大曲市生涯学習情報誌「かりよん」からの転載
(大曲市生涯学習推進本部・平成12年12月5日発行)


  藤間流を踊る二人の少女の舞姿をみていると、中学一年・小学六年だということをわすれそうになる。  日本舞踊に、まだ幼さのある少女が取り組んでいる。しかも、楽しいという。興味を持って取材させてもらった。
  お二人は石田千紘さん(大曲中学校一年・丸の内町)と村上千恵さん(花館小学校六年・幸町)で、正月に舞う「桜道成寺」の練習中だった。  日本舞踊は「舞」と「踊」に大別され、一般に「能」以前のものが「舞」、歌舞伎以後のものが「踊」とよばれてきた。
 踊は十五・六世紀ごろから、民俗舞踊として庶民の間で広く行われ、やがてそのなかから歌舞伎舞踊が生まれた。
 その発展過程で舞の要素も取り入れられ、演劇的表現の「振り」といわれる要素も加えられた。
  踊の流派も「西川」・「花柳」・「若柳」・「坂東」・「吾妻」・「岩井」・「藤間」など多くのものが生まれ、また二十世紀初めごろからは西洋舞踊の影響を受けて、新舞踊運動が起こった。
  学校の課外活動では千紘さんがマーチング、千恵さんはバスケットをやっている。それを終えてから週一回、藤間小妙さん・寿々穂さんの藤間流「藤扇会」の教室で稽古をしている。
  藤扇会は藤間流で歌舞伎役者の尾上辰之助を頂点とする流派だ。
  「舞」は「回ること」で旋廻運動を意味し、「踊」とは「おどりあがること」跳躍運動の意味だから、二人の課外活動とも相通じるものがあるようだ。
  学年も学校も違う二人が舞うことで知り合い、今では姉妹のような仲良しになっている。

どうして舞うことになったのか、二人に聞いてみた。

千紘さん
  気がついたらやっていました。ずっと小さいときからです。母が初めにやっていたんです。

千恵さん
  小学校の上学年になったころから母に勧められてですが、結講おもしろい。

  そのほかに感じることを聞いてみた。

千紘さん
  同年代の人があまりやっていないことと、流れるように体を動かして舞うことが楽しい。そして、着物や浴衣も貴重な経験です。

千恵さん
  舞の行事が終わるまでは大変だけど、その後も含めて本当におもしろくて楽しいですよ。
石田 千紘さん
村上 千恵さん

 「舞」を通じて出会った二人だが、普段も大変に仲の良い友達で、厳しい稽古を通してお互いに認め合うものがあるようだ。
 次に師匠の藤間小妙さん・藤間寿々穂さんからお話を聞いた。
藤間
 稽古ごとは本人が一番。その人がやる気でいないと続かない。大変さだけでなく、いろいろな事が喜びとなって欲しい。
 そして、大人になって役立つ時が必ずあります。やっていて良かったと思うでしょう。
 このことは、藤間流四世家元の尾上松緑が著した「踊りの心」という本の次の言葉にあてはまっているようだ。
 「心の裏付けがあるということは、これは必須条件だと思います。それと、もう一つは踊というものは、やはり楽しくやるべきです。そこに楽しさが流れなければ、見る方もつらい、やる方もつらい。」

(お師匠さんとともに)

 師匠の言葉を素直に受け入れている二人。現代っ子として生きながらも、人として社会の中で生活する礼儀や考え方といういい経験をさせてもらっているようだ。
 最後に千紘さん、千恵さんから聞いた。
 厳しいときもありますが、「ゆかた会」などが終わった後は、たまらなく充実感があって、やっていて良かったと思います。
 つらいこともあるけど、人とふれあうことができてとても楽しい。
 舞っている時は集中していて、演技などまだあまりできてないけど、相手を見ながらステキだな・・・・と思うことがあります。

ある言葉が浮かんできた。
相手をおもいやり、
生かし合い、
互いの良さも引き出して、
楽しく舞う。
「友舞}という。

 ほのぼのとした温かいものを二人に感じた。これからも、仲良く「舞」を続けていって欲しいものだ。
 二人が正月に舞う「桜道成寺」をぜひ見てみたいものだと思い、取材を終えた。