待望の文庫版が発売になった(2004 6)。続いて英語版も今年(平成16年)アメリカででるそうである。本書は「唯幻論」でアメリカを料理している。アメリカがベトナムやイラクでなぜなのようなむだな戦いをし、あるいはしているのか?日本は何故かくも卑屈にアメリカの言いなりになっているのか?黒船に日本は強姦され日米戦争に負け再び強姦されたのだと岸田秀は言う。さらにアメリカは二個の原爆を日本に落とした国でもある。その強姦犯に追従し、イラクに自衛隊まで派遣したのが小泉さんだ。岸田「唯幻論」の鉾先はアメリカの病理と日本の病理に向けられている。しかし困ったことにアメリカも日本もその病理に気が付いていない。そこに岸田秀の苛立ちを私は感じた。尚、本のタイトルにもなっている『日本がアメリカを赦す日』だが、これはアメリカを赦していないからつけたのだと岸田秀氏本人が言っていた。英訳版の企画に関しては「文庫版あとがき」で詳しく語られている。本書の英訳版が発売されるには翻訳者の田中幸子さんと、野口春次さんの活躍があったのだった。もし『日本がアメリカを赦す日』がアメリカで反響を呼ぶことがあり、アメリカ人がインディアンの虐殺やベトナム、イラクの失敗を反省するときが訪れたならば、さてその時は岸田秀はアメリカを赦すことが出来るのだろうか?

  英訳版はアメリカのUniversity Press of America より出版が決定している。

               『日本がアメリカを赦す日』 文春文庫 610円(税込
          
                           

  第一章    アメリカの子分としての近代日本
  第二章 屈辱感のための二つの自己欺瞞
      第三章 ストックホルム症候群
     第四章  嘘のプライド
     第五章 平和主義の欺瞞
     第六章 アメリカ文化の普遍性
     第七章 和を乱す必要
     第八章 東京裁判とアメリカの病気
     第九章 侵略と謝罪
     第十章 愛国心についいて
     第十一章 日本がアメリカを赦す日
      補論 個人の分析と集団の分析
     あとがき 文庫版あとがき  解説  東谷 暁