうだったのかなどです。

7.飯田市議会では、従来の決算審査がどちらかといえば、決算書や成果説明書の数字の内訳や事業内容の説明に陥りがちであったのに対して、決算審査を施策及び事務事業評価と結びつけることによって、施策及び事務事業が事業の目標に対してどれくらいの成果をあげたか、それによって基本計画の推進にいかに役立ったかという意味での議論を行っています。
 またそれは、執行部内部での事務事業評価を、議会の視点からさらに深めていわば再評価する取り組みであり、執行部からすれば市民の視点による外部評価の一つの機会でもあります。議員同士が視点や問題意識を共有して議論を通じて評価を進めると同時に、決算審査を通じて執行部との間であらたな政策論議を行うことにもなっています。二元代表制の下での議会のチェック機能というにとどまらず、執行部と議会がいっしょに評価を進めることにもなっています。
 決算審査の新たな進め方として、大いに参考になるものであります。

8.捕捉しておきます。
(1)飯田市議会においては、以上のように議会の委員会が施策及び事務事業評価を積極的に進め、所管事務調査としても取り組んでいるわけです。したがって、6月議会〜9月議会までの間で、各委員会でそれぞれのべ4〜5日間くらいは事務事業評価の説明会、勉強会、決算審査、そのまとめの作業を行っていることになります。
(2)そのため、飯田市議会の定例会は非常に長くて、久喜市議会よりも長い議会を始めて知りました。21年度の9月議会は8月31日から10月6日までの37日間、11月議会は11月25日から12月22日までの28日間でした。
(3)飯田市議会の基本的考え方として、施策及び事務事業評価はできるだけ早く市民に対して明らかにするべきである、それは行政の責任である。それと同時に、議会側も議会としての視点からの評価を早く出して、次年度の予算編成に反映できるようにすべきである。
 決算は決算、予算は予算、切り離して進めるのでは《P・D・S》サイクルにならない、何のために決算審査や評価を行うのかというきわめて重要な問題提起もありました。

【議会活動報告会】

 飯田市議会は議会改革・活性化の取り組みでは、全国的な先進議会の一つです。
 その一つが議会報告会です。

1.飯田市議会の議会報告会の取り組みは、自治基本条例23条「議会活動について市民に説明することにより、市民との情報の共有に努めます。」、第2項「市議会は、市民の意見を聞くため議会活動への市民参加を推進し、市民に開かれた議会運営に努めます。」に基づいています。

2.20年度は、7月から11月にかけて、市内20地区で開かれた行政による市政懇談会に引き続く形で開催し、参加早く480人、議会の報告は概ね30分間の報告で、その後に参加した市民から議会に対する質問や意見を聞くという形で行っています。

3.21年度は11月に、市内6ブロックで開催しました。主催は議会とし、各地区まちづくり委員会が共催の形で開きました。参加者は6会場で457人です。
 各会場とも、全体会(15分)と分科会(65分)の2部構成とし、最後に締めくくりの全体会を含めて1時間半です。
 全体会は議長のあいさつを兼ねて、議会の責務と議会改革の取り組み経過、リニア中央新幹線の実現などについて、副議長から議会の行政評価の取り組みについての報告、分科会では各常任委員会に分かれて、定例会の議会経過と議案審査状況、委員会における行政評価を説明・報告し、市民から質疑、意見を受けます。
 議会からの報告・説明は客観的に行うのが当然ですが、市民の質疑や意見については、議員個人の見解を含めて話してもよいことにしています。質問に対する回答は、議会全体に対するものは後で議会運営委員会で協議して返す、市への意見などは市へ伝達して市から回答することとしています。
 各ブロックの報告会には、正副議長と委員会の正副委員長は全部出席、議会運営委員会は正副委員長の内どちらかが出席、地元議員は出席、議員は2回は義務参加で、それ以外にも出てよいこととし、全部で各会場に12〜13名の議員が出席しました。
 会場設営と片付け、記録はすべて議員が行いました。また市の関係団体に対して、各委員会が分担して参加の呼びかけを行いました。

学校給食用の特別栽培野菜の生産者の畑を訪問しました
2009/12/11

 12月9日、総務文教委員会は所管事務調査で、学校給食生産者の畑を訪問して現地調査、生産者からお話をお聞きしました。

 この日に訪問したのは、所久喜の杉田さんの畑で、ずっと学校給食用に減農薬、無化学肥料の野菜を生産してきていて、埼玉県の有機特別栽培野菜の認証も取っています。

 今は路地でニンジン、ハウスでコマツナ、ホウレンソウ、みぶなを作っているのを見せてもらいました。

 ハウスといっても燃料をたいて熱を加えたりする温室ではなくて、雨や虫、鳥を除けるためで、土づくりは、稲わらを堆肥化して入れ、春先には稲を植えて水を入れ、穂がつく前に刈り取ることで、虫を殺し、病気にも強い、健康な土ができるといいます。無農薬でも虫はほとんど付きません。

 実際にまもなく出荷するというコマツナの葉を見ても、ほとんど虫喰いはないきれいなもので、たまに虫食いの葉があっても収穫の時に手でちぎればいいというくらいでした。
 畑から抜いたばかりのニンジンを洗って土を落としただけで生でかじってとても甘く、ホウレンソウやコマツナも農薬がかかっていませんから、ちぎってそのまま食べてもしゃっきりしておいしく感じました。

 市内で学校給食用に生産されている有機認証野菜は、この他に、ダイコン、ジャガイモ、タマネギ、チンゲンサイ、カボチャ、ブロッコリー、長ネギ、サツマイモ、ハクサイ、果物では梨や巨峰なども作っています。

 みなさん、堆肥を使った土づくりから始めて、安心安全な野菜作りにいっしょうけんめい取り組んでいます。
 学校給食の食材として提供するには、小さいものはダメ、曲がったものや虫食いがあったらダメなど規格が厳しいけれど、地産地消、食の安心安全、子どもたちの給食の食材を提供することに誇りを持って続けています。

 今は学校給食用に認証野菜を生産しているのは市内で14名の生産者ですが、JAの野菜直売所に出している生産者は80名ほどもいるので、規格の問題などを工夫していけばもっと多くの生産者がもっと多くの野菜を出すことができるのではないかとお話ししていらっしゃいました。

 杉田さんたちは市立保育園の給食用や、JAの直売所にも出していますが、有機無農薬の認証野菜は消費者にも喜ばれてすぐに売れてしまうそうです。
 また次のようなお話しも印象に残りました。
 「もっと広く市民の皆さんに知ってもらえれば販路が広がるはずだし、さらに生産者も拡大すると思う」
 「今は必ずしも特別栽培でなくても、農薬のトレーサビリティもしっかりしていて安全な野菜はあるのだから、そういう地元産の野菜も給食にもっと使ってほしい」。
ハウスの中の完全無農薬のホウレンソウ
ちぎってそのまま食べてもおいしい
路地のとっても大きなニンジン
とっても元気、元気な葉っぱ
あした出荷するニンジン。
青い部分を切り取って出さないとならない。

さいたま市見沼区役所の「ワンストップサービス」を視察
2009/11/10

 11月10日、さいたま市見沼区役所に、窓口サービスの改善「ワンストップサービス」の取り組みについて視察に行ってきました。

 今回いっしょに行ったのは、「埼玉東部地区地方政治改革ネット」のメンバー20名で、久喜市議会からは猪股、矢野、川辺の3名が参加しました。

 「ワンストップサービス」というのは、市役所などで一度の手続きで、必要とする手続きをすべて行えるようにしたサービスのことです。
 たとえば市外から転入してきた市民が市役所に手続きに行くと、住所変更、住民票の受け付け、印鑑登録、国民健康保険、児童手当、子ども医療費の手続きなどなど、さまざまな手続きをいっぺんに行わなくてはなりません。

 市民課から始まって、次は児童課、次は保険年金課などと回っていって、そのつど「転入してきた」ことを説明して、申請書類に住所・氏名・必要事項を記入して…、場合によっては全部の手続きを終えるのに1時間以上もかかったりします。

 見沼区役所では平成19年から、「区民課」の窓口に行けば、1か所ですべてすんでしまう、「ワンストップ・サービス」を実施しています。

 区民課の窓口の前に2〜3人いる「フロアマネジャー」さんと相談しながら、今日は何と何と何の手続きをするか、どんな証明が必要かという「オーダーシート」に記入して窓口に持っていくと、そこで話を聞きながら、「申請書印刷システム」を使っていくつもの申請書類をいっぺんに作成してくれます。

 住所や生年月日などの必要事項はほとんど自動的に入力されてくるので、申請に来た人は自分の名前を自筆で記入すればよくて、あとは待っていればすべての必要な手続きが進められていきます。

 住民票や納税証明書などの証明も同時に取ってくれるので、あとは「受取窓口」で手数料を支払って証明を受け取け取るだけですみます。

 申請書類は窓口職員がパソコンで作成してくれますから、何枚も何枚も別々の申請書類に、住所や氏名を何回も何回も書く手間もいらないし、小さな子どもを連れて何か所も回る必要もありません。

 いわば、市民が各課を回るのでなくて、書類と職員が回ってくれる仕組みで、しかも申請された手続きは関係する課が同時並行で進めてくれるますから、たとえば以前だったら1時間以上かかったたくさんの手続きが1か所で、30分で済んでしまうわけです。

 手続きがすべて終了すると、まどぐちで、「今日は何と何の手続きをしました」というチェック表を交付してくれて、もしも書類が足りなかったりして必要な手続きが残ってしまった場合には「この次はどんな書類を持って、どこの窓口へ行ってください」ということを記入した紙もくれます。

 すべての必要な手続きを「パッケージ」でやってくれるので、見沼区役所ではこの窓口を「パッケージ工房」と名付けていて、平成20年度からはさいたま市のすべての区役所で「このワンストップサービス」を実施しています。

 見沼区役所の職員のお話によると、見沼区の「ワンストップサービス」は、新たな財政負担をかけないで実現されたそうです。

 「申請書印刷システム」にしても、職員が自分たちでエクセルのシステムを使って作成したものであり、職員が研究し工夫を重ねて生み出したというところに、ある意味では最も注目すべきかもしれません。
 さてひるがえって、久喜市役所でもいちおう、「ワンストップサービス」と称して、市民課や保険年金課、税務関係、児童福祉課を市役所1階ホールにまとめていて、市民課と税務関係など一部の手続きや証明などは同時に進めてくれるようになっています。

 以前よりは改善されていますが、それでも基本的には市民が各課を回って、手続きごとに別々の書類に記入しなければならないのは残念ながら変わりません。

 久喜市役所でも、さいたま市の「パッケージ工房」のような、文字通りの「ワンストップサービス」を実現してほしいと思いました。

福島町議会(北海道)の視察報告
全国の議会活性化の最先端を行く「福島町議会基本条例」
2009/8/15

 7月22日、北海道の福島町議会の議会改革と活性化の取り組みについて視察に行きました。
 たいへん掲載が遅くなりましたが、その報告です。


【写真】右から、春山、石川、園部、猪股
福島町議会の議長と副議長
左側に岸、岡崎議員

1.福島町議会における議会活性化の取り組みは、10年くらい前の久喜市議会とほぼ同時期、平成11年より始まっています。
 それは、議会が二元代表制の一方の機関である以上、議会は執行部や市長の諮問機関ではなく、その追認機関でもない、議会の主体は議員であり、議員は住民からの選挙で選ばれた代表として自立した活動をしていこうという自覚であったといいます。
 また地方分権の推進の中で、討議する議会、政策を提案できる議会へ議会機能を高めていくことが必要であり、町議会と町行政の実情を住民に知ってもらい情報を共有することは自治の基礎になるという認識に基づくものでもありました。

 この10年間で取り組まれた議会活性化の主な項目だけをあげてみます。

(1)平成11〜14年度 ・傍聴者への閲覧資料の配付を本会議及び委員会で実施
・一問一答制の実施とともに質問時間を30分から45分に延長
・会議録検索システム
・本会議のテレビ放映
・議会だより速報版の発行
・議員協議会(全協)の公開
・一般質問答弁書の配布、
(2)15年〜18年度 ・長期欠席者への報酬と手当の減額措置の実施
・委員会資料等をホームページで事前公開
・委員会の原則公開
・傍聴規則の改正
・議員の付属機関の委員兼務の辞退
・議会評価および議員の自己評価の実施と公開(いずれも任意)
・毎回の定例議会後に議会運営に関する検討会を開催
・町民懇談会の開催
(3)平成19年度〜 ・委員間討議の実施
・正副議長選挙の所信表明の実施
・討論交互の原則を廃止
・一般質問の回数・時間制限の廃止
・委員会における委員外議員の発言制限の廃止
(4)21年度から本格実施
     昨年1年間は試行
・通年議会制
・文書質問制
・反問制度
・委員会において傍聴者の討議への参加

2.「議会基本条例」を、10年間の議会改革の集大成として、20年12月議会で可決して、21年4月から施行しました。

 ただし、議員全員(14年まで定数16名、15年からは14名に削減)が必ずしも完全に一致して進めてきたわけではなくて、2年前の改選後の初議会における議長選挙の所信表明でも議会改革に対する賛否は分かれていて、議会基本条例も一定の反対はあったといいます。また議会評価や議員評価についても賛否は分かれています。

 議会基本条例の策定にあたっては、前文に「議会の主役は議員」、「住民が参画(協働)する議会」、「変化を怖れない議会」を明記して、これまでに開かれた議会づくり、都議会改革を後退させない決意が述べられています。また独任制の町長(行政)と合議制の議会とが緊張関係を維持しながら、「福島町の善政について競い合い、協力し合う」という規定も、福島町の議会基本条例を特徴付けています。

3.福島町議会の開催は従来の年4回から「通年議会」とし、会期は会計年度、つまり4月1日から3月31日までとなりました。
 首長による議案の提案、議案に対する質疑と討論・採決、一般質問は、これまでの定例会の日程とほぼ同じで6月、9月、12月、3月の年4回のサイクルで行いますが、1回の定例の会議が終わったら閉会ではなくて「休会」となります。
 ということは急いで審議しなければならない議案が生じたときや、議会として協議の必要が生じたときは、いつでも議長が本会議の再開を決めて招集できるということであり、議会の機動的に対応が可能となります。

 久喜市議会も含めてほとんどの議会は年4回の定例会制度で実施していますが、その場合、招集権は市長にあって、議会が主体的に会議を開くことができない仕組みになっています。法律上、委員会も自由には開けないことになっています。
 また、定例会と定例会の間に急ぎの議案が出てきた場合、市長は臨時議会を招集することができますが、実際には「議会を開く時間的余裕がない」ことを理由にして、議会に諮らずに市長の「専決処分」で決めてしまい、議会には後で報告して追認を求めるだけという例がたいへん多いのが実態です。
 通年議会になれば、市長が専決処分で決めて、議会には後で報告して追認を求めるということはなくなります。またたとえば新型インフルエンザが発生したとかの際に、通年議会になっていれば、委員長の判断ですぐに委員会を開いて調査活動を開始することができることになります。
 「通年議会」は議会にとっても市民にとっても、行政にとってもたいへんメリットの大きい制度といえそうです。

4.福島町議会には2つの常任委員会が設置され、委員数はそれぞれ6人ですが、議員は自分の所属する委員会以外にも自由に出席でき、発言することができます。さらに傍聴者が発言することもできます。
 久喜市議会でも「委員外議員」の発言を認めていますが、他の市議会では認めていない議会も多いそうです。ましてや傍聴者の発言を認めているところはないと思います。
 福島町議会では「委員だけ」とか、「議員だけ」で形式的に議会審議を終えるよりは、もしも関心のある傍聴者がいるのなら、傍聴者の意見も聞いて審議をより深めていこう、その方が議会にとっても有益だという判断に立っているということでしょう。

5.「文書質問制」を取っていて、議員はいつでも文書による質問をすることができ、行政はそれに答弁書を出さなければなりません。
 これも、質問は本会議で演壇でやるものという常識にとらわれないで、議員が行政についていつでも質問し、問題を指摘したり提案したりすることができる権利を保障して、議会と行政の質を高めようということが目的です。

6.一般質問は時間制限も回数制限もありませんが、それによってだらだら延々と質問が続いて収拾がつかなくなるということはないそうです。
 議員は文書質問制で事前に課題を煮詰めてきていて、しかも1回目の答弁書がもらえるので、質問内容を整理しておくので、質問時間はかえって短くてすんでいるということでした。

 久喜市議会では一般質問の時間制限が、最初は試行で60分だったのが50分となり、現在は40分となっていて、次第に短くされる傾向にありますが、議員の発言を制限していくのが本当にいいことなのかどうか、考えてみるべきでしょう。

7.議会は合議制機関ですから、単に賛成、反対の意見をぶつけ合ってすぐに多数決で決めてしまうよりも、話し合いで結論を出すべきといわれています。
 福島町議会でも議員間討議を重視して、委員会で議案質疑が終わった段階で、議員同士が討議する時間を設けていますが、実をあげていくのは今後の課題だそうです。


京丹後市の視察報告(3)
「京丹後市議会基本条例」で、議会報告会、議員間討論を実践

2009/8/13

 8月3日、京丹後市の視察、3つ目の課題は「議会基本条例」です。

1.京丹後市議会は平成18年9月に「議会改革特別委員会」を設置し、次の7項目について検討しました。
(1)議員の役割と任務について
(2)議会基本条例の検討
(3)議員定数の検討
(4)議員報酬の検討
(5)政務調査費の検討
(6)議会の活性化の検討
(7)市民へのわかりやすさと市民参加の検討

2.これらの検討課題については、19年12月議会に最終報告を行い、「議会基本条例」を提案、可決しました。

 議会基本条例に盛り込まれた議会改革の諸課題は、
・市の基本計画など、議会議決事項の追加
・本会議のインターネット中継
・傍聴規則の見直し
・一般質問の一問一答制
・反問権の採用
 など、久喜市議会基本条例や、久喜市議会における活性化の取り組みとも重なるところが多いのですが、久喜市議会で取り組めていないものがいくつかあります。

3.その一つが、議会への市民参加、市民との連携です。

 【京丹後市議会基本条例】
第2章 市民と議会の関係

第5条(市民参加及び市民との連携)
 議会は、市民に対し議会の活動に関する情報を積極的に公表し透明性を高めるとともに、市民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議のほか、すべての会議を原則公開するとともに、会期中又は閉会中を問わず、市民が議会の活動に参加できるような懇談会、議会報告会等を開催するよう努めるものとする。
3 議会は、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)における参考人制度及び公聴会制度を活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を市民による政策提案と位置づけるとともに、その審議においては、これら提案者の意見を聴く機会を設けなければならない。
5 議会は、市民との意見交換の場を多様に設け、議会及び議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大を図るものとする。

 第5条に基づいて、年4回の定例議会終了後に必ず「議会報告会」を開催しています。
 1日に3会場ずつ、2日間にわたり市内6か所で開催していて、24人の議員が3班に分かれてそれぞれ2会場を担当します。
 開催地区の地元の議員は他の地区にまわり、3つの常任委員会の委員長がそれぞれの班の司会を務め、報告内容は議員の宣伝にならないように客観的に議会であったことを報告するように統一しています。
 開催時間は夜間の2時間で、30分間が報告、残りの1時間半で質問に答えたり、意見交換を行い、会場で出された質問や意見でその場で答えられなかった課題に対しては、必ず後日に回答をしているそうです。

 第5条第4項に基づいて、「請願・陳情」については、基本的に請願者・陳情者の代表に議会で直接に意見を述べてもらっているということです。
 久喜市議会ではこれまで過去に、陳情者に委員会で意見を述べてもらったことは1回だけありましたが、その他には請願者や陳情者の意見を述べてもらう機会を設けていません。
 他の市議会でもこうした取り組みは広がってきており、久喜市議会でも積極的に検討すべきです。

4.第7条で、市長が提案する政策について、内容や財政、将来的な財源についてなど、十分な説明資料の提出を求め、それに基づいて議会審議を深めています。

 【京丹後市議会基本条例】
第7条(市長による政策等の形成過程の説明)
議会は、市長が提案する計画、政策、施策、事業等(以下「政策等」という。)について、政策等の水準を高めるため及び市民への公開のため、市長に対して、次の各号に掲げる事項の説明に努めるよう求める。
(1)政策等を必要とする背景
(2)提案に至るまでの経緯
(3)市民参加の実施の有無及びその内容
(4)京丹後市総合計画との整合性
(5)財源措置
(6)将来にわたる効果及び費用
2 議会は、前項の政策等の提案を審議するに当たっては、立案及び執行における論点及び争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。

 これも久喜市議会では特に行っていないで、議員それぞれの調査活動や議会での質疑にまかされていますが、議会審議を深めるために必要ということで、他の市議会でも広がっています。

5.議会における議員同士の討論も重要な取り組みです。

 【京丹後市議会基本条例】
第4章 討論の拡大
第10条(討論による合意形成)
議会は、議員による討論の場であることを認識し、議長は、議員相互間の討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、本会議及び委員会において議員提出、委員会提出及び市長提出の議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間において十分な討論、議論を尽くして合意形成に努めるとともに、その結果について市民に対して説明責任を十分に果たさなければならない。
3 議員は、前2項による議員相互間の討議を拡大するため、政策、条例、意見書等の議案を積極的に提出するよう努めるものとする。

 京丹後市議会では委員会で議案の質疑が終わった段階で、執行部に退席してもらい、議員同士が意見交換し討論して、議案の修正や付帯決議の提案について協議したり、さらに審議が必要と判断されれば継続審査にするなど、議案の扱いについて議会の主体性を発揮しています。

 多くの議会でも、市長が提案した議案では、問題があるものでも賛成か反対の二者択一で、結局は「賛成多数でそのまま通す」のがほとんどで、議員同士が討論することはできていないのが実情です。
 最近、いくつかの自治体議会で「議員同士の討論」が広がってきています。

 久喜市議会基本条例にも、「第12条(議員間の議論による合意形成)  議会は、議会が合議制機関であることを踏まえ、議員相互間の議論を中心に運営し、この機会を保障するものとする。」という規定を盛り込みましたが、この規定を実際に活かしていくのは今後の課題です。


京丹後市の視察報告(2)
予算編成過程の公開により、「市民総監視・総参加」の予算編成

2009/8/12

 8月3日、京丹後市の視察、2つ目の課題は「予算編成過程の公開について」です。

1.「予算編成過程の公開」は、予算編成をすべてガラス張りの中で市民の見える形で進めていく取り組みで、鳥取県、国立市、取手市などでも実行されています。

 京丹後市では平成16年度中から、その取り組みが始まっており、17年度当初予算の編成にあたって、予算編成方針、各部局からの要求事業内容、その査定状況、これは財政課による査定、総務部長査定、市長査定の各段階で、事業の採択の可否、予算額等のすべてを公開しています。

京丹後市、21年度予算説明資料の公開へのリンク
21年度予算編成過程(予算要求、査定)の公開へのリンク

2.当初予算編成においては、各部局が予算要求する前に市内各地区(231の行政区)から要望事項を出してもらい、それに基づいて地域住民と合併前の旧町ごとの「市民局」、各部局が意見交換して調整した事業について予算要求しているので、特にそうした要求事項について財政部、総務部長段階で査定しています。

 地域から出される要求事項はおもに道路の維持補修や新設改良事業の他、地域が抱えている生活に直結した課題が多くなっています。

 予算の査定各段階での結果を公表し各地区に通知することによって、地区からは必要があれば再要望がなされ、それを受けての一部見直しなども行われ、「市民総監視・総参加」の中で予算編成を進めているということができます。

3.予算編成過程の透明化をはかるとともに、市民要望に対する査定結果の開示や意見交換を通じて、市民の声が予算編成に反映されやすくなることにより市民の関心を高め、「市民との協働による市政構築のための情報提供ができた」としています。

4.予算編成の経過は次の通りです。
(1)7月下旬  地区要望事業の受け付け
(2)10月下旬 「予算編成方針について」を公表
(3)11月上旬 事業担当部局による要望事業の内容精査
(4)11月下旬 予算要求
(5)1月上旬  財政課ヒアリング・財政部長査定
(6)1月下旬  市長1次査定
(7)2月上旬  各地区へ回答書を送付、意見聴取及び復活要望の集計
(8)2月上旬  市長2次査定

 補正予算については地区要望はありませんが、予算要求、査定経過については同様に公開しています。

 この経過の中で、(4)予算要求、(5)部長査定、(6)市長1次査定、(8)市長2次査定の結果を即時ホームページに公開し、(7)各地区への回答書で、各地区の要望に対する採択の可否を説明を付けて公表しています。
 特に、(6)〜(8)の期間は1週間くらいですが、その間に各地区へ回答書を送付して意見を出してもらい、なおかつ財政課でホームページへの公開作業も行っています。

5.実際に公開されているのを見てみると、各査定段階ごとに事業の採択の可否、予算額、採択内容もきちんと記載されており、また地区からの要望事項に対しては、事業の採択の可否だけでなく、不採択になった場合はその理由、事業が必要であれば後年度に行うかどうかなども記載されているので、市民にとっても理解しやすいものになっています。

6.平成17年度の予算編成過程から公開することになったわけですが、これは一に市長の決断によるものです。財政担当部署にとっては作業量からも日程的にもたいへんきついものでしたが、「市民総監視・総参加」「市民との協働」による予算編成をめざして、いわば市長のトップダウンで決定したとのことでした。それでも最初は「できる範囲で」ということだったそうです。

7.他市で同様の予算編成過程の公開について視察したときに、議会側から、議会に提案もされていないものを決定前に市民に知らせるのはおかしいという意見が出たときいたことがありましたが、その場に同席していた京丹後市議会の議長さんに聞いてみたところ、議員の中からそんな意見はなくて、むしろ公開されている情報を議員もよく調べていて、予算審議にあたって活用しているという答が返ってきました。

 また、「予算編成過程で途中の段階で公開することによって、外部からの圧力がかかったりすることはないか」と率直に聞いてみたのですが、市民にも地区に対しても完全に公開しているのだから、そんな圧力などはありえないということでした。

 これは、市民を信頼するかどうか、あるいは万が一「圧力」がかかったとしても毅然と対応する政治姿勢をもちうるかどうかの問題であるようです。

8.京丹後市では市議会で予算が可決されると、4月に「わかりやすい今年の予算」という50ページあまりのパンフレットを全戸配布しています。
 これはその年度に実施する主な事業の具体的内容を、わかりやすく図表や写真も使って説明したものです。
 一般の予算書は数字だけが並んでいて、説明を聞かないと事業内容も年度内の事業予定もわかりませんが、この冊子により予算が身近なものになり、市民生活に関わる行政サービスがどのように予算にのっているのかよくわかると評価されています。

京丹後市発行:平成21年度「わかりやすい今年の予算」へのリンク

9.京丹後市では今後の課題として、
(1)さらにわかりやすい公表方法の研究を進めていく
(2)不採択事業や復活基準について検討し、市民へのよりていねいな説明が必要
などとしています。
 また今後取り組む自治体に対しては、行政からの一方的な開示にならぬよう、市民への有益な情報となるようわかりやすい内容で開示していくことが必要ではないかとのアドバイスもいただきました。

10.さて、久喜市では…。


京丹後市の視察報告(1)
合併・「分庁舎方式」で、周辺地域の旧町役場はどうなったか

2009/8/10

 8月3日に総務文教委員会で、京都府の京丹後市を視察してきました。
 「京丹後市」は平成16年に6町が合併してできた、日本海に面する市で、天橋立のある宮津町は隣町です。
 人口62,000人ですが、面積は500平方キロメートルで現在の久喜市の20倍もあります。

 京丹後市の視察項目は3つで、第1は「合併の経緯と分庁舎システムについて」です。
 京丹後市の「分庁舎」方式は、合併後の新市役所と旧3町の町役場に本庁機能を分散配置するとともに、旧6町の町役場に「市民局」を設置して、住民生活に必要な諸手続や相談窓口の機能をすべて残すというものです。
 6か所の分庁舎の市民局にはそれぞれ、地域総務課(地域振興係、税務収納係、市民生活係)、地域福祉課(福祉係、保健係)、地域事業課(農林業務係、商工観光係、建設業務係、上下水道係)が置かれて、職員は旧町役場の時の半数を残しました。

 市民局長には部長級の職員を配置して、これは地元町出身の職員として、地域の事業の意志決定権限をある程度は地域に残して、合併後の当初は旧町の住民の利便などを配慮しなければならないという事情によるものでした。

 住民にとっては、地域の要求、たとえば道路補修などについてであれば地元の市民局の「地域事業課」に行けば聞いてもらえたし、そこである程度は判断してもらえる権限があったわけですが、しかし一方で、役所の論理としてはいわば事業の判断・決定の権限が本庁と市民局長の二重になってしまうことになります。
 これは逆に判断・決定の過程や権限があいまいになって、二重行政とか「風通しが悪い」という批判もあったようです。

 その後、合併後3回の機構改革を経て、今年度からは市民局長は課長級職員とし、各種申請手続きの窓口を一本化した総合窓口を設置して窓口機能だけを残し、建設業務などの事業担当はすべて廃止して本庁に一元化しました。

 各「市民局」の職員数は、合併した平成16年は6つの市民局の合計で216人でしたが、21年度は64人と3分の1以下に減らしてきたそうです。

 さて、久喜市の合併では、現在の久喜市役所を本庁舎としてすべての役所の機能を集中し、現在の菖蒲町、栗橋町、鷲宮町の現在の町役場をそれぞれ「総合支所」として残して、それぞれに総務市民課・税務課・環境経済課・福祉課・建設課の5課を置いて旧町の住民の諸手続が今まで通りに近くの窓口でできるようにする方針でまとまっています。

 新・久喜市の「総合支所」のイメージは、京丹後市の旧町役場に置かれた「市民局」に近いと思われますが、地域の住民の要求などを聞いてある程度はそれに応えられる権限や事業予算を付けるのかどうか、それとも単に申請手続きを受け付けるだけの機能なのか、どちらでしょう。

 事業執行の権限や仕事を残すとすると、権限と意志決定の過程があいまいになる恐れが出てきますから、決定権限を相当に厳密に定めないと、京丹後市と同じように「二重行政」「風通しが悪い」という批判が出てくることは免れないでしょう。

 また、合併後の新・久喜市において、旧3町の総合支所には手続き受け付けに必要な最低限の職員だけを残して、あとはすべて現在の久喜市役所に集中させるのだとすると、旧町役場やその職員を対象にしていた周辺の商店は、商売が成り立たなくなってしまうおそれがありますが、どのように配慮するのでしょうか。

 京丹後市では旧町役場周辺への影響も考慮して、最初は分庁舎方式とし、全部に「市民局」を置いて職員を半数は残したのですが、それでも影響はあったといいますし、ましてや4年間で市民局の職員を大幅に減員してきたわけですから、今後の地域経済への影響がどうなるのかも心配せざるをえません。

 合併は効率だけで進められるものではなくて、町役場がなくなったり、なくならないまでもその機能と職員が大幅に減らされることになる周辺地域では、人の流れや経済も大きく変わってくるわけで、新・久喜市の場合にはどうなるのか、どのように配慮していかなければならないのか、合併後に向けての大きな課題であるといえるでしょう。


泉大津市立上條小学校の校庭芝生化を、視察してきました
2009/8/9

 総務文教委員会で8月3日と4日に研修視察を実施しました。
 以前は各常任委員会とも2泊3日で3箇所くらいを回ってくることが多かったのですが、昨年、建設文教委員会は1泊2日で3か所ずつの視察を2回実施し、かえって柔軟に機動的に研修の実を深めることができました。
 そして今年、常任委員会の構成と所属が変更になって、私の所属する総務文教委員会は今回も1泊で視察研修を実施しました。

 今年は8月3日に京都府の京丹後市、4日に大阪府の泉大津市に行きました。
 まず泉大津市の学校校庭芝生化事業を報告します。


 泉大津市は面積は久喜市の半分の約13平方qに、久喜市とほぼ同じ7万8000人が住んでいて、ほとんど農地が残っていない、全域が市街化区域です。

 市内に小学校は8校、中学校が3校あって、校庭の芝生化事業を取り組んだのは市立上條小学校で、現在は児童数600人くらいですが、数年前までは1000人を超えていたそうです。

 大阪府では平成21年度、「地域の芝生化シンボル校助成事業」で府内2つの小学校の校庭芝生化に予算を付け、泉大津市の上條小学校はその一つとして取り組まれました。

 まず平成21年度「大阪府みどりづくり推進事業」で4月に校庭の一部、約1000平方メートルを芝生化し、さらに7月に、「地域の芝生化シンボル校助成事業」により残りの約3000平方メートルを芝生化、これにより運動場のほぼ全面を芝生化することができました。

 芝生は根付きがよいといわれる西洋芝のティフトン芝(松伏町の金杉小学校と同じ)ですが、こちらはポット苗方式ではなく、校庭の表層面の土を全部入れ替えて張り芝方式で行い、写真で見てわかるとおり、校庭一面が目にも鮮やかな緑一色で壮観でした。

 4月に植えた部分はすでに芝が根付いているようですが、7月の部分はまだ植えてから1週間しかたっていないので、児童は今のところ立ち入り禁止…。
校長先生は、秋の運動会までには根付いて、運動会は芝生の上でやりたいと話されていました。

 校庭を歩きながら校長や教頭先生のお話を聞きましたが、問題は今後のメンテナンスということでした。

 芝張りと同時に土壌改良も行いましたが、その時に校庭の排水対策として地面の下に排水のための管を入れ、校庭全体に傾斜も付けて端にU字溝も設置、さらに散水のために40ミリの水道管を入れて半自動の散水機も購入しました。

 それでも毎日毎日の散水に3〜4時間もかかっているそうで、これは養生期間が終わって芝が根付けばそれほど頻繁にやらなくてもいいのではないかということでしたが、その後の芝刈り作業も含めて、現場の校長先生たちにすれば、そうしたメンテナンスがいちばんの悩みであり、今後への不安の種でもあるようです。

 メンテナンスの費用や手間については、地域の企業からの支援や、学校、地域、子供会との協力体制を作っていきたいとも言われていましたが、確かに、校庭芝生化後の管理をすべて行政や学校だけでやっていくのは困難だという事情は理解できます。

 上條小学校の校庭芝生化は大阪府のモデル事業であり、今後のメンテナンスも含めて全面的に府の予算で実行したもので、今のところ、他の小学校に拡大していく計画はないとのことでした。

 しかしこの事業を大きく広げていくためには、将来的には“地域の学校”“地域で作る学校環境”、さらには地球温暖化防止のための学校校庭の緑化という位置付けで、地域全体の協力体制を構築していくことが課題になると思われます。

 
赤いコーンの向こう側が7月に植えた部分。手前は4月に植えた部分です。 4月に植えた芝はもう根付いています。

久喜市議会の議員全体研修を実施しました
2009/7/8

 7月7日、市議会全体研修会で、埼玉県による都市緑化事業を視察してきました。

 今回の視察地は、さいたま市の埼玉会館にモデル的に設置された屋上庭園、松伏町立金杉小学校の校庭芝生化の2か所です。

 都市、特に市街地における緑化は、地球温暖化抑制のための緑被率の向上、ヒートアイランド現象の緩和や生物多様性の確保などのために有効とされており、久喜市議会でもこれまで多くの議員(私も)が、校庭芝生化や屋上緑化、壁面緑化などを提案してきていますが、久喜市では今までのところ、公園や街路樹などの一般的な緑化事業以外には取り組みがされていません。

 埼玉県環境部みどり再生課では特に屋上緑化、壁面緑化、今年度は特に新規に学校校庭の芝生化、幼稚園や保育園の園庭芝生化を推進する方針を打ち出しています。

埼玉会館の屋上庭園

 埼玉会館の屋上といっても、ここは7階建ての屋上ではなくて大ホールの屋上、2階くらいの高さのところで、屋上緑化のモデルとして県民に見せるために、県内の造園協会の協力で造成したものです。

 470uくらいの広さを4つのブロックに分けて、ポリブロピレン製の薄いマットを敷いてその上に植栽したブロック、建設廃材を成形して芝生等を植栽したブロック、高木、低木、芝生中心などの庭園を造っていました。

 外からもいつでも入れる場所にあって、緑化の宣伝のために、当初は18年度だけ1年間だけの予定でしたが、そのまま残してあるそうです。

 屋上緑化の効果として、熊谷市で日本最高気温を記録した19年8月16日、さいたま市の最高気温37.5℃の日、緑化していない部分の天井内の最高気温は40.4℃まで上がりましたが、同じ日に緑化した部分では32.4℃にとどまって、明らかに温度低減効果が実証されたとしています。


松伏町立金杉小学校の校庭芝生化

 午後は松伏町立金杉小学校の校庭芝生化を視察しました。

 今年5月に埼玉県が主催で「みどりと川の再生フォーラム」が開かれ、その会場が松伏町内の県立公園「まつぶしみどりの丘公園」だったので、そのイベントの一環として町内の学校校庭芝生化を取り組んだそうです。

 費用は県の10割補助の事業で、当初の県の計画では町内5つの小中学校すべての校庭を全面芝生化しようということでしたが、4校は授業や部活動、学校開放の影響や維持管理の懸念などから断ってきて、金杉小学校だけで、校庭12000uの内、600uだけを芝生化することで折り合いがついたということでした。

 実際に芝生を植えたのは、校庭と校舎の間の一部だけで、プールの2倍弱の広さでしょうか、現地を見てみると、いかにも狭いなあという感じでした。

 植えた芝は一般的な高麗芝ではなくて、西洋芝の「ティフトン芝」という、乾燥に強くて横に広がって比較的根付きの良い種類で、それを張り芝ではなくて、ポットに入ったものを2300株、地面を掘って植えていく工法です。

 水曜日の朝、1、2年生の児童115名が1〜2時間くらいで植えて、3週間くらいで根付いたそうですが、この日に見た限りでは芝よりもかなり雑草が伸びており、芝が勝つのか、雑草が勝つのか、両方とも生きていくのか、どうなっていくか、校長先生や松伏町の担当者も少々不安もあるようでした。

 植え付けにかかった費用は約70万円ですから、1平方7000円ということになります。

 子どもたちが植えたので人件費はかからず、県の事業ですので、今後3年間の管理費用はすべて県が持ってくれるということで、経過が良ければさらに植え付け面積を拡大していくことも検討するそうです。

 屋上緑化や壁面緑化、あるいは校庭芝生化はもう社会的な流れですから、いずれは久喜市内でも取り組みが進むはずですが、今のところ、久喜市行政の市政はまだまだ消極的といわざるをえません。

 市役所屋上の緑化、ふれあいセンターの壁面緑化、市立保育園や幼稚園の園庭、学校の校庭芝生化はすぐにでも進められると思うのですが…。


我孫子市の予算編成過程の公表、公募型補助金制度を視察してきました
2009/3/27

 3月25日、大地の5人で我孫子市に行政視察に行ってきました。
 我孫子市は一昨年まで、「改革派市長」として知られた福島氏が市長を務めていて、たくさんの先進的施策を実現してきました。
 今回の視察の目的である、「予算編成過程の公表とパブリックコメント」「公募型補助金と市民査定制度」もそうです。

1.予算編成過程の公表とパブリックコメント

(1)予算の編成過程の公表をパブリックコメントの実施は、2005年10月、市長の指示によって、2006年度予算編成時から実施している。
 この制度の目的は、
@予算編成過程の公開、事業の目的や必要性、事業費などを明らかにする、
A市民の意見を聞き、次年度予算編成に反映させる、
B各事業の採択状況の透明性を高め、すべてを明らかにして市民に対する説明責任を果たすことである。
 公表の対象事業は政策的経費1000事業の内の「新規事業」のみとし、継続事業と経常的経費については公表・パブリックコメントの対象としていない。

(2)2009(21)年度予算について、2008年10月1日に平成21年度予算編成方針について庁議決定、10月31日を各事業所管課からの事業要求期限として、その際に、対象となるすべての事業の事業評価表(部運営方針、政策・施策評価)を提出させて、その後、政策的経費のリアリングに入る。
 予算査定は、第1回、第2回が企画課、第3回と第4回が市長査定であるが、各査定ごとに、ホームページに予算編成状況を掲載する。
 第1回は、12月1日、各部から出されたすべての新規事業の一覧表、約160事業の概要や予算要求額、さらに事業の優先度を4段階に分類してその理由と合わせて掲載している。
 第2回は12月下旬、事業の優先度をさらに精査し、予算要求額を絞り込んだものを掲載。
 第3回は2009年1月中旬、予算内示段階で、事業採択案の一覧表を掲載。
 第4回は1月下旬、予算案決定(示達)の段階で、事業採択の結果と採択した事務事業の一覧表を掲載する。
なお、今年度は実際には国の予算編成の遅れの影響もあり、第三回目の公表は1月27日、4回目は2月3日にホームページの更新を行った。さらに2月10日に国の2次補正の影響による修正した。

(3)パブリックコメントについては12月1日の広報で告知、12月10日からパブリックコメントを開始、1月30日で締め切り、2月3日に「回答」をホームページに掲載した。
 1月27日から29日まで、予算編成(内示段階)に関する議員への説明会を開催している。
ただし各議員はそれぞれ、12月以降のホームページにおける公表を閲覧し、予算編成過程を逐一研究しているようだという。
(4)21年度予算編成過程においては、政策的経費の内の新規事業141事業の査定状況が公表された。
 事業名、事業の概要、21年度の事業計画、事業費、各査定段階における「事業の優先度」、査定額が明記されている。

 事業採択の優先度は4ランクに分けられている。
 A…事業採択の考え方に基づき、平成21年度に実施する事業
 AB…事業採択の考え方に基づき、緊急度等を性差の結果、他のAランクの事業に比べると21年度実施の必要性が低いと考えられる事業(事業実施年度は22年度以降)
 B…事業採択の考え方に基づき、事業の必要性はあるが、21年度実施の必要性が低いと考えられる事業(事業実施年度は22年度以降)
 C…事業の必要性は低い、もしくはないと考えられる事業
たとえば企画課査定で「A」ランクだったものが。市長査定で「B」ランクと評価されて査定額がゼロとなった場合、その評価の理由が明らかにされている。
あるいは「緊急性」が低く評価されて、「事業の必要性は高いが、22年度に実施」「22年度以降に実施」などと明記されているため、議会や市民にとっても理解しやすいものと考えられる。

 各査定ごとのランク別事業数は次のようになっている。
第1回(要求ベース) 第2回 第3回 第4回
107 108 97 98
AB 18 18
23 23 23 23
22

(5)市民からのパブリックコメントは、21年度は1人、3件であった。
 初年度の18年度は11人23項目であったが、19年度1人、20年度は4人と大きく減っている。
これは予算要求と査定状況の全体像が公表されていることから、個々の市民にとっては自分の要求がどう扱われているかわかり、かえって行政に対する信頼が増しているからと考えられる。
パブリックコメントに至らないまでも予算要求項目や事業内容に対する電話等での問い合わせは多くあるということであった。

2.補助金の公募と市民審査

(1)従来から「補助金見直し」を進めてきたが、既存の団体については既得権的に補助が継続し、新しい市民活動に対しては予算の制約で新規の補助金が交付されにくい状況が続いていた。
そこで、平成11年に、それまでの市単独の補助金をすべて白紙に戻し、12年度からは、既得権に左右されず同じスタートラインに立って補助金交付を公募し、応募申請した団体に対して公平に審査して公布できる制度に改革した。

(2)市の補助金2億円をいったんすべて白紙に戻し、補助金を希望する団体を公募、第三者機関である市民の委員会で審査し、その結果に基づいて補助金を交付することとした。
毎年、新規補助金の公募を行うが、いったん決まった補助金も、最長3年間で白紙に戻し、再度、応募してもらって審査して決定することとした。

(3)補助金の対象は、営利を目的としない、市民生活の向上及び市民の利益につながる公益的な活動とし、市内に在住在勤・在学する5人以上で構成し、活動拠点が市内にある団体とする。
 公募型補助金の対象としては、@特に行政上の制度がないもの、A市民の自主的自発的活動を奨励するもの、B団体としての活動を認め、その運営費に対して財政的援助をするもの、Cイベントの実施にあたって財政的援助をするものとしている。
 補助対象経費は、人件費(事務局職員の雇用)、報償費(講師等謝金)、交通費、消耗品・原材料費、図書購入費、印刷製本費、通信費、行事等開催時の保険料、研修費、講師等の食料費、使用料、事務所賃貸料、光熱水費、備品費、その他必要があると認めたものとし、補助金の金額は補助対象経費の2分の1以内とする。
実績報告書とともにすべての領収書の提出を義務付けており、透明性を確保して支出の適否についても確認している。

(4)18年度は公募補助金の申請30件
採択となったもの 22件(継続17、新規5)
不採択となったもの 8件(継続 7、新規1)である。

(5)補助金等検討委員会は、委員5名で任期3年。委員の選任基準は、客観的に判断できる立場にいること(市内のどの補助団体にも所属していない)、男女の比率は半数程度。構成は我孫子市以外の行政経験者2人、行政書士1人、市内大学教員2人となっている。

(6)補助金の審査判定基準は、
@時代度、
A実現(目的達成)可能性、
B創造性・独創性、
C我孫子らしさ
の4項目についてそれぞれ3点を配分し、各委員の採点を集計して、それをもとに全員の協議によって3〜4段階にランク付けし、「採択」とすべきもの、「不採択」とすべきもの、ケースによっては付帯意見を付けて提言書を提出し、これをもとにして行政(市民活動支援課)が交付を決定する。

(7)提言書で評価の低かった団体が、再度、活動のPRや説明をする場として公開ヒアリングを実施していて、希望すれば参加することができる。
18年度は公開ヒアリング対象件数7件の内、ヒアリング実施4団体、2団体が補助金を復活交付されている。

(8)こうした経過によって、平成11年度は、51団体、団体補助金合計額3996万円であったが、平成19年度は31団体、805万円となっている。
 これは単に団体数の削減、補助金交付額の減額を進めてきたものではなく、市民の視点から見て必要性のある補助金を継続してきた、あるいは団体の育成のために新規の補助も実施してきており、公募型補助制度の成果をあげてきているとていると考えている。
また、団体の財政的自立を果たしてきたものもある。

(9)公募型補助金は、本来、団体の自立に向けた補助金と位置づけられており、そのため、市民活動団体のレベルアップ講座や発表の機会を設けるなど、自立に向けた取り組みを強化することが課題である。

(10)3年ごとにすべての補助金を白紙に戻し、市民の視点で見直すことや団体の自立に向けた取り組みを行うことで、市民活動全体の活性化や、市民自治のまちづくりを進めていく力になると考えている。

ときがわ町「議会基本条例」を視察研修してきました
2009/1/17

 1月16日、久喜市議会の議員全体研修を実施、21名の議員が参加しました(1名欠席)。

 ときがわ町は埼玉県で初めて「議会基本条例」を2008年3月4日に議決しました。

 ときがわ町は2006年4月に旧都幾川村と玉川村が合併し、合併と同時に町議会議員選挙で16名の議員が選出されました。
 その後、議会基本条例制定に至る経緯を次のように説明しています。

 合併後、「町民に必要とされる議会をめざし、積極的に議会改革に取り組んで」きた。 さらに、2007年6月には、「さらに議会が町民の負託に応え、町民から期待された行政監視の役割を果たすためには、議会の責務や運営方法を明確にする必要がある。そこで、それらを規定する議会基本条例ならびに議会畝意について調査することとし」、議会運営委員会で議会基本条例についての調査を開始しました。
 それから実質的に9か月間で基本条例を制定しました。

 策定にあたっての基本姿勢は、
(1)議会の姿勢を町民にPRできるものとする
(2)専門用語の使用を避け、条文を簡素化する
(3)議会と議員の役割と責務を明確に規定する
(4)行政監視の機能を強化する
(5)町民協働のまちづくりを進める
(6)重要施策の策定段階から議会の参画や、行政の説明資料の事前提出を求める
(7)執行部の反問権と、議員間の自由討議を保障して討議の充実を図る
(8)議会の最高規範として位置づける
となっています。

 条文は全部で10条、各条文の規定は簡潔かつ明確です。

 議長や議会運営委員会委員長が「ときがわ町議会基本条例」についてていねいに説明してくれましたが、そのお話しの中にも、進んで県内最初の議会基本条例を制定し、この条例をバネにして住民協働のまちづくりを進めていこうという自負と気概を大いに感じさせてくれました。

 たとえば条例第2条には「町民からの提案や意思表示の機会を積極的に設け、それらを政策提案につなげるよう努めるものとする」、「議会は、町民に対し十分な情報公開と政策上の論点の定時を積極的に行わなければならない」などの規定があります。

 先進市の議会基本条例ではこれらは、「意見交換会」や「議会報告会」などを実施するという明文規定があるのが普通ですが、ときがわ町議会では最初はそこまでの明確な合意を持っていたわけではないと言います。

 しかし、条例を制定した以上は、町民の意見交換会や議会報告会を開いていこうと積極的な取り組み方針を決め、すでに議会運営委員会で「意見交換会及び議会報告会開催要領」を検討し、新年度には実現する計画で進んでいます。

 また議員間の討議を充実していくことをめざして、本会議で質疑終了後に「自由討議」の機会を設けています。
 ただ実際にはまだ議員からの発言はないそうですが、そうした機会を設けて新たな取り組みを始めていることは、今後の討論の場としての議会役割が大きく広がっていくだろうと感じさせられました。
ときがわ町議会基本条例

杉並区の区民協働事業、退職男性主体のNPO法人がデイサービス運営
2009/1/12

 2008年11月11日、杉並区の「高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家」と「ゆうゆう西田館」を視察しました。
 今回は埼玉県東部地区の自治体議員や市民で作っている「政治改革ネット」主催の視察で、久喜市議会から、猪股と矢野が参加して勉強してきました。

 地域における、学校の余裕教室の活用法、行政と住民の協働事業のあり方、退職男性の地域参加、「楽しい」デイサービスの一つの形、多くの教訓を与えてくれました。

【2か月前の視察です。報告書のアップが遅くなってしまいました。】

1.高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家

 杉並区では2000年から、小中学校の余裕教室を活用してデイサービスセンターを開設することを決定し、運営にあたる団体を公募した。
 区立松溪中学校の余裕教室を活用して「松渓ふれあいの家」を2001年に開設する予定で運営団体を公募し、選考審査の結果、『NPO法人 生きがいの会』に決定した。

 『NPO法人 生きがいの会』は、最初、男性(特に退職後の高齢男性)料理教室のサークルとして活動していたが、デイサービスセンター運営公募にあたって高齢者介護にも関わっていくことを決めた。

 当初、生きがいの会は、料理から介護への転身がうまく行くかどうか試行錯誤ではあったが、定年退職後の高齢者を中心に、みずからの経験を生かしながら地域に足を下ろしていこうという思いを、明るく、楽しい、元気な『松渓ふれあいの家』を作ろうという取り組みに託したという。
 NPO法人格の取得がふれあいの家委託の条件だったが、生きがいの会会員の社会的経験(会社経営の経験者も多い)を生かす形で比較的スムースに進んだ。

 一方、こうした団体にデイサービスセンターの運営を委託するにあたり、杉並区では、立ち上げ資金として補助金を年間3000万円、3年間にわたって交付し、各団体は人件費、送迎用の車や備品類の購入にあてた。
 スタートは事業委託だったが委託は3年間で打ち切り、その後は介護保険事業所として自立して、運営費は完全に介護保険収入でまかなっている。

 学校の余裕教室を活用したデイサービスセンターのメリットとして、学校の生徒児童との交流が図られることがあげられる。
ドア一つで学校と行き来でき、日常的に子どもたちが訪問してくれたり、運動家での交流や、逆に学校における田んぼづくりに市道を頼まれることもある。
 区内で8つの小中学校で余裕教室にデイサービスセンターを開設しているが、松渓ふれあいの家の特徴は、男性スタッフが多いことである。
 スタッフは14〜15人いるが、施設長の他、ケアマネージャー、ホームヘルパー、生活相談員など、看護師3人を除いてほとんどが男性である。

 松渓ふれあいの家デイサービスのもう一つの、最も大きな特徴は、利用者の7割が男性ということで、登録者は約100人、毎日の定員は30人だが、その内、女性は平均して8名である。

 スタッフが『高齢者がデイサービスに行って、1日おもしろくなかったというようでは良いデイサービスとは言えない』と言うとおり、めざしているものは「楽しい」「明るい」「元気な」デイサービスで、毎日のメニューもユニークである。

 たとえば、毎月5のつく日(5・15・25日)はワイン&ジュースの日で、昼食前にお酒のいける方もいけない方も一緒にグラスを傾け乾杯!
 昼食後はコーヒー&紅茶タイム。挽きたてのおいしいコーヒーと香り高い紅茶。
 昼食やおやつはいずれもキッチンスタッフのこだわりの手作りニュー。もともと男性料理教室から始まったサークルなので、その経験を生かしている。
 午後は、各自が自由に参加する趣味のプログラムで、麻雀、囲碁、将棋、ゲームなどのプログラムがあるが、最も人気のあるのは麻雀で、5卓はいつも満員である。毎日のメンバーの定員は30人なので男性も女性も半分以上が麻雀に興じ、にぎやかな声があがっている。
 他のデイサービスでは麻雀はやっていないので、これも男性メンバーの人気がある理由の一つである。

 その他にお散歩、ガーデニング、書道、絵手紙、歌、絵画、歌の伴奏はスタッフによるハーモニカだという。

 杉並区における「高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家」事業の展開は、学校の余裕教室の活用法、行政と住民の協働事業のあり方、退職男性の地域参加、「楽しい」デイサービスの一つの形、多くの教訓を与えてくれるのではないか。

「高齢者在宅サービスセンター 松渓ふれあいの家」へのリンク

2.『杉並区立ゆうゆう西田館』事業

 杉並区には「敬老会館」が区内各地域に設置されていたが、この施設を高齢者の生涯学習と地域参加の場として、16か所に「ゆうゆう館」を開設した。

 敬老会館はもともと「高齢者の地域施設」だったが、そこから発展して、高齢者予備軍も含め、多くの方にも利用してもらうために、「ゆうゆう館」として事業の見直しを行い、シルバー人材センター、社会福祉法人、NPO法人などが運営(指定管理者)にあたることになった。

 特に区民との協働事業として運営事業者を公募した結果、多くのゆうゆう館を「生きがいの会」を含むNPO法人が運営している。
 『杉並区立ゆうゆう西田館』(旧西田敬老会館)は19年度から、『生きがいの会』としては2か所目の協働事業として取り組み運営することとなった。

 『生きがいの会』は、「ゆうゆう西田館」において「地域の仲間と居場所作り講座」「麻雀を楽しむ会」「パソコン教室」「ガーデニングを楽しむ」などの11講座を開設した。
 事業で最も人気があるのは麻雀で、年間133講座開設し、男性434人に対して女性が1820人が産科、パソコン入門講座は300人が参加し、年間利用者数は前年(区直営)の5000人から19年度は8800人に増加した。
 生きがいの会のゆうゆう西田館は、「ご近所のカルチャーセンター」をめざして、気軽に、質が高く、安価で、楽しかったと思ってもらえる事業を展開しているという。

北海道津別町の生ごみ堆肥化を視察してきました
2008/10/29

 10月15・16日に、北海道釧路市で、全国市議会議長会主催の議員活動に関する研究フォーラムが開催されました。
 大地の5人で参加し、その翌日の17日、釧路市の隣の津別町に行って、生ごみ堆肥化事業を視察してきました。

久喜宮代衛生組合の「HDMシステム」実験と同じ方式による堆肥化の先進例

 久喜宮代衛生組合で10月から、「HDMシステム」と呼ばれる生ごみの減容化・堆肥化の実験を開始していますが、津別町はこれと同じ方式による生ごみ堆肥化を平成13年度から取り組んでいて、順調な成果をあげています。
 私たちは、久喜宮代衛生組合の生ごみ堆肥化を進める立場から、同じ方式での全国唯一の先進例である津別町の取り組みを、どうしても実地に見てきたいと考えました。

 津別町は人口約6000人、林業と酪農の町です。
 そもそもは、ごみ焼却炉が老朽化して、その延命を図らなければならなかったこと、また焼却炉の排ガスから基準を超えるダイオキシンが検出されて、燃やすごみの量を減らさなければならなくなったこと、特に燃やすごみの中で50%を占める生ごみの減量化を進めることが急務となったことなどから、生ごみ堆肥化の取り組みが始まりました。

 それは久喜宮代衛生組合が生ごみ堆肥化に取り組んだのと同じ背景があると考えられます。

 津別町の堆肥センターは、平成13年に稼働し、最初は木材バーク(樹皮)の堆肥化、下水(集落排水を含む)汚泥の堆肥化、酪農の牛糞の堆肥化をしていました。

 15年からそれらの工程とは別に、実験的に給食センターの残渣や町営温泉宿泊施設から排出される生ごみを搬入して堆肥化を進めました。
 平成16年から、一般家庭からの生ごみの堆肥化を一部試行し、平成17年、同時に生ごみ回収を有料化(生分解性プラスチック袋を使用)して、全自治会において生ごみの分別収集を開始して全量堆肥化の取り組みを開始しました。
 生ごみ分別収集に参加しているのは町内49自治会中26自治会で、市街地ではほとんどの町民ということになります。町内には農業や酪農家も多く、生ごみを自家処理している家庭を別として、生ごみはすべて分別収集して堆肥化しているそうです。

 生ごみは特種な機械で撹拌、生分解性袋を破砕して、菌床の山に投入(写真左)、大型ショベルカーで撹拌(写真中)、さらにコンポストターナーと呼ばれる大型機械で撹拌しながら移動(写真右)と進みます。
 上から下まで完全にひっくり返しながら念入りに撹拌して、空気をたっぷり混ぜ込んでいくのがポイントのようです。
 菌床はEM菌の一種である「HMエスパス」「HDM菌」を混入していますが、発酵促進のために必要なら、さらに追加混入します。

菌床の山の中は、約70度で発酵しているので、撹拌するともうもうたる水蒸気が立ち上ってきます。

 生ごみ収集量(搬入量)は、年間約300トン、月平均24トン、1人あたり月排出量は約4kg。
 生ごみの収集日は1週間に2日間で、1回あたり約3トンを収集して処理していますから、1日平均では約1トン弱ということになります。
 最初の菌床は80m3、そこに年間300トンの生ごみを投入し、菌床を60m3追加して、菌床の山は80m3の量は変わらないということです。
 したがって事実上、生ごみはほとんどが分解されて「消滅」していることになります。
 年2回、菌床から17〜20m3の堆肥を取り出して2次発酵させ、1年くらいねかせてから、町民に配布しているそうです。
 下の写真は1年間ねかせた2次発酵堆肥で、翌週に町民に配布するものです。手ですくってみましたが、発酵はほとんど終わっていて匂いはまったくありませんでした。

 こうしてできた堆肥は、バーク堆肥、酪農畜糞の堆肥、下水汚泥の堆肥は酪農農家に配布し、牧草地の堆肥として散布されます。
 生ゴミの堆肥はおもに自家菜園の堆肥として配布されています。

宮代町の学校給食の試食会に参加しました
2008/10/25

 埼玉県東部地区の議員や市民で「東部地区政治改革ネット」という会を作っています。
 党派にとらわれないでさまざまな政党や市民が参加していて、毎月定例勉強会を開いています。
 10月24日に、宮代町の学校給食センターを視察、試食会を行いました。

学校給食にかける町ぐるみの熱意に感動

 宮代町の学校給食センターは、1か所で町内全部の小学校4校、中学校3校の学校給食、約2650食を作っています。
 調理と配送を久喜市と同じ全農食品に委託していますが、センターは町の施設であり、献立も町の栄養士さん2人で作っています。
 つまり久喜市では、センターの運営も調理も、食材料の購入もすべて全農食品に委託していますが、宮代町ではあくまでも調理だけの委託であり、学校給食については町が全面的に責任を持つ仕組みになっています。

 組織は次のようになっています。
 学校給食運営審議委員会…給食費、給食運営に関する全般的なことについて審議
 学校給食研究委員会…献立の検討と反省、給食指導に関することなど
 物資選定会議(年11回)…食材の選定と仕入れ、特に地元産食材の購入について協議しています。

 この日の献立は、ごはん、牛乳、いかの磯辺揚げ(上右)、五目きんぴら(上左)、のっぺ汁(下右)でした。

 献立は、久喜市よりももっと工夫を凝らし、バラエティに富んだものでした。
 各県の郷土料理の日(10月は群馬県・おっきりこみでした)、行事食、外国料理の日、児童生徒からのリクエスト献立の日(10月はハロウィンでカボチャ料理)、10月10日は目の愛護デーでヨーグルトのブルーベリーソースの献立もありました。

 食器は、皿2枚とお椀が強化磁器製で町のシンボルの葡萄の絵入りの特製品です。
 ご飯はアルミの弁当箱に1人分ずつ盛り込まれてきます。これは久喜市と同じに、久喜市内のライスセンターに委託炊飯していて運ばれてきます。1食の盛りつけ量は17.37円かかっていますが、この分は町で負担しています。

米は100%宮代産コシヒカリ、野菜などの地場産食材が34%

 宮代町の学校給食の大きな特徴は、地場産の食材をできるだけ多く使っていることと言えます。
 米は全量が宮代町産のコシヒカリです。
 味噌も全部、宮代産。宮代町内で生産された旬の野菜などの農産物の使用は、平成18年度は31品目、19年度は42品目、重量ベースで34%に達しています。最近は特産のモロコも使っているそうです。
 毎月の献立表に「宮代産」の野菜を明記し、さらに各学校での毎日の放送用資料で、地場産農産物であることを知らせており、「生産者の方々への感謝の気持ちや残さず食べようとの意欲を育む」と言っていました。
 地場産農産物の使用のための町行政や生産者との打ち合わせ会議を年2回開いています。

久喜市も宮代町も米は全量を地元産を使っていますが、内容と値段が違います。なぜ?
いずれも、中学生の1食分 110gです。  
宮代の米飯給食 宮代産米こしひかり 64.49円
久喜の米飯給食 久喜産米こしひかり30%、彩のかがやき70% 66.53円

 献立に使ったすべての食材料について、産地がわかっています。
 この日の、のっぺ汁、以下の磯辺揚げ、五目きんぴらに使用された食材料(調味料も含めて)20種類の内、小麦粉だけがオーストラリア産と日本産のブレンド、その他はすべて国産で、どこの県だかわかっているということでした。
 輸入食材の場合でも、中国産はいっさい使っていないということでした。
 地元の宮代産の農産物はもとより、すべての産地を把握しているということが大切なのだと思います。
 そうした姿勢が、子どもたちの安全のために安心安全な給食を提供するという行政の責任の表れといえるでしょう。

1人1人のアレルギーに対応した給食

 もう一つの大きな特徴は、平成17年度から、医師の診断書にもとづいて、各学校のアレルギーの子どもをすべて把握して、1人1人にアレルギー対応の原因物質除去食、または代替食を提供しています。
 たとえばこの日は、 
イカの磯辺揚げ イカアレルギー →サツマイモの天ぷら
イカの磯辺揚げ 小麦アレルギー →イカの立田揚げ
五目きんぴら 大豆アレルギー →枝豆と油揚げを除去
のっぺ 里芋・大豆アレルギー →里芋と油揚げを除去

全部の学校、クラスで“栄養指導”を実施

 2人の栄養士で、全部の学校を回って、年間30時間の「食育指導」を実行しています。
 小学校は4時間目にクラス単位に「食育」を実施し、給食をいっしょに食べています。
 テーマはたとえば、2年生「色の濃い野菜、薄い野菜」、4年生「3食の食品群、食品のグループ分け」、6年生「朝食の献立を考えよう。栄養バランスと1汁2菜・ご飯とみそ汁の組み合わせ」、中学校は学年単位で、たとえば2年生「食生活を考えよう。コンビニ食と食品表示」といったぐあいです。

 この日の給食がとってもおいしかったのはもちろんですが、地産地消、宮代産の食材の使用を積極的に進めていて、すべて産地を把握して明らかにしていること、1人1人のアレルギー対応や、「食育」の実践など、学校給食にかける熱意に感動しました。



議会のあるべき姿への歩み
三重県・伊賀市議会基本条例

2008/8/4

 8月4日、5日、議会運営委員会で、視察F研修を実施しました。
 目的は、三重県伊賀市議会の議会基本条例、三重県議会の議会改革についてです。

1.伊賀市議会基本条例制定までの経過

 2006年4月、議長選挙において、議員の立候補、公約発表を実施、その中で「議会基本条例制定」を公約に掲げた議長が当選し、その直後の5月、伊賀市議会は「議会のあり方検討委員会」を設置し、議長から、@議会基本条例について、A政務調査費の使途について、B議員定数についてを諮問しました。

 6〜8月にかけて「市民と議会の意見交換会」を開催、56会場、83団体、約500名の市民が参加し、議会基本条例制定についての理解を得ました。

 9〜10月、議会のあり方検討委員会で素案を作成、11月には市内6か所で議会基本条例についての住民説明会を開催、11月末に検討委員会から条例案が議長に答申されました。12月にパブリックコメントを経て原案を作成、その後、7回の議員懇談会を開催し、答申案について議論を深め、一部修正・削除をして、2007年2月28日、「伊賀市議会基本条例」が賛成多数で可決されました。

 なお、伊賀市議会では従来より「すべての会議は公開」で行われており、議員懇談会などの議論も市民、マスコミの傍聴、公開のもとに行われました。

 こうした策定経過からは、伊賀市議会基本条例策定が、原案策定までに約半年とたいへん短い期間で進められたにもかかわらず、議員や議会の主導だけでなく、すべて市民に公開された中で、市民の意見を取り入れる努力をしながら進められたことがわかります。

2.伊賀市議会基本条例の構成

 2004年12月に制定された伊賀市自治基本条例の、第5条第2項「この条例の定める内容に即して、分野別の基本条例の制定に努める」、第5章「議会の役割と責務」第38条〜41条に定められた議会と議員の責務、市民参加と情報共有の各課題を具体化するものとして、議会基本条例は制定されたものといえます。

 したがって、伊賀市議会基本条例はいわゆる理念条例にとどまらず、議会の実施する具体的な施策を定めています。

3.伊賀市議会基本条例の特徴

 伊賀市議会の説明によると、伊賀市議会基本条例の特徴的な規程として、次の7項目があげられています。

@【第7条】市民との意見交換の場である「議会報告会」を議会主催で実施する

A【第8条】市民にわかりやすい議会論議ならびに審議論点の明確化のため、質疑・質問は「一問一答方式」で行うことと、行政執行部(答弁者側)に「反問権」を認める

B【第9条】政策の公正、透明性の確保と議会審議での論点情報の形成のため、行政に対し、議案提案と同時に、政策形成の経過や田の政策との比較検討、財源などの説明義務
を負わせる

C【第12条】議員による政策討論会を実施して、二元代表制の一翼を担う議会としての政策形成をはかる

D【第13条】常任、特別委員会の活動の一環として、市民の要請に応えて「出前講座」を実施する

E【第18条】全議案に対する各議員の対応と反対(賛成)理由を公表する

F【第20条、21条】議員の定数、報酬の改正は、議員みずから説明責任を果たすために「議員提案」で行うこと
などを、議会基本条例で規定し、議会及び議員に義務付けています。

4.伊賀市議会基本条例の根底には、次のような基本姿勢があります。

@議会を市長と並ぶ二元代表制の一翼として、監視機能及び立法機能【前文】を十分に発揮させることによって、地方自治の本旨に基づく議会のあるべき姿の実現をめざそうとしていることです。

A議会を、市民の意思を代表する合議制機関と位置づけて、意見の対立から議会におけるまちづくりへの合意形成をはかろうとしていること【前文】
 そこから「政策討論会」の設置や、「議員相互間の自由討議を中心に運営しなければならない」、「議員、委員会及び市長提出議案並びに市民提案に関して審議し結論を出す場合、議員相互間の議論を尽くして合意形成に努める」【第11条】という、民主主義の本来の姿を追求する規程が導き出されてきます。

B代表者会議や議会運営委員会など、議会のすべての会議を原則公開【第6条】とし、市民に開かれた中での意志形成をはかろうとしていること

Cこうした基本的な見解に基づく諸規定を実現していくために、議会基本条例を「議会における最高規範」【22条】として位置付け、将来にわたる議会及び議員の行動を律していこうとしています。

5.現状と今後の課題

@伊賀市議会ではもともとすべての会議は公開でしたし、基本条例制定後、すでに議会報告会や出前講座は実施してきました。
 行政からの重要な政策を議会提案するにあたって、その根拠となる論点情報の提供や、議会審議における「反問権」の行使も実現してきています。

A議員間の政策討論会も数回試みられてきていますが、まだ政策討論会を通じて、「議会としての政策形成」にまでは至っていないということでした。また、委員会における議員間の自由討議による合意形成の取り組みは、今後の課題と説明されていました。 

B地方議会のあるべき姿を、条例として描き上げ、一歩一歩着実にその実現に向かって歩を進めている、伊賀市議会はその途上にあると言えるでしょう。

久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(3)
2008/7/20

山形県の4分の1をカバーする大規模、広域のごみ処理施設…置賜広域、千代田クリーンセンター

 山形県南部、2500kuの広大な面積に、人口わずか24万人、米沢市・長井市・南陽市の3市、高畠町・川西町・白鷹町・飯豊町・小国町の5町で構成されている広域組合です。
 埼玉県の面積が3800km2ですから、その半分以上の広さということになります。
 ごみ、し尿の他、コンピューター行政事務、老人ホームの管理運営など、対象事務の範囲も広いのですが、議会はわずか24名の議員で構成されていて、住民や議会の意志の反映、地域住民との結びつきがどうなのかという疑問もあります。

 この広大な地域で、ごみ焼却施設はこの千代田クリーンセンター1か所です。あまりにも広くてごみ収集車や住民の持ち込みにも不便なため、管内3か所に中継地をもうけ、いったん「リレーセンター」に集められたごみを大きな運搬車に積み替えて、千代田クリーンセンターに運んできます。

 明らかに、政府の進める大規模化、広域化によるごみ処理という方針に沿ったもので、久喜宮代とは大きく条件が違います。
 焼却施設は85トン炉3基、24時間運転、蒸気タービン発電機を備えています。
 また、併設されているリサイクルプラザには、ペットボトル、プラスチック包装容器の選別施設もあって、委託企業の従業員の方々が、コンベアの脇に張り付いて選別作業を行っていました。容器包装協会に出すプラスチックは「A」クラスにランクされているそうです。リサイクル体験、展示施設もありました。


久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(2)
2008/7/19

40トン炉1基の小規模な焼却施設で、先進技術がいっぱい…福島県田村西部環境センター

 7月14日、午後、三春町にある「田村西部環境センター」に行きました。
 ここは、小野町、三春町、田村市で構成する、田村広域行政組合の管理するごみ処理施設の1つですが、この広域行政組合はたいへん幅が広く、他に、し尿処理施設、東武環境センター、灰溶融処理施設、最終処分場、さらには情報処理センターも管理しています。
 各市町から選出されている議会はたった10人の議員で構成されています。それだけでごみ行政全般の政策を審議して決めてしまっているわけですが、はたして十分な議論が保障されるのかどうか、少々疑問に感じました。

 この西部環境センターは三春町と田村市の一部の家庭から出される一般廃棄物について、ごみ焼却と焼却灰の溶融をしています。
 焼却炉は40トン炉1基だけ、24時間運転をしていて、年間稼働日数は276日(19年度) 、年間焼却量は約1万トンです。

 建設費は約19億円で、さらに15年間の運転管理経費を合算して、日立造船株式会社に委託するという方式をとり、いわば「公設民営」的な運営形態となっています。18年度の運営維持管理業務委託料は2億円、19年度は燃料代の高騰を上乗せ補正して、2億4000万円です。
 従業員22名は全員、日立造船の雇用で、内16名は地元雇用だそうです。

【日本一小さな発電所】

 最も大きな特徴は、余熱利用設備としてボイラーを設置して隣接するサウナ・温泉施設(地域還元施設)に余熱を提供していることと、もう一つはさらに余った蒸気を利用して自家発電していることです。
 日本で5台しかないという小型の蒸気発電機を設置し、発電量は100kw、東北電力への年間売電価格は3000万円、場内の使用電力との差額800万円が利益となったことになるそうです。
 このセンターの玄関には、「田村発電所」という看板もかけられていました。

 発電機は、施設稼働後の19年度に、日立造船の発案と負担で設置されました。毎年2億円余の委託料と考えたとき、日立造船側が発電機設置費用を出したとしても、電気料の節減による効果の方が大きいと判断したのだそうですが、民間ならではの発想と言えるかもしれません。

【灰溶融炉の燃料は、プラスチック】

 もう一つの特徴は、焼却灰を無害化するために灰溶融炉を設置して灰を固化(スラグ)し、路盤材やコンクリート骨材に利用します。19年度は556トンを製造し、1トン100円で地元の建設業者に売却しています。
 灰溶融炉で灰を溶かすために、たくさんの灯油が必要ですが、その燃料には管内から収集したプラスチックを使っています。
 プラスチックのほぼ全量にあたる年間455トンを粉砕して「フラフ」と呼ばれる細かいチップにし、これを使うことで、灯油を7〜8割、3000万円節約したことにより、CO2排出量を1100トン削減したことになるとしています。
 プラスチックを再商品化するには、容器包装プラスチックの分別や洗浄が必要ですが、燃料として使用するのであれば洗浄や細かい分別は必要ないのが強みだと説明していました。

 民間企業らしい新しい技術と柔軟な発想とを大いに感じさせてくれましたが、一方で、行政と議会の関わりがどうなのか、ごみ行政に対する市民の関わりがどうなのだろうかと考えさせられました。出されたごみの処理を効率的に進めるのはもちろんですが、ごみそのものの減量を進める地域の取り組みはどうなのでしょうか。

こんなに小さい!? 発電機 燃料となるプラスチックごみの山

久喜宮代衛生組合議会の視察研修報告(1)
2008/7/18

 久喜のごみの最終処分場のひとつ…小野ウェイスト・パーク(福島県小野町)

 7月14日、久喜宮代衛生組合議会の視察研修、まず、福島県小野町にある「小野ウェイスト・パーク」に行きました。
 ここは久喜宮代の焼却灰と不燃残渣の最終処分場で、2007年度は約500トンを埋め立てました。
 この処分場は、久喜市にあるウィズ・ウェイスト・ジャパンが造成した処分場で、1996年から埋立を開始し、関東近県の100もの自治体のごみ(焼却灰・ばいじん・不燃残渣)が持ち込まれ、埋め立てられてきました。

 ここは小野町の町有林で、そこを「ウィズ」が造成しました。ごみを排出する自治体と、「ウィズ」と小野町が三者で公害防止協定を結び、最初は10年計画で、その後、期間を5年間延長しました。
 ここは下流地域の水源林地域でもありますが、しゃ水シート、しゃ水機能監視システム、浸出水処理施設により、安全と環境を確保しているとしています。
 本来は、ごみは自区内処理が原則とされていますが、私たちの地区に最終処分場がないために、ここまで運んできていたわけです。

 この処分場は、すでに埋め立て計画量の90%に達しており、久喜宮代のごみは、今年度からはここでなく、やはりウィズ・ウェイスト・ジャパンの草津温泉近くの処分場に運んでいます。


ここは下の図のような谷だった。
今は見上げるようで、ほとんど埋め立て完了

今はこの丘の向こう側を埋めている。
焼却灰の上に土をかぶせて戻ってきたトラック

久喜宮代衛生組合のごみ(焼却灰など)は、最後はどこの最終処分場に埋められているか

最終処分場 2007年度搬出量
(2月末までの集計)
委託料 2008年度見込み 金額
ジークライト(山形県) 焼却灰 680トン 2143万円 300トン 945万円
ウィズ・ウェイスト・ジャパン(小野) 焼却灰 483トン 1518万円
不燃残渣 10トン 33万円
ウィズ・ウェイスト・ジャパン(草津) 焼却灰 300トン 945万円
不燃残渣 40トン 126万円
ウィズ・ウェイスト・ジャパン(三戸) 資源残渣 247トン 818万円 310トン 1074万円
埼玉県環境整備センター 焼却灰 194トン 440万円 300トン 945万円
不燃残渣 379トン 823万円 400トン 873万円
太平洋セメント(埼玉) 焼却灰 506トン 1388万円 600トン 1890万円
メルテック(栃木県) 焼却灰 366トン 1306万円 800トン 2520万円
ばいじん 39トン 1968万円 800トン 4116万円
埼玉ヤマゼン 焼却灰 200トン 630万円
新和企業(茨城県) 汚泥 61立方メートル 298万円 100立方メートル 488万円
タイヤ・バッテリー 20万円

 


「議会運営改革シンポジウム」に参加してきました
2008/5/25

 5月23日、半蔵門の全国町村議員会館で「2008年度議会運営改革シンポジウム」が開かれ、“大地”で参加してきました。
 全国の自治体議員や議会事務局関係者約200名が集まりました。
 私たちは早くに予約していたのですが、申し込みが多くてだいぶ断られたそうです。

二元代表制の下で、議会と首長の関係性はいかにあるべきか

 午前中は議会運営改革についての講演で、議会改革は定数削減や議会経費削減だけでなく、議会の活動量、議会の役割発揮度を向上させていくこと、それによってまちづくりへの貢献度を上げていくこと、
 特に、
・首長と議会の二元代表制の下で、議会が執行部の行政に対する監視と評価を行い、その上に独自の政策立案機能を形成していくこと
・行政評価の手法を取り入れて議会や議員みずからが議会改革を進めることの重要性
が強調された。 

予算審議のあり方

・執行機関の予算編成方針の策定にいかに関わるか、そこに議会や市民の意見を反映させることができるか、実際の予算が首長の基本方針に基づいて行われているかを監視しチェックしていくこと、
・決算審査において、執行部みずからの事務事業評価をチェックし、議会の視点から行政評価を進めること、決算に対する議会からの指摘が次の予算編成にどのように反映されているかをチェックしていくこと、
・議会の質問や質疑における要求事項や政策提案が、行政執行や予算編成にどのように反映されているかをチェックしていくこと、
など、今後の久喜市議会の取り組みに対しても多くの示唆を得ることができた。

 午後からの事例発表では、三重県議会と飯田市議会から議会改革の実践経過が報告された。

《三重県議会の議会改革の取り組み》

・基本計画や男女参画推進計画、環境基本計画、バリアフリーのまちづくり推進計画、人権行政推進計画などは、法律上は議会の議決は必要ないとされているが、これらを議会で直接に審議し、議決することとした。
・予算決算常任委員会を設置して、予算審議の内容充実を図った。
 本会議や他の常任委員会審議はもちろん、予算決算常任委員会、分科会審議をインターネット中継を実施した。
・6月議会後に議会として、次年度の予算編成方針に対する要望、9月議会で予算編成方針に対する質疑、11月議会では当初予算の各部局からの要求状況を明らかにさせる。
 これによって、年間を通じて、議会からの執行部の予算編成に対する関わりを強めた。・今年度からは議会の会期を年2回とした。
 前期は2月〜6月、後期は9月から12月とし、休みは年末年始とお盆の時期だけで、実質通年議会とした。
 これによって、緊急の議案にも対応できるようになり、「議会を開くいとまがない」ことを口実にして条例改正などを議会に諮らずに決めてしまう首長の専決処分をなくしてきた。
 年4回の議会だと、休会中に委員会を開くには前の議会で議長と本会議の承認が必要だが、2回の会期となれば、会期中であれば必要に応じて柔軟に委員会を開くことができるようにした。

《飯田市議会の議会運営改革》

・平成19年4月に、議会が主導して「自治基本条例」を策定した。
 議会として議会活性化の一環として自治基本条例を検討を進め、議長の諮問機関として「わがまちの憲法を考える市民会議」を設置して議会の発議によって条例策定を進めた。・対面室問席の設置と一問一答制の採用、本会議のCATV中継の実現
・現在は、決算審査において、行政による事務事業評価を生かしていく取り組みを進めている。
 これは、「施策目的の達成に向けて効果的に事務事業が展開されているかをチェックする」ことを目的とし、これまでは決算書の数字や事業実績、事業内容を質問するのが主だったが、こうした決算審査のやり方を抜本的に変えていこうとするものである。
 これは他の多くの自治体議会も同じなので、私たちの久喜市議会にとっても大いに参考になるものであった。
・飯田市議会も、平成18年度の用例改正で、市の基本計画を議会の議決事項としている。

鶴ヶ島市議会の“議会報告会”を見学してきました
2008/4/23

 4月19日、鶴ヶ島市議会主催の議会報告会が開かれたので、大地の5人で“見学”に行ってきました。
これは昨年来、鶴ヶ島市議会が“議会改革”“議会活性化”について検討を続けてきて、その成果の一つとして実施されたものです。

 最近、全国各地の自治体で「議会基本条例」を定め、その中で、議会の側から市民の中に出ていこう、市民と対話しようという動きが取り組まれてきていますが、さいたまでも関東でもおそらくは初めての取り組みで、各地の議会の注目を集めました。
 4月19日の土曜日、午後1時半から市役所のロビーで開催され、150名以上の市民が参加し、中には他市の議員らしい姿も見られました。

 議会改革特別委員会委員長から、この議会報告会を開くことになった経過と議会改革の取り組みについての報告、次に各常任委員会委員長らが次々に立って、3月定例議会の報告を行い、市民から質問や意見などを受けていきました。
 始めは2時間くらいの予定だったらしいのですが、市民から次々と手が上がり、4時半ごろにやっと閉会しました。

 最初に司会役の議会改革特別委員長が、議会でどのような審議をしたかを報告する、市民のみなさんも議案や政策の内容や陳情ではなく、議会がどんな市議をしたかについての質問をしてほしいと、念を押していました。
 実際、議案や政策の内容そのものであれば、行政当局が行うべきですし、議会に対して「この政策が云々」という意見を出されても、議会は会派や議員によって立場も考え方も違いますから、答えようはないわけです。
 しかし実際の報告会の進行はかなり委員長の考えとは違っていってしまったように見えました。
 各委員長が常任委員会の内容を報告する際に、どうしても議案の説明そのものになってしまっていましたが、本来なら、それぞれの議案について、何が問題になり、どんな質問がどれくらい出されたかを、もっと報告してほしかったと思います。

 市民からの質問でも、議案の内容そのものについての質問や、「この議案はけしからん」というような意見が出されてしまって、それに対して、議員側からの回答では、会派によって「わが会派は反対した」「私たちはこういう理由で賛成した」というような話がされてしまっていました。
これでは政治討論会に近くなってしまって、立場の違いを際だたせることになってしまうのではないかと思われました。

 それでも私は、この議会報告会は「成功」だったと評価します。
 それは議会だけで準備して市民に呼びかけて、150名以上の市民が関心を持って集まったこと。
 議員がみずから議会の内容を整理し、市民に理解してもらえるように工夫しながら話していったこと。
 質問に対しても、各議員が積極的に演壇に立ち、きちんと誠実に説明しようとしていたこと。
 つまり、議会が市民の中に出ていくんだということを身を以て示すことができたということです。
 説明の仕方に工夫が足りないとか、政治討論会みたいになりがち…、といった、問題点を指摘することは簡単です。
 しかし、それらの問題点は「今後の課題」として、これから回を重ねていくことによって改善していくことができるだろうと思います。
 要は、議会が主催する議会報告会は何を目的として、市民に何を伝えたくて実施するのかということを、議会と市民が確認し合うことが大切なのです。
 鶴ヶ島市議会が、これからもこの議会報告会を継続して開催し、他の議会に広がっていくことを期待したいと思いました。

 鶴ヶ島の議会報告会に参加して、議会と市民のやりとりを見ていて、私たちも久喜市議会として、反省しなければならないと思ったことがあります。

 それは、私たちは普段、久喜市議会で、議員と行政当局だけにわかる専門的なルールで運営され、市民にはわからなくて当然と考えてはいなかったか、議会はともすれば、市民の批判は「素人の批判」として受け取って、理解してもらえなくても仕方がないといった態度に陥ってはいなかったかということです。
 「むずかしいルール」と開き直るのでなく、市民に理解してもらえる説明の仕方を工夫していくことによってこそ、議会が市民から信頼される存在になると思います。



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