〜私は生活保護を利用できますか?〜

生活保護なんでも相談室

 

よくある質問と回答(生活保護FAQ)

 

1,私は生活保護を受けられますか?

2,自動車を借りて通院していたら「保護を止める」といわれました。

3,ケースワーカーに無茶苦茶な指導をされました。どうすればいいでしょう?

4,ひどいことをいわれて保護申請できなかった

5,パートで頑張っているのに「もっと働け」と文書指示が

6,10年前に家族を棄てて出て行った父を「扶養しろ」と照会が届いた

7,福祉事務所の手違いで保護費が少なかった!

8,身体障害者でも自動車の保有はダメなの?

9,生活保護費をためてもいいの?

10,交通事故の示談金を「返せ」といわれた


1,私は生活保護を受けられますか?

 

<相談例>

はじめまして。私の主人の親のことで悩んでます。

実は、義父が最近仕事をリストラされました。現在市営住宅で義母と二人暮しです。義母はパートで働いてますが収入は10万以下で生活が苦しいようです。自分達の生活もぎりぎりなのでとても援助ができません。義父も60歳で仕事も思うように見つからずどうすればいいのか悩んでます。

生活保護を受けられる条件とかはありますか?教えてください。

 

<回答>

お義父さんの生活をいろいろ心配されていることについて敬意を表します。

さて、生活保護はできる限りの努力をしてもなお最低生活を維持できない場合に、国の定める最低生活費とその世帯の収入との差額を現金または現物で給付する制度です。
ここでいう「できる限りの努力」とは、例えば、働く力と条件がある場合には仕事について給料を得たり増収に努めたりするとか、資産を保有している場合には国の定める基準に従い活用(資産の用途に添って利用するか処分して得たお金を生活に充てる)するとか、民法上の扶養義務の有る親族から援助してもらえないかを確かめるとかいう意味合いです。

あなたの文面からだけでは大まかなことしかいえませんが、お義父さんの世帯が生活保護を受ける可能性があるかどうかは、以下が目安になるのではないかと思われます。

@ お義父さん、お義母さんが働く力と条件を最大限活用しているか。

お義母さんのパート収入10万円は60歳程度の年齢からすれば平均的かと思われます。お義父さんの方は、求職のために努力しているが仕事がない状況が客観的に証明できれば、説得力があります。具体的には、何月何日・どこで・どのようにして求人をおこなったか、を記録したメモ等があれば役に立ちます。

A 年金など利用できる社会保障制度はすべて利用しているか。

具体的には、厚生年金が受給できないかが課題となります。

B お義父さんの世帯の資産が十分に活用されているか。

預貯金や生命保険などは、一定金額以上の場合、解約して生活費に充てることになります。

C 親族からの援助が受けられないか受けられたとしてもそれだけでは生活できないか。

なお、この場合、あなたの世帯からの仕送りができないか、についても問題とされます。ただし、あなたの夫と夫の父母との間の扶養については、「生活扶助義務関係」と呼ばれ、「その人なりの社会的にふさわしい生活を送ってもなお、ゆとりがある場合に、そのゆとりの範囲内で扶養をすればよい」というゆるやかな義務です。

ただし、この「扶養義務」の考え方についても、家庭裁判所などで調停等をおこなう際に基準となるものであって、「自動的に扶養義務が発生し、福祉事務所が強制できる」というものではありません。ここを誤解した福祉事務所も多いようですので、ぜひこのことは覚えておいてください。
また、生活保護申請時点で「扶養」のことをハードルのように押しつける行政の実態がありますが、実際は、生活保護受給者のなかで、親族からの援助を現実に受けている人は、わずか4%程度しかいません。
したがって、役所から扶養義務を果たせというような問い合わせがあっても、「自分の生活で精一杯なので無理」と答えればよく、それ以上の追及はありません。

D @からCによって得られるお義父さん世帯全体の収入が、国の定める最低生活費に満たないか。

最低生活費の 計算は基本となる金額が地域ごとに異なるなど複雑ですが、ごくごく大まかに言えば60歳程度のお二人世帯の場合、家賃を除いて1ヶ月10−11万円程度です。
また、家賃については、市営住宅の家賃については、生活保護を利用できるようになれば、生活保護で支給される 住宅扶助の金額まで減免されるなどのシステムをとっている自治体が多いようです。

以上の@からDに当てはまると思われる場合には、お住まいの地域を管轄する福祉事務所に一度ご相談されてはいかがかと思います。お義父さんの世帯の最低生活費についても正確に計算してもらえると思います。

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2,自動車を借りて通院していたら「保護を止める」といわれました。

 

<相談例>

私の妹は中学1年と小学4年の女の子2人の母子家庭です。前夫とは借金のトラブルで離婚しました。現在県営住宅に住んでいます。妹は病気の治療の為、通院しています。

通院等で私の車を借りて乗っていたところ、近くの住人から『生活保護を受けて車を乗り回している』と役所に通報され、福祉事務所から『車に乗ったら生活保護を止める』といわれました。

そこで車を私に返したのですが、先日福祉の職員から『ずっと乗っていただろう!』と言われました。
ありもしないことを言われショックを受けた妹は、『仕事をさがすので、保護を止めるようにする』と言ってしまったそうです。どうなってしまうか心配です。どうすればいいでしょうか?

 

<回答>

相談室のご利用ありがとうございます。妹さんのことで悩まれるとともに力になろうとされていることに敬意を表します。

1 車について

国は、生活保護世帯の自動車保有に対して異常なほど敵視するとともに、厳しく規制しています。山間僻地か障害者が利用する場合など、保有を容認する場合をきわめて限定しています。そして、いわゆる所有だけでなく借用もダメという立場です。

生活保護の現場をしばっている厚生労働省の問答集は「遊興のためにしばしば車を乗り回すようなとき」は借用であっても生活保護を停止もしくは廃止することが適当としています。
これは、本来就労して努力すべきところ遊興しているわけですからある意味では当然です。

その意味では、妹さんが何のために車を利用しているかがポイントになります。
そこで、妹さんが車を使っている理由について、「遊興」ではなく、公共交通機関が不便であるとか、通勤や通院のために必要であるとか、具体的な理由を挙げて福祉事務所と交渉してください。

以上見てきたように、妹さんが借用して車に乗ったに過ぎないのに、『車に乗ったら生活保護を止める』というのは、あまりに短絡的で行き過ぎた「指導」ではないかと考えます。
実際、通勤用に、借用した車に乗っていた母子世帯のお母さんに対して、「車の使用禁止に違反した」として生活保護を廃止した事件について、裁判所は違法だとしてお母さんを勝たせています。(福岡・増永訴訟)

なお、その指導が文書で出ているようであれば、何らかの対応が必要と思われますので急いでお知らせください。

 

2 『仕事をさがすので、保護を止めるようにする』と言ってしまった件について

これについては、その趣旨を「保護辞退届」などの名目で妹さんが一筆書かれてしまったのであれば、福祉事務所は保護を打ち切って来かねません。即刻、文書で日付・住所・氏名とハンコを押して「保護辞退撤回届け」と書いて福祉事務所に提出してください。本文は「冷静に考えると生活していけませんから保護辞退は撤回します」くらいでいいと思います。

福祉事務所が受け取らない場合やすでに廃止された場合などは急いで相談してください。

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3,ケースワーカーに無茶苦茶な指導をされました。どうすればいいでしょう?

 

<相談例>

私の知り合いですが、現在、生活保護を受けて生活している老夫婦のお話です。お子さんは何人かいらっしゃるのですが、どのお子さんも自分達の生活だけで精一杯でご両親の面倒が見られず、やむなく生活保護のお世話になっているそうです。

ところが、お孫さんが結婚することになり、役所に相談したところ「結婚式に出てはいけない」と言われたそうです。娘さんにはもう20年近く会っておらず、ご両親の年齢も80歳近いそうです。結婚式の参加費用は娘さんが負担するのでかからないそうです。先が短く、娘さんにも会いたがっているとのことで、なんとか結婚式に出られないものかと悩んでいるそうです。

市役所の方からは、「保護を受けているんだから派手な事は絶対にダメです。まして、結婚式なんてもっての外」といわれたそうです。

私もこの話を伺い、とても可哀相に思いました。何とか結婚式に出席させてあげられないものかと思います。何か良い方法があったら教えて下さい。

 

<回答>

1 結婚式の参加の可否について

結論から言えば、結婚式への参加は問題がないと考えます。理由は以下のとおりです。

@生活保護法には、そこまで細かいことを規定した条文はありません。

A法律の解釈や運用の基準を定めた通知通達にも、「結婚式に参加してはならない」などとは書かれていません。

B一方、親戚づきあいに関係するところでは、親族が危篤になったときや、葬式に参列するときの交通費が支給できる、という規定があります。つまり、生活保護制度は親族との交際を否定していない、ということです。

Cただし、結婚式に関しては、積極的に金銭を支給するという規定はないため、生活保護制度はあてにできません。

Dしたがって、自分で節約して貯めるか、切符を送ってもらうか、などが必要になると思われます。この老夫婦の場合は、娘さんが全部費用を支給するのだから問題ないでしょう。

E福祉事務所に対しても結婚式に出席した事実を報告する必要はないと考えます。

Fただし、国が生活保護を厳しく締め付けているため、福祉事務所の現場は社会通念を超えて無茶苦茶なことを言う場合も時にあります。

Gこのケースであれば、「少しでも収入があればすべて申告すべきだし、娘からの仕送り(結婚式参加費用)を申告しなかったのは『不正受給』にあたる。そして、仕送り収入は「贅沢」な結婚式への出席費用にあてるのではなく日々の生活費に充てるべきだ、したがってその仕送り収入の分生活保護費を減額する」などといった無茶苦茶を福祉事務所側がいう可能性はあります。

Hそこで、安全のためには、現金化しない方法をとられるようアドバイスしてあげればどうでしょうか。つまり、交通費は切符の現物を送ってもらい、現地の宿泊もホテルへの支払はすべて娘さんが済ます、というやり方です。これなら、老夫婦の手に仕送りの現金収入がのらないので、不当な言いがかりをされる余地が少なくなります。

 

2 指導教示の違法性について

「保護を受けているんだから派手な事は絶対にダメです。まして、結婚式なんてもっての外」などという指導指示は違法であり、無効です。理由は以下のとおりです。

@生活保護を受給しているからといって、福祉事務所が何でもかんでも無茶苦茶な指導をする権限があるわけではありません。

A福祉事務所が指導や指示をすることができるのは、生活保護法27条で「保護の目的達成に必要な場合」に限定されます。

B老夫婦に対して、「保護を受けているんだから派手な事は絶対にダメです。まして、結婚式なんてもっての外」などという指導は無効であり安心するよう言ってあげてください。

さらに、福祉事務所のケースワーカーに対する有効な反撃を教えてあげてください。具体的なやり方はこうです。

@ケースワーカーに対して、「『結婚式はダメ』という指導は、生活保護法第27条に基づく口頭指示ですか」と質問して確認します。

そのうえで、「この指示の趣旨、内容、責任者を明確にした書面をください。今お世話になっている弁護士さんに相談しますから。」と書面の交付を求めます。この書面交付は、各自治体の行政手続条例において規定され、役所に義務付けられているものです。福祉事務所は拒否できません。たいがいは弁護士という言葉にびっくりして、福祉事務所は指示を取り下げると思います。

Aそれでも「指示」を出してくるとなるともはやどうしようもない福祉事務所、ということになりますが、この「指示」に対しては、県知事に不服申立をおこなうなどして争うことができます。その場合は急いで私たちにもう一度相談してください。「指示」の違法性を明らかにし取消をさせることができると確信しています。

なお、不服申立の方法については、こちらを参照してください。

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4,ひどいことをいわれて保護申請できなかった

 

<相談例>

70歳を過ぎて身体が弱くなり、週3回人工透析を受けています。その他にも内科、整形外科を受診しています。近くに息子がいますが、息子も仕事がないため、経済的な援助を頼むことは出来ません。貯金等の蓄えも全くありません。生命保険にも入っていません。

先日、生活保護受給のため福祉事務所に申請に行ったのですが、「家賃が生活保護基準を上回るためダメ(現在の家賃は6万円なのですが、保護基準は4万2000円だと言われました)」とか、「息子さんの所に一緒に住めば食べていけるだろう。」とか、「透析をしていても働いている人もいるから働きなさい」とか、「家の中にある物を売って売る物がなくなればまた来なさい」とか、扶養義務や資産の活用?補足制の原理?などを盾にずいぶんひどいことを言われ、申請も出来ず泣く泣く帰って来ました。

こんな福祉での受付面接が許されるのでしょうか。申請を受け付けさえるには、何か方法テクニックがあるでしょうかお教えください。

 

<回答>

ご相談の福祉事務所には、重大な権利侵害があると思われます。その是正を勝ち取るため奮闘しましょう。

1 申請の不受理について

生活に困窮し、福祉事務所に保護を申請しているにもかかわらず、「家賃が高い」などを理由に申請を受け付けなかったことは違法です。

そもそも、福祉事務所は市民から「困窮している」として保護の申請があれば無条件に受理しなければなりません。不受理の権限は福祉事務所にはありません。

申請は口頭でも可能ですから、30日待って「みなし却下」規定を使って、申請が却下されたことに対して審査請求を提起することもできます。

ただし、審査請求などで争うことよりも、まずは生活保護を獲得し、生活を安定させることが先決です。そのためには、なんとしても生活保護申請を受理させなければなりません。そのためには、いくつかの方法が考えられます。

@(もう一度)福祉事務所へ「申請」に行くことが必要となります。生活と健康を守る会」(生健会)などが同行してくれれば心強いのですが。

 もよりの生健会の事務所の場所等は東京の生健会本部に問い合わせてください。

 全国生活と健康を守る会連合会
 〒160-0022 東京都新宿区新宿一丁目5−5
 03-3354-7431 fax 03-3354-7435

A申請を受理しろしないで押し問答になりもめたときは、自分で便せんに自筆で「申請書」と書いた上で「住所」「氏名」「生年月日」「ともに保護申請する家族氏名と生年月日」「困窮理由」を記入して、「これが申請です」「受理しなさい」と書面を置いて帰ってくることです。もちろんコピーはとっておきます。

B「二度とあんなところへ行くもんか」という場合は内容証明郵便で上記内容を記載して送りつける手もあるかとは思います。ただ、その後の「訪問調査」をはじめとした福祉事務所とのやりとりは避けられませんが。

2 家賃について

家賃については、生活保護費で支給される額には上限があります。あなたが負担している6万円の家賃は、お住まいの地域で設定されている住宅扶助の限度額を超えていると思いますが、その場合でも転居することに支障がある場合は、そのまま居住を続けながら保護を受けることができます(但し、住宅扶助の限度額を超える部分は生活扶助費を節約して充当するしかありません)

3 「働きなさい」という指導について

稼働能力活用は、補足性の原理として問題になりますが、一般的に問題にされるのは65歳未満の方に対してです。福祉事務所の指導はむちゃくちゃです。

4 「息子さんと一緒のところに住みなさい」という指導について

扶養についても同居強要は許されません。福祉事務所の指導指示は本人の意思を尊重した上でなければなりませんし、強制されるものではないとされています。福祉事務所の指導はむちゃくちゃです。

 

生健会や弁護士が関わればすぐにも是正されると思いますが、福祉事務所に対し「弁護士や生健会に相談させていただきます。」と告知するだけで解決するかもしれません。

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5,パートで頑張っているのに「もっと働け」と文書指示が

 

<相談例>

今、生活保護を受けながら仕事を探しているのですが、学歴や資格が無いため、正社員で入れるところがありません。夫とは2年前に離婚し、子供が4才と5才で、保育園に入っています。

福祉事務所は、「パートで8万程度のところはダメだ」と言い、そんなところで働いても足りない金額は出さないし、働いたとしても児童扶養手当などを足せば生活出来ると言って、打ち切りを迫ります。今月も、市からの指示書と言う書類を出されました。内容は、今月中に仕事が探せない場合、保護を打ち切るというものでした。

福祉事務所いわく、私は働けるのに働く努力をしていない、ということらしいです。
でも、私は、何社にも面接に行っているし、就職活動表も提出しています。子供が風邪で休んだり、自分の希望にあわないところや、行きたくても相手側の希望条件にあってなく行けなかったりする時もあるので、どうしても面接回数が平均でも週3日ぐらいになってしまうのですが、少ないのでしょうか?

福祉事務所からは、「母子家庭で健康な人は保護を受けていない、あなただけですよ」「あなたは特別な例だから短期しか受けられない」とも言われました。

解決方法があれば教えて下さい。

 

<回答>

育児に手がかかるあなたの事情をくもうともしない福祉事務所の機械的なやり方に怒りを覚えます。

他に子どもを養育してくれる人もいない母子世帯であれば、4歳と5歳の子どもを抱えて、就労に大変不利であることは社会的な常識です。子どもが熱を出して急に休む等、雇う側も「困る」とはっきり言う経営者もいるくらいです。よっぽどの幸運に恵まれない限り正規職員としての就職は困難で、パートやアルバイトがやっと、という実態もケースワーカーであれば当然知っているはずです。

したがって、「月8万円程度のパート就労ではダメだ」「そんなところで働いても足りない分は出さない」という指導指示は不当であるだけでなく、違法であると考えます。

ただし、そのような違法・不当な口頭指示を繰り返した上で、現在文書による指示にまで及んでいますので、対抗手段を早急に執る必要があると考えます。文書指示がどういう内容でなされているか、早急に全文を教えてください。

詳しくは文書指示全文を見てからになると思いますが、その指示に対する対抗手段をお答えします。

1 求職・就労について

職業安定所等の公的な機関を利用して、求職状況を書面に残すようにしてください。その上で、面接にこぎ着けた場合はその際の様子等を後日メモにしておきます。

面接の結果、多少賃金額が少ない会社であっても、採用されれば就職します。福祉事務所にはその賃金・労働条件を報告します。

面接の結果、就職できなかった場合もその旨福祉事務所に申告します。

なお、文書指示の内容が不当(「必ず正社員として就職せよ」等)な場合は、文書指示そのものに対して、県知事に対して審査請求ができると私たちは考えています。

2 弁明書について

福祉事務所は、就職できなかった場合、もしくは就職しても賃金が低かった場合、生活保護の廃止日を指定した上で、「何か言いたいことがあれば弁明するように」と、「弁明書」の提出を指示してきます。

この弁明書には、幼児を抱えて就職がままならないこと、求人もないこと等を具体的に記入し、「保護の廃止はしないように」と求めます。

3 廃止処分に対して

それでも廃止してきた場合は、廃止処分に対して、審査請求を県知事に対しておこないます。審査請求書の書き方については、こちらをご参照ください。

また、審査請求も含めた、生活保護等についての相談に応じている民間団体として、生活と健康を守る会(生健会)という団体があります。一度ご連絡を取ってみてください。

4 その他のアクションについて

不当な行政によって健康で文化的な生活が侵害されようとしていることについて、地元の弁護士会に人権救済の申立をすることが考えられます。また、法務局の人権相談に持ち込むことも考えられます。

5 生業扶助の申請について

文書指示まで出されている状況では、あまり現実性はないかも知れませんが、「学歴や資格がない」とのことですので、生活保護の「生業扶助」という、資格取得にも使える扶助を利用する手もあります。最大年間38万円使えることになっています。県や市、外郭団体など後援もしくは主催するパソコン講習、会計講座なども利用してみてください。

その際、福祉事務所のケースワーカーに「職歴がないのでまず自分の技能を高めて就職につなげたい」と相談してみてください。

 

<参考>

なお、以下にあなたが今までに受けてきた不当な仕打ちについて、本来の生活保護法のあり方と、こういう対抗手段が取り得たのでは、というものをお示しします。今となっては遅いものがほとんどですが、不当な口頭指示については『書面化せよ』とケースワーカーに求めて、言った言わないや言いたい放題を回避するという手法はぜひ今後も活用してください。

6 「月8万円程度のパート就労ではダメだ」について

@不当性

生活保護を受給しているからといって、福祉事務所が何でもかんでも無茶苦茶な指導をする権限があるわけではありません。福祉事務所が指導や指示をすることができるのは、生活保護法27条で「保護の目的達成に必要な場合」に限定されます。これは、文書による指示だけではなく、口頭による指導や指示でも一緒です。

2人の幼児を抱えた母子家庭の生活実態、子育てを支援する社会的な施策の貧困さ、現実的な求人の状況等をすべて無視したこのような指示は、行政のおこなう指導として明白に不当です。

A対抗手段

対抗手段については、こちらをご参照ください。

7 「そんなところで働いても足りない分は出さない」について

@違法性

こちらの指示(発言)は不当を超えて、違法だと考えます。理由は、生活保護法は、被保護者が稼働能力等の能力を活用してもなお最低生活費がまかなえない場合に不足分を支給する、ということを法律的な大原則にしているからです。(生活保護法第4条・「補足性の原理」と言います)

したがって、「一所懸命努力してパート就労したとしても、不足分を出さない」というのは、明らかに法律に違反する指示です。

A対抗手段

これについても、上記6と同様、文書で指示するよう求めてください。

8 「児童扶養手当を足せば生活できる」について

@違法性

この発言も、稼働収入と児童扶養手当の額の合計が実際に最低生活費を超えたかどうかを問わずに(超えていれば停止もしくは廃止になります)廃止を迫るもので生活保護法違反です。

生活保護法は、「被保護者が保護を必要としなくなったとき」(生活保護法26条。収入が最低生活費を上回った場合が該当します)に廃止できることを規定しているのみです。

A対抗手段

 これについても、上記6と同様、文書で指示するよう求めてください。

9 面接回数が週三回は少ないか

これについては、私たちは精一杯努力されていると考えますが、それで福祉事務所が満足するかどうかは別問題であり、現在出されている文書指示の内容にも関係すると思いますので、文書指示の内容をメールで送信してもらってから検討したいと思います。

10 「母子家庭で健康な人は保護を受けていない」「あなただけ」について

この発言も、社会情勢やそれぞれの生活環境に応じて精一杯努力しても不足すれば当然生活保護の権利が保障されることを無視した不当な発言であると考えます。実際に、母子家庭で健康であっても、収入が最低生活費を超えないために生活保護を受けている人はたくさんおられます。

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6,10年前に家族を棄てて出て行った父を「扶養しろ」と照会が届いた

 

<相談例>

こんにちは。実の父親のことでご相談させていただきたく、メールをしました。

父とは10年前の両親の離婚以来会っていません。しかし、先日某市役所から、「あなたの父親が生活保護を受けている、少なくてもいいから援助しなさい」という内容の扶養照会という文書と生活状態を記入する内容の用紙が送られてきました。今まで親らしいことは何一つしなかった父をうらむ気持はあっても、受け入れる気持など毛頭ありません。

そう書いて返信すればいいのかもしれませんが、その用紙には現在の住所電話番号はもとより、家族構成、職業、資産、ローンなどの負債など記入する欄があって、なぜこんな父のために手紙ひとつで個人情報を明かさなければいけないのかわかりません。本当にこんなことを書かなくてはいけないのですか?役所だからといって、プライバシーにかかわることを回答するのはいやです。

このまま出さずに放置していても大丈夫ですか?どうすればいいのでしょうか。

<回答>

唐突な、あるいは不躾なといってもいいような市役所からの問い合わせに戸惑っておられることと思います。

結論からいえば、市役所からの照会に応じなければならない法律的な義務はあなたにはありません。ましてや、あなたや御家族の状況に関して具体的に返答する義務もありません。

ですから、放置しても法的責任を問われることはありません。ただし、市役所が何度も問い合わせしてこないように、照会文書に父親との経過のみを記して扶養の意思がまったくない旨を返答してもいいかと思います。

一般的に、生活保護の申請があった場合には、生活保護を担当する行政機関は、民法に定める扶養義務者から援助が得られないかを照会等により調査しています。そして、その照会書の様式は、厚生労働省の示した様式に沿って、家族構成や職業、資産、収入、社会保険の加入状況等を記載するものとなっているのが一般的です。ただし、この様式はいってみれば、厚生労働省が各行政機関に一つの例として示しているもので、住民一般に返答の義務を法律的に定めたものではありません。ですから、無視しても罰せられたり、強制させられたりすることはありません。

そもそも、一般的には、双方が成年である場合の親子の扶養義務の程度は、「社会通念上それらの者にふさわしいと認められる程度の生活を損なわない限度」とされており、無理のない範囲で仕送りをすれば足りるのであり、無理ならばその旨を告げれば十分なものです。

加えて、厚生労働省は、扶養能力調査に際しては、扶養義務者が「要保護者(あなたの場合に即していえば父)の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養ができない者」には、「個別の慎重な検討を行い扶養の可能性が期待できない者として取り扱って差しつかえない」(昭和38年4月1日付け社保第34号厚生労働省社会援護局保護課長通達問第3のUの2)としています。

父親が10年もの間親らしいことは何一つしなかったという生活歴が事実であれば、まさにこの規定に該当するので扶養は無理ということになります。面倒くさいかもしれませんが、今申し上げた厚生労働省の通達にあなたが該当するということを書面で市役所に返答するのも一方法かもしれません。

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7,福祉事務所の手違いで保護費が少なかった!

 

<相談例>

福祉の担当の人の手違いで、住宅扶助費が保護開始時から9ヶ月間、支給されていなかったことが、最近わかりました。わかった時点で担当の人に問いかけました。そのことを認めていました。私たちが気が付かなかったら、ずっとそのままわからないままでした。

その9ヶ月間、精神的にものすごい苦痛でした。しかし、2ヶ月分については再支給されましたが、担当の人からは、「法律で2ヶ月分しか再支給されない」と言われてしまいました。

しかし、担当の人の言葉には、どうしても納得できません。残り7ヶ月分、再支給されないのでしょうか?教えてください。お願いします。

 

<回答>

福祉事務所の誤りなのに、2カ月しか保護費が遡及して支給されないことへの腹立ち、もっともなお話ですね。

実際、現場の福祉事務所では、厚生労働省からの指導に基づき、福祉事務所に誤りがある場合でも、2ヶ月程度(誤りが発見された月とその前月まで)しか遡及しないのが一般的な運用となっています。
その理由として、厚生労働省は保護の変更を必要とするような事項については保護の受給者に届出の義務が課されていることや、一旦決定された行政処分をいつまでも不確定にしておくことは妥当でないことや、生活保護は生活困窮に直接的に対処する給付だからなどと述べています。

上記はいかにももっともらしく聞こえますが、要は、役所の決定に間違いがある場合でも、まず被保護者が届出るべきであり、一旦出した決定を役所は軽々しく変えるべきではないし、(間違っていたとしても)今まで生活できていたのだから今さら完全には元に戻さなくてもよいだろうという、常識からはいささかはずれたと思われる見解がベースになっています。

この見解はおかしいとして裁判等で争われたりする中で、厚生労働省は、あくまで口頭でですが、保護の受給者が届出義務を果たしており、遡及が5年よりも短い場合は、個別に厚生労働省に報告した上で2か月よりも遡及した変更をする場合があるという見解を示しています。
ただし、この取扱いは必ずしもすべての福祉事務所には周知されていないため、審査請求(福祉事務所の決定はおかしいので上級庁に審査してもらう制度)などをして、福祉事務所に強くはたらきかける必要があります。

 

さて、あなたの場合についてどう対応したらよいかですが、以下を参考にしてください。

1 福祉事務所に行って、「2ヶ月しか家賃が遡及できないのはおかしいので、審査請求をしたい。ついては審査請求書の用紙を交付 してください。」と担当者に告げます。

審査請求の仕方については、こちらをご覧ください。

なお、審査請求ではなく、都道府県庁の生活保護担当課に対して、「9ヶ月間遡及させるよう福祉事務所を指導して欲しい」と交渉することも可能です。やる気のある県庁であれば、受け止めてくれる可能性はあります。

2 審査請求書を入手したら所定事項を記入して、速やかに福祉事務所又は県庁へ提出します(先に述べたように期限があります)。

なお、審査請求を行う際には、あなたの世帯に対して福祉事務所がその決定を通知した書類を添付する必要があります。往々にして、福祉事務所は決定通知書を渡し忘れることがあります。(生活保護法24条及び25条2項には福祉事務所の通知義務が定められています。)。
もしも決定通知書を受け取っていない場合には、そのことをまず法律違反であるとして、強く抗議することができます。

3 審査請求をしてから原則として50日以内に、審査の結果が通知されます。断定はできませんが、あなたの事例が先に述べた厚生 労働省の条件に該当するようであれば、なんらかの形で遡及して決定が変更される可能性があります。

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8,身体障害者でも自動車の保有はダメなの?

 

<相談例>

私は、身体障害2級(難病)で障害年金2級受給者です。家庭は高校生の子と二人暮しです。

手持ち金がなくなって保護の申請をしたのですが、自動車の保有が認められるかどうかは五分五分です、といわれました。もし車が許可されない場合私は病院にもいけないし、外出できなくなります。心配でなりません。
車の維持費は他の人が負担するという書類は父親に書いてもらいました。車の運転が出来るかどうかは福祉事務所の人が医師の証明をもらいに行ったようです。

福祉事務所の人はヘルパーさんを増やせばいいといいますが、少しは外にも出たいのです。もし認められなければ不服申し立てが出来ますか。

 

<回答>

身体障害者手帳(以下手帳と略)2級を交付されているとのことですが、障害者が生活の便宜や通院のために車を保有することは「健康で文化的な最低限度の生活」の内容として、本来は認められてしかるべきだと私たちは考えます。たとえば京都府の場合、障害の部位等によって違いますが、等級によって駐禁除外扱や自動車税も免除されます。つまり障害福祉制度上は、障害者の社会参加・生活支援にとって自家用車の有効性を認めているわけです。

しかしながら、一方で生活保護の場合は、厚生労働省の車の保有に関する基準は極めて厳しいのが実態です。一般的な自家用車の保有は原則として認めていません。

ただし、障害者については、通院等(通院、通所=施設通い、通学=児童の場合)のために必要がある場合、以下の要件に該当すれば、保有を認めるとしています。
また、どうしても@からDにあてはまらない場合も厚生労働大臣との協議(情報提供)の余地を残しています。

@障害者の通院等のために定期的に自動車が利用されることが明らかな場合であること。

A当該者の障害の状況により、利用しうる公共交通機関がないか又は公共交通機関を利用することが著しく困難であり、自動車による以外に通院等を行うことが極めて困難であることが明らかに認められること。

B自動車の処分価値が小さく、又は構造上身体障害者用に改造してあるものであって、通院等に必要最低限のもの(排気量がおおむね2,000t以下)であること。

C自動車の維持に要する費用が他からの援助(維持費に充てることを特定したものに限る。)、他施策の活用等により、確実にまかなわれる見通しがあること。

D障害者自身が運転する場合又は障害者の通院等のために生活同一者もしくは常時介護者が運転する場合であること。

です。

あなたの場合は、@は難病による通院であれば問題ないでしょう。Bは現に所有しておられた車のグレード等によります。Cは「その分だけは父から仕送りする」と一筆入れればOKです。Dは問題ないでしょう。

問題はAであり、地域の公共交通の状況等が問われますが、主治医に「難病による障害の状況により、公共交通機関を利用することが著しく困難であり、自動車による以外に通院を行うことが極めて困難」等の診断書を書いてもらうのがよいでしょう。

福祉事務所の判断が「保有不可」となった場合は、売却等を含めた車の処分をおこなうよう指示がおこなわれます。最初は口頭で行われると思いますが、「不服申立をしたいので文書で指示内容を示してくれ」と求めてください。ただし、不服申立には期間制限がありますので、注意してください。

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9,生活保護費をためてもいいの?

 

<相談例>

私は、保護を受けていますが貯金が全くなく、古くなった冷蔵庫がつぶれたらどうしようかなど、もし何かあれば不安でたまりません。少しずつ保護費をためて不時の出費に備えることはできますか?

 

<回答>

厚生労働省の現在の見解は、「保護の目的に適う、保護費を原資とした貯金は、保有を認める」というものです。ただし、「一般的な蓄財はダメ」ともしています。

したがって、「古くなった冷蔵庫の買い換え費用にあてる」「病状悪化による入院時の付き添い費用にあてる」とか「子どもの就職時の背広や鞄代にあてる」とか「墓石代を含めた葬祭費用をためる」などの目的を常に主張できるようにして、貯めてください。

金額は秋田・加藤訴訟で80万円、福岡中嶋訴訟で50万円が、それぞれ判決で認容されています。

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10,交通事故の示談金を「返せ」といわれた

 

<相談例>

保護を受けている私の父が交通事故に遭いました。痛い目に遭い苦しんでようやく直り、約500万円の補償金が出たと思ったら、今度は福祉事務所が「お金を返せ」と言ってきました。どうして痛い目にあった慰謝料を返さないといけないのですか。このお金があれば、なんとか保護をやめられるのですが。

<回答>

交通事故という思いがけない不幸に遭った上に、その保険金を返還するよう福祉事務所から言われて、お父さんもあなたも困惑されていることと思います。

まず、交通事故と生活保護費の返還の関係についてですが、厚生労働省の見解は、昭和47年12月5日付け社保196号厚生労働省通知「第三者加害行為による補償金、保険金等を受領した場合における生活保護法第63条の適用について」の中で、以下のとおり示されています。

 

1 生活保護法第63条にいう資力の発生時点としては、加害行為発生時点から被害者に損害賠償権が存するので、加害行為発生時点たること。したがって、その時点以後支弁された保護費については法第63条の返還対象となること。

2 実施機関(=福祉事務所)は1による返還額の決定にあたっては、損害賠償請求権が客観的に確実性を有するに至ったと判断される時点以後について支弁された保護費を標準として世帯の現在の生活状況および将来の自立助長を考慮して定められたいこと。

この場合、損害賠償権が客観的に確実性を有するに至ったと判断される時点とは、公害、自動車事故については次の時点であること。

(中略)

(2)自動車事故の場合

 自動車損害賠償法により保険金が支払われることは確実なため、事故発生時点

 

長々と引用しましたが、交通事故の場合は(実質的な妥当性はさておき)事故発生時点以後支給した保護費が返還対象となること、ただし、返還額の決定に際しては世帯の現在の状況及び将来の自立助長を考慮することがポイントです。
お父さんの事例に即していえば、事故発生後支給した保護費が返還対象となるが、実際に返還する額は将来の自立助長をふまえて実施機関が決定する額となり、全額返還の場合もあれば結果的に0円返還(返還免除)ということもありえます。

また、生活保護手帳・別冊問答集という厚生労働省の見解を示した冊子では、問450で「災害等による補償金を受領した場合(中略)等における法第63条に基づく返還額の決定に当たって、その一部又は全部の返還を免除することは考えられるか」に対して、以下のように記載されています。

 

オ 当該収入があったことを契機に世帯が保護から脱却する場合にあっては、今後の生活設計等から判断して当該世帯の自立更正のために真に必要と実施機関が認めた額

(を、返還額としてよい)

 

そして、上記の、「保護から脱却する」期間については5年ぐらいを想定していると言われています。仮にお父さんが交通事故の賠償金として500万円を得て、すでに受給している厚生年金とあわせて5年以上保護から脱却できるのであれば、返還費用についてはそれをふまえた額(0円もありうる)となることは、生活保護法上も厚生労働省の見解上も問題はありません。

しかし気をつけなければならないのは、生活保護の締め付けという全国的な流れの中で、むやみやたらに返還額を全額とする福祉事務所が増えていることです。つまり「福祉事務所の定める額」を機械的に全額とする事例が多いのです。
現段階で福祉事務所が定める金額がどうかはわかりませんが、もしもお父さんやあなたにとって納得できない場合には、先に述べた厚生労働省の通知を福祉事務所に示し、なぜお父さんにその適用ができないかを糾してみてはいかがでしょうか。

なお、法第63条による保護費の返還決定に納得できない場合には、都道府県知事に内容を審査してもらう審査請求という制度があります。決定を知ってから60日以内に申し立てなければならないという期限や日本国籍を持たないとできないとかの制約はありますが、有効な場合もありますので活用を検討してください。

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