2002/12/30
Syokの紹介
Syokの機能および使い方を具体的に紹介します。
- Syokの実行に最低限必要なデータ
- 日食を表示する
- 月食を表示する
- 水星の日面経過を表示する
- 月と土星の接近の様子を見る
- 恒星データのダウンロードと設定
- 小惑星データのダウンロードと設定
- 小惑星による掩蔽を調べる
- 接食時の月縁プロフィールを見る
- その他
1 Syokの実行に最低限必要なデータ
Syokを実行するためには、精密な惑星暦であるDE405データが必要となります。CD−ROMでも市販されていますが、国立天文台のサイトからダウンロードすることもできます。
ftp://dbc.nao.ac.jp/DBC/DE405/de405/
にある、de405.unx です(約53.2MB)。
このファイルをハードディスク上の適当なフォルダに置いて実行しますが、その場所をパラメタ設定画面の「カタログデータの格納フォルダ」として設定しておきます。
また、この画面で観測地の経度、緯度、標高などの情報も設定しておきましょう。
※Syokを実行するためには、実行ファイル本体と「TT−UT変換テーブル」ファイルをハードディスクに置きさえすれば、後はCDドライブなどの適当なフォルダに置いて構いません。
しかし、このDE405データだけは実行速度の点からハードディスクに置いた方が有利になります。
2 日食を表示する
Syokを起動すると、パソコンの内部時計を参照して「日付」を、また、時刻として「21:00:00」を表示します。日食の現象を表示するためには、この日付と時刻をおよそ±24時間の精度で指定する必要があるのですが、そのためには手元に何らかの資料が必要になります。
もし、資料がすぐに用意できない場合には、「日付」のテキストボックス上にマウスカーソルを持って行き、左ボタンをダブルクリックします。すると、下のような画面が現れます。

日食を表示するには「隠す天体」として「月」を、「隠される天体」として「太陽」を指定します。
「オプション」として、「合」を指定すると新月の時刻を、「衝」を指定すると満月の時刻を、「検索方向」で指定した時間方向に検索します。
検索は、「検索」ボタンをクリックする度に順次行われますが、「合」の時に2つの天体が非常に接近したために「食」現象が見られそうな場合には、その旨をステータスバーに表示して知らせます。
そこで、「設定」ボタンをクリックすると、日付と時刻および2つの天体に関する情報が設定され、食の局地予報が表示されます。
※「食が起こるまでスキップ」にチェックがあると、食が見られない「合」はスキップします。
※ここでいう、「合」または「衝」とは、赤経に関するものです。
- 「食の経路計算」を選択して、「実行」ボタンをクリックすると、(皆既帯の)中心および南北の限界線の座標が表示されます。この時、「図示する」がチェックされていると、この座標が地球儀上にプロットされます。
※地球儀上の任意の点をマウスでクリックすると、その地点の経緯度を表示するウィンドウが現れます。この経緯度の数値を微調整した後、指定により観測地点をこの場所に移すことが出来ます。
実行例を見る
※日付を指定して月による恒星の食(掩蔽)を簡単に検索するには、
「時刻」のテキストボックス上にマウスカーソルを持って行き、左ボタンをダブルクリックします。下の画面が現れるので、

日付と恒星カタログおよび検索する時間帯を確認して「実行」ボタンをクリックすると、指定した時間帯での掩蔽の情報が表示されます。
該当する恒星を選択して「設定」ボタンをクリックすると、食の局地計算が実行されます。
3 月食を表示する
-
月食は、「太陽(の影)が月を隠す」とします。従って、時刻を検索する際に、隠す天体に「太陽」を、隠される天体に「月」を指定、さらにオプションを「衝」とします。
※隠す天体に「太陽」が表示されない時には、パラメタ設定画面を表示して「移動体」パラメタで「太陽」を指定します。
-
「食の局所計算」では、一定時間ごとの影の大きさと月の位置関係が表示されます。「図示する」がチェックされていると、この座標がプロットされます。
- 月食は地球上のどこからも同じように見えるので、「食の経路計算」を選択しても何も表示されません。
実行例を見る
4 水星の日面経過を表示する
- 隠す天体に「水星」を、隠される天体に「太陽」を指定、さらにオプションが「合」でることを確認します。
- 「食の局所計算」では、一定時間ごとのベッセル座標が表示されます。「図示する」がチェックされていると、この座標がプロットされます。
- 内惑星の日面経過については、「食の経路計算」を選択しても何も表示されません。
実行例を見る
5 月と土星の接近の様子を見る
- 隠す天体に「月」を、隠される天体に「土星」を指定、さらにオプションが「合」であることを確認します。
- 「食の局所計算」では、パラメタ設定画面で指定した位置における一定時間ごとのベッセル座標が表示されます。「図示する」がチェックされていると、この座標がプロットされます。
- 「食の経路計算」を選択して、「実行」ボタンをクリックすると、中心および南北の限界線の座標が表示されます。この時、「図示する」がチェックされていると、この座標が地球儀上にプロットされます。
実行例を見る
.6 恒星データのダウンロードと設定
恒星の位置カタログは、国立天文台のサイトに置いてあります。
http://dbc.nao.ac.jp/prt1.html
Syokは、ここのページで示される以下のカタログを扱います。
( )内は、具体的に使用するファイルの名前です。
- 1239 The Hipparcos and Tycho Catalogues
(hip_main.dat.gz, 14.1MB)
- 1255 The HST Guide Star Catalog, Version GSC-ACT
(binディレクトリ及びN0000〜S8230のディレクトリのすべてのファイル)
- 1259 Tycho-2 Catalogue of the 2.5 Million Brightest Stars
(tyc2.dat.00.gz〜tyc2.dat.19.gzのファイル及びindex.dat.gz)
gz形式で圧縮されているファイルは、適当なソフトを見つけてきて解凍する必要があります。
Hipparcosファイルにインデックスをつけると処理が高速になります(IdxHip)。
さらに、Tycho-2の20個のファイルは、何らかの方法で(Tyc2Mergなどを使って)マージします。
Bright Star Catalogueデータをここからダウンロードすると、ファインディングチャートを表示するのに便利です。
これらのファイルを適当なフォルダに置いたら、パラメタ設定画面で「カタログデータの格納フォルダ」として指定します。
7 小惑星データのダウンロードと設定
ローウェル天文台のサイトに置いてある、Bowell氏のAstorbデータを使用します。
ftp://ftp.lowell.edu/pub/elgb/astorb.html
この小惑星に関する膨大なデータベースも、パラメタ設定画面で「カタログデータの格納フォルダ」として指定します。
尚、小惑星の、より正確な位置を得るためには、計算時刻に近いところに軌道の元期を移す必要があります(Syokユーティリティ
- Aster参照)。
8 小惑星による掩蔽を調べる
小惑星によって恒星が隠される現象を調べる手順を示します。
- SyokユーティリティのAsterで、小惑星の軌道要素に当日までの摂動計算を施します。
- パラメタ設定画面を表示して、「移動体」パラメタで「小惑星」を指定し、併せて番号も指定します。
※小惑星の移動速度の関係から、「時刻変化」パラメタは「1分」以下に指定すると表示が見やすくなります。
- 恒星のカタログと番号、および日付・時刻を指定して、測心視位置(Topocentric)で恒星位置を表示します。
- 「食の局所計算」を実行して、パラメタ設定画面で設定した観測地での情報を表示します。この時、「図示する」にチェックがあるとベッセル基準面上の観測者と小惑星の座標が表示されます。
※実際に食が観測された場合には次のステップで、その整約を行うことが出来ます。
- 「小惑星食」メニューの「観測の編集」で、観測者の情報および現象の時刻を入力・編集します。
※この情報は、事前に入力しておくことも出来ます(Syokユーティリティ
- Syap参照)。
- 画面には基準面上の小惑星に対する観測者の相対座標が1秒ごとにプロットされます。また、現象の時刻は色を変えてプロットされます。
- 画面の中心は、各現象時の座標を平均したものであり、軌道要素から求めた小惑星の(影の)見かけの大きさが円で表示されます。
- 「楕円で近似」メニューにより、この円を観測にフィットするようにマニュアル修正します。
- Ctrlキーを押しながら上下左右の矢印キーを操作すると、この円が指定方向に移動します。
- Shiftキーを押しながら上下の矢印キーを操作すると、縦軸方向に拡大/縮小し、左右の矢印キーで横軸方向に拡大/縮小します。
- Altキーを押しながら左矢印キーを操作すると反時計方向に10度ずつ回転し、右矢印キーで時計方向に回転します。
- 「直線で結ぶ」メニューを選択すると、各観測時刻を単純に直線で結びます。
- 「食の経路計算」を指定して実行すると軌道要素から得られた食の中心線および南北の限界線を計算し、「図示する」にチェックがあると地球儀上にプロットします。
9 接食時の月縁プロフィールを見る
- 月の輪郭は良く見ると滑らかではなくて凹凸があります。具体的には「平均的な」月縁に対して最大で約2秒角の山や谷があります。この山や谷は、ワッツの月縁データとしてデータベース化されています。
※このデータを使用する時には、DE405データと同じフォルダに置いて下さい。
- Syokでは接食の判定を、「平均よりやや大き目の月縁に対して潜入から出現の時間が10分以内」としています。平均月縁で計算すると凸の部分での食を見逃してしまうからです。
従って、接食を調べる時には、パラメタ設定画面で移動体に「月」を指定すると同時に「径を広めに」をチェックする必要があります。
- 「食の局所計算」で、接食が起こると判定されると、[Watts
Data]としてワッツ角、高さ、およびコードが5度間隔で表示されます。最後のコードは精度を表し、0で良好、1でやや良好、2は悪いことを意味します。
- 「食の局所計算」で、「図示する」にチェックがあるとベッセル基準面上の月と対象星の関係が表示されますが、接食の時には更に「接食」メニューが表示されます。
このメニューから「月縁表示」メニューにチェックを入れると月縁プロフィールが表示されます。
- また、「観測の編集」で、観測者の情報および現象の時刻を入力・編集します。
※この情報は、事前に入力しておくことも出来ます(Syokユーティリティ
- Syap参照)。
- ここでは、次のキーボード操作を行うことができます。
- [Ctrl]キーを押しながら左右の矢印キーを押すと、ワッツ角を移動します(横スクロール)。
また、上下の矢印キーでワッツ高さの値を調整します。
- [Shift]キーを押しながら左右の矢印キーを押すと、ワッツ角の表示範囲を調整することが出来ます。
また、上下の矢印キーで平均月縁からの高さを調整します。
- [Alt]キーを押しながら左右の矢印キーを押すと、観測地の経度を微調整します。上下の矢印キーで緯度を微調整します。
実行例を見る (接食の予報)
実行例を見る (観測の表示)
10 その他
- 2002年12月15日、土星の衛星 Tethys による TYC 1310-02435-1 の食が観測されました。
- Syokでは衛星の位置を直接求めることができないため、IMCCEのEphemerides serverからのデータを取り込みます。
- http://www.bdl.fr/ephemeride_eng.htmlからGeneral ephemerides of the natural
planetary satellitesに入ります。
- Absolute coordinatesから衛星と必要なパラメタを指定します。
- Time Scaleとして「TT」を、Unit of resultsとして「sexagesimal」を指定することに注意してください。
- 出力結果をテキストファイルとして保存します。
- 保存したファイルの1行目に「Name="Tethys(S-3)",Diam=1060」のような行を挿入します。衛星の名前は引用符で囲みます。また、直径はq単位で指定してください。その他の修正は必要ありません。
- このファイルをDE405データと同じフォルダに「Nsat.txt」として置いたら準備完了となります。
Syokでは、Nsat.txtから必要な情報のみを取り込み、位置の補間にはLagrange法(4次)を用います。
実行例を見る
- 2003年11月25日、土星によるTYC 1343-1900-1の食が予報されています。
実行例を見る
- 2002年8月3日、木星による恒星と衛星の食が同時に見られます。
実行例を見る
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