とにかく速く
自分のお金が二倍になる本
海江田万里 著 光文社刊 昭和63年6月30日発行

●借金して不動産を購入するのが税法上有利に
所得税や相続税の節税という面でも、不動産投資のメリットはまだまだ大きいといえます。
所得税の節税ということでは、サラリーマンもローンを借りてマンションなどを購入します。
購入したマンションは、さしあたって賃貸に出すわけですが、その際家賃収入があるので、
確定申告をやって税額を計算する段となると、まず、借りているローンの金利ぶんは必要
経費として家賃収入から差し引くことで、所得税がグーンと安くなります。プラス減価償却
とが計算されます。
減価償却というのは、サラリーマンにはあまりなじみのない考え方ですが、実際には、お
金が出ていかないのに税金の計算上では、毎年何十万円という金額が所得から差し引
かれ、結果的に納める税金がさらに安くなります。サラリーマンなどで、税金を源泉徴収
と年末調整でかなりの金額を支払っている人は、確定申告で税金の還付が受けられる
わけです。
相続税の節税ということでいえば、やはりこの場合も借金して不動産を購入すると、現行
の相続税法では借金はそっくりそのままの負債として、その人の相続財産から差し引か
れ、取得した不動産は相続税の評価額で計算をしますから、実際の価格と評価額の差
だけ相続財産が減ることになります。
特に土地を持っている人が、借金をしてその土地に賃貸のマンションやアパートを建て
れば、土地や家屋の評価は貸家権付きとなってさらに安くなるので、最近、この手の相続
税対策のアパート経営、マンション購入が盛んです。
現在検討中の、相続税の改正案の中では、「相続発生3年前の不動産取得のための
借金は、相続財産からの控除を認めない」という意見がでています。
いずれにしろ、借金をして不動産を購入することが、相続税法改正にあたって問題となる
ほど節税効果は大きいということです。 (162〜164ページ)
●うま味の多い海外不動産投資が激増している
ここ2、3年ジャパン・マネーの肥大化とともに、日本人の海外不動産投資が激増していま
す。1985年18億6000万ドル、86年75億3000万ドル、87年には対前年比71%増の127億
ドル(1兆5875億円)に達しているとの統計があります。
投資先も2、3年前は、ホノルル、ロスアンゼルス、サンフランシスコ、ニューヨークの四大
都市で投資額の7、8割をしめていましたが、87年には、ボストン、シカゴ、サンジエゴ、
マイアミ、フェニックスなど全米に広がっています。
投資する側も、当初は建設、不動産、生保、損保、といった法人投資家が多かったが、
86年あたりから、個人の投資家が、ハワイのコンドミニアムなどを購入し始めている状況
です。
なぜ、日本人の間でこれほどまでに、海外不動産が人気をよんでいるのでしょうか。
その理由は大きくいって四つあると思います。いちばん大きな理由は急速に進んだ円高
による為替差益のメリットです。
75年当時の為替レートは、1ドル240円だったのが、現在では120円台です。ということは
10万ドルの物件は、3年前に2400万円だったものが、1200万円で買えるわけです。
つまり、円高になった日本から見れば、円の価値が上がったので、アメリカの不動産が
半分に値下がりしたということです。
日本で、20万ドル、2500万円くらいの金額だと、都心から2時間もかかるような場所の
一戸建ての住宅か、中古の小さなマンションがせいぜいですが、アメリカでは豪邸が
購入できる金額です。
たとえば、ロスアンゼルスの高級住宅地として有名な、ビバリーヒルズの新築コンドミニ
アム(2ベッド2バス・140平方メートル)が4200万円、ハワイのワイキキの新築コンドミニ
アム(2ベッド2バス・1500平方メートル)が2000万円くらいで買うことができますし、マン
ハッタンのビジネス用のコンドミニアム(1ベッド、1バス・60平方メートル)も2800万円台
から購入できるのです。
さらに円高がすすめば、、もっと安く買うことができることになりますが、売るときのことを
考えると「円高で損をする」と心配をする方も多いと思います。 (164〜166ページ)
●アメリカに不動産投資したら資産はドルのまま持っておく
円高による為替差損では、円で受け取るから目減りするのだから、考え方を変えて、円
に変えず、ドルのままにしておくとどうでしょう。現地や日本の銀行に口座をつくり、資産
をドルで持ってればいいことになります。そうすれば10万ドルは10万ドルです。
また、円高ドル安になり、アメリカの経済は復調してきていますが、そうなるとインフレの
懸念がでてきます。インフレになれば、不動産は強い。つまり、値上がりして、円高に
よる目減りをカバーするわけです。
それに、アメリカでは、不動産を貸す場合、契約者に「消費者物価指数に連動する」と
いう項目を入れることが多いようです。こうした項目があれば、インフレを恐れることは
ありません。
これからは、資産を国際的に分散したほうがいい時代でもあります。企業によっては、
日本の法人税などが高いことを理由に、日本を脱出して、タックスヘイブンといわれる
税率が低いか、無税の国に逃げ出しています。
海外不動産投資が有利な点は、日本の国内に投資するよりも、投資効率がいいこと
があげられます。ここ2、3年の首都圏を中心とした地価の高騰は、投資金額を膨大に
させているうえに、不動産投資の利回りを低下させています。
投資利回りというのは、購入金額にたいして、年間賃貸料から諸経費を引いたもの
ですが、たとえば、東京周辺で土地を買ってビルやマンションを建てて、賃貸した場合、
投資利回り 年2%を割ってしまいます。高騰した地価に比例して賃貸料が上がった
わけではないからです。
これでは、投資する意欲が失せてしまいます。
ワイキキやロスアンゼルスでも、日本人の買収の急増によって価格が上昇し、多少投資
利回りは低下していますが、それでも、地域や立地条件まどを慎重に選択すれば、6%
から8%の投資利回りが得られます。
これから海外不動産投資を行うならば、まだ値上がりしていなくて、今後値上がりが見込
める場所を選ぶべきでしょう。たとえば、ハワイであれば、マウイ島、ハワイ島のコナ、ワイ
キキビーチ近くのディスカバリーベイやカンタベリーベイ、ワイキキビーチの反対側のコオ
リナ・リゾートが狙い目です。
ロスアンゼルスであれば、ビバリーヒルズは日本の投資が集中し、上昇しているので、
周辺。ニューヨークでも、マンハッタン以外の地域や、ニューヨーク州などには、これから
値上がりしそうな場所があります。 (166〜168ページ)
●海外不動産投資は節税メリットも高い
海外の物件は投資利回りが高いだけでなく、税金の面でも有利であるということがあり
ます。
建物の耐用年数は、日本の場合、住居用が60年、事務所が65年なのに比べ、アメリカ
の場合は、住居用が27.5年、事務所が31.5年と、減価償却費を多額に計上できるという
メリットがあります。
税率もアメリカのほうが低く、個人にたいする連邦所得税の最高税率が28%、法人に対
する連邦法人税が34%と、低率で有利になっています。
もちろんこの有利なアメリカ税法が適用になるのは、現地法人をつくった場合だけです。
ですから、本格的な投資をするならば、現地法人をつくることをおすすめします。
手続きは簡単で、1万ドル程度の資本金と、2000ドル前後の弁護士手数料がそのコスト
になります。
しかし、日本に居住する個人や法人が、アメリカの不動産に投資する場合、現地法人を
つくらず不動産を購入するのが普通でしょう。
このやり方で、賃貸し、収益を得ると、その所得に対しては、まずアメリカの税法によって、
連邦法人税、連邦所得税、州税、市税が課税になります。そして、これらの税金を差し
引いた残りの所得に、日本の税法が適用になり、法人税、所得税、住民税を合算します。
つまり、いったんはアメリカの低い税率が適用されるものの、最終的には日本の税法が
適用になるわけです。
だから、アメリカの税法の税率の低さや短い耐用年数を利用できません。それでも大きな
メリットがあるのです。それは日本では不動産の価格のなかで、償却の対象となる建物の
しめる割合は2割程度と非常に低い。ところが、アメリカの場合は逆で、建物の比重が8割
以上になります。
つまり、減価償却費が多いから、所得としては、マイナスになり、アメリカの連邦所得税や
州所得税を節税できるわけです。
海外不動産投資による不動産所得のマイナスは、日本国内のほかの所得と相殺される
ので、国内のリースマンションを買うよりも、アメリカのコンドミニアムに投資したほうが、
節税効果が大きいということになります。
利益がでてはじめて、節税効果がなくなったら、物件を買い足せば、節税効果を享受しな
がら、不動産運用ができます。
アメリカには投資物件が豊富だということがあげられるでしょう。一戸建て住宅、コンド
ミニアム、アパート、オフィスビル、ショッピングセンター、ホテル、倉庫などいろいろな投資
対象となる物件が揃っているので、予算に合わせた投資ができるメリットがあります。
(169〜172ページ)
●日本にいながらにして海外不動産投資が簡単にできる
では、どのようにして海外の不動産を買ったらいいかですが、いちばんいい方法は、自分
で現地に行って、リアルターとよばれる不動産仲介業者と直接交渉して購入することで
すが、やはり、現実的な方法となると、日本の大手不動産業者から海外の不動産を購入
する方法があります。三井不動産販売、長谷川工務店、西洋環境開発、センチュリー21
などは、自社の物件を販売するだけでなく、仲介もやっているので便利でしょう。
こうした、大手の業者から買う場合、現地で直接買うよりも、高めの値段がつけられている
し、手数料も2%程度かかる。しかし、その分、リスクと面倒がなくなると考えれば、当然の
コストではないでしょうか。
しかし、日本の大手の業者から物件を買う場合でも、自分の目で確かめたほうがいいで
しょう。それが無理でも、現地に住む(住んだことのある)友人や知人から、物件周辺の
環境、テナントの入居率などについての情報も仕入れたほうがいいでしょう。
さて、そのチェックポイントですが、土地神話にならされた感覚で判断すると、失敗すること
があります。日本では、土地自体が非常に価値をもっていますが、土地がふんだんにある
アメリカなどでは、土地自体にそれほどの価値はありません。
たとえば、日本では、地下鉄の駅にちかいと、「交通の便よし」ということで、評価が高いが
アメリカでは、低所得者が集まって、環境が悪くなるというので、避けられる傾向があり
ます。どんなにいい場所でも、低所得者層が流れ込んでくると、不動産の価値は下落する
ことが多いのです。
つまり、治安や環境や設備などの、いわば、ソフトが価値を生むのです。アメリカでは環境
が悪くなったり、テナントが入らなくなると、値を下げてしまうことがよくあるのです。
また、生活習慣の違いも大きい。日本では「日当たりがいい」ということで、南向きの物件
が好まれますが、アメリカでは逆です。アメリカは直接日光があたるのを嫌う傾向があり、
日差しによって家具がいたむということで、南向きは歓迎されないのです。
不動産にしろ、株にしろ、投資というのは、最終的には自分の責任において行うもので
あることを忘れてはいけません。(172〜174ページ)