正法寺ってどんなお寺?
  正法寺をもっと楽しくもっと知って頂くために
ここではパンフレットにも載っていない情報を教えましょう。
山内川の住人 / 殿様と馬と蹄跡(ひづめあと) / 毘沙門池の幸魚
和尚と猫と大鼠 / 正法寺炎上


山内川の住人
  正法寺の門前を流れる山内川(やまうちがわ)。
 澄んだ綺麗な水が流れ、来る者の心を和ませてくれます。

  この山内川には、さすがは山寺と思わせる住人(?)がいます。

  綺麗な川にしか生息しないといわれる「ヤマメ」がその住人です。
 普段は川の岩下などにいるようで、滅多にその姿を見ることは出来
 ないようですが、惣門前に掛かる円通橋(えんづうばし)からも姿を
 見ることも出来ます。

  *山内川に住む少ないヤマメです。
             釣りなどしないようにお願い致します。

山内川の住人
  正法寺に入山するには、二つの橋のどちらかを通らなければ
 なりません。一つは「円通橋(えうづうばし)」、もう一つは「月泉橋
 (げっせんばし)」と言います。その昔には月泉橋はなく、必ず円通
 橋を渡り惣門より正法寺に入山致しました。

  この橋の脇に「下乗」と書いた立て札があります。どなた様もこの
 橋の前で乗り物から降りてお上り下さいとの意味です。
 また仏様の前では、身分に関係なく、殿様でもお侍様でも、平民でも
 みな等しく自らの足でお寺にお参りなさいとの教えでもありました。

  この教えに反した一人のお殿様がおりました。「余は殿様じゃ。
 馬から下りん!」と言って、勢いよく惣門の石段を駆け上がりました。

  が、惣門の石段があまりに急で、馬も途中で力尽きてしまいました。
 殿様は馬に「上れ!上れ!」と叱咤するも、馬は蹄(ひづめ)を掻く
 ばかりでした。とうとう殿様も馬を下り、みなと同じよう自らの足で
 お寺に入山したというお話です。

  その時の馬の蹄(ひづめ)の跡が、現在も惣門の石段に刻まれている
 ということです。

  正法寺の惣門の石段がなぜに急に出来ているのかが、よくわかる
 エピソードですね。正法寺にお越しの際は、惣門の石段を上りながら
 馬の蹄(ひづめ)跡を探してみるのもよいでしょう。
 


<馬の蹄跡に見える?>

山内川の住人
  正法寺の惣門を上り、正面参道、白山社の脇に池があります。
 毘沙門池(びしゃもんいけ)という名で親しまれています。

  毘沙門とは、仏法を守る毘沙門天(多聞天)を指します。その名の
 通り、仏法、正法寺を守る池であります。

  その昔は、不如法(規律に反した)な修行僧が、この池に投げ込ま
 れていたとの話もあります。

  この池には、小さな魚が数十匹おります。よく目を凝らして見ないと
 発見出来ません。いつしか「この魚を見れた人は運がよい」「幸せに
 なれる」と語られるようになりました。

  *池を覗き込む際は、十分に気をつけて下さい。


<毘沙門池>

山内川の住人
  その昔、正法寺の和尚様の側に、いつも寄り添うように猫がおりました。
 この猫、いつも天井を睨み付けているので、変に思った和尚様がその訳
 を猫に訊ねてみると、天井裏に住む大鼠が和尚様を喰わんと狙っている
 というのです。

  ある日、猫は仲間を呼んで来ると和尚様に話をしました。そして自分が
 いない間、大鼠が和尚様を襲わないように、襖に猫の画を描いてほしい
 と和尚様にお願いし旅に出ました。

  和尚様は猫に言われた通り、襖へ猫の画を描きました。大鼠はその画
 にすっかり騙され、「今日もあの猫がいる。和尚を喰えん。」と舌なめずり
 しては悔しがっておりました。

  幾月かが経ったある日、猫が一匹の仲間を連れて帰って来ました。
 「これから大鼠を退治して来ます。」と言って、二匹の猫は天井裏に
 上っていきました。

  ドタン!バタン!と大きな音が響き渡ること数分。ピタリと音がしなく
 なりました。和尚様は静かに天井裏に上ってみると、グッタリと動かなく
 なった大鼠の側に、息も絶え絶えの二匹の猫が横たわっていました。

  和尚様が二匹の猫を抱きかかえると、猫はニコリと笑みを浮かべ、
 静かに息を引き取りました。

  和尚様はこの二匹の猫を弔うため、正法寺の境内地に塚を建て供養
 しました。現在もこの塚は「猫塚」として正法寺に伝えられ、信仰篤き
 人々により守られております。

  また退治された大鼠は、四足をもがれ、経机の脚にされたと伝えられ
 ております。この大鼠の足を使った経机は、現在不明となっております。
 大鼠の執念か、その四足を使い逃げてしまったのかもしれません。


<霊猫塚>





山内川の住人
  むかしむかしのお話です。ある日、一人の木こりが正法寺の裏山へ
 入り、とても大きな姥杉を切りました。

  姥杉が倒れる瞬間、あまりの勢いに木こりは空高く飛ばされてしまい
 ました。目を回した木こりが着地したその場所は、なんと本堂の大屋根
 の上。下りるに下りられず困り果てた木こりは「助けてくれ〜」と大声で
 叫びました。

  正法寺で修行していた小僧さん4人が、この事態に気づき大急ぎで
 梯子を持ってくるも、屋根の軒下までも届かず困っていました。

  一人の小僧さんが大風呂敷があることに気づきました。各々風呂敷の
 四隅を持ち広げ、「さあ、ここに飛び降りて下さい。」と木こりに言いました。

  あまりの高さに木こりは怖気づき、その身を投げ出すことが出来ません。

  そこへ和尚様が来られ、「仏様を信じ、この風呂敷が仏様の懐と思い
 飛び込みなさい。」と申されました。木こりは手を合わせ、仏様の名前を
 唱えながら飛び下りました。

  見事、大風呂敷の真ん中へ木こりが落ちた瞬間、あまりの勢いに四隅
 を持っていた四人の小僧さん達の頭と頭がぶつかり、たくさんの火花が
 飛び散りました。その火花がなんと本堂の茅葺屋根につき、これが原因
 で正法寺は大火災となってしまったという話です。

  この火事が教訓となり、その後、修行僧はみな作務(掃除など)をする
 時には必ず手拭を頭に巻くようなったとの話もあります。