高血圧症について![]()
かどた内科、門田富史
¶ はじめに
高血圧症が治療を必要とするその理由は、血圧を妥当な範囲内にコントロールすることにより、その脳、心臓、腎臓などへの合併症の予防をすることにあります。放置された高血圧患者さんは脳卒中、心筋梗塞などの重要な合併症を得て、初めてその恐ろしさに気付く人が多いようです。
高血圧の治療で、最近重要と考えられているのは、後述するように生活習慣(ライフスタイル)の改善ということです。しかし、医師により薬の服用が必要とされた場合は、それのみに頼っていたのではだめです。そのためには患者さんが、その必要性についてよく説明され、納得し、その上できちんと服薬できるものである必要があります。またそれにあたっては、患者さんはその薬の特徴や副作用について十分に説明されなければならないと思います。その結果、患者さんはよい生活の質(QOL:Quality
of Life)を維持できるわけです。
¶ 高血圧治療の必要性について
高血圧の診断と治療の手順が現在のようにまとまるまでには、国際的な大規模な研究がもととなっています。多くの人々のおかげという訳です。ここで重要なことは、洋の東西を問わず、その結果、治療により、脳卒中をはじめとする重要な合併症が、明らかに低下している、という厳然たる事実です。
¶ 高血圧症はどのように診断するか
高血圧症が診断されるのは、近年では検診で発見されることが多くなりましたが、依然診察室で他の病気で来院され、たまたま、または頭重感、耳鳴り、肩こりなどで受診し、見出されることも多いようです。軽症の高血圧症では症状もなく、そのまま見過ごされていることが多く、中等症以上でも症状がありながら、血圧のためと判らずに放置されていることもあります。
従って、中年の域に達した方は、必ず血圧を測定しておくことが必要です。異常な症状、即ち、皮膚の色つやが悪い、肥満、むくみなど、があるかどうかも自分で気をつけるのもよいでしょう。また家族に高血圧の方がいるか、自分の現在の環境でストレスがあるか、なども併せて重要です。
血圧測定は一度高くても、繰り返すうちに、また条件によって、下がることもあります。緊張や運動直後および食後、排便前などではあがります。少なくとも座ったままで5分は休んでから計りましょう。
私は、初めての患者さんに限らず自宅で血圧を時々計って頂くこともしています。
こうして収縮期(上の)血圧が、160以上または拡張期(下の)で95以上では、当面治療の対象となりますが、最近では下表のようにステージに分けた分類を行い、
分類
収縮期 拡張期 対処
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正常高値血圧
130-139 85-89 1年以内に再検査
ステージ1(軽症) 140-159 90-99 2ケ月以内に確認
ステージ2(中等症) 160-179 100-109 1ケ月以内に評価
ステージ3(重症) 180-209
110-119 1週以内に評価・治療
ステージ4(極めて重症)210- 120- 直ちに治療
まず正常高値血圧やステージ1〜2に対しては、ライフスタイルの改善を行ったのち、それで効果がみられないとき、服薬を行う、ステージ2程度はケースによりますが、ステージ2〜3以上は服薬、という考えもあります。一度服薬を始めた方は自分勝手に止めないことが、重要です。時に、服薬が不要になる方もいますが、それも医師の指導のもとに行いましょう。
上の表でお分かりのように、最近では、血圧コントロールの目標は、若年者・中年者・糖尿病患者は収縮期(上の血圧)を130mmHg未満、拡張期(下の血圧)を85mmHgに、確実に下げるのがよいとされます。但し、以下の点に注意しましょう。
¶ ライフスタイルの変更
高血圧において重要なのは、具体的な要素として:
a. 禁煙
b. 塩分摂取の制限(なるべく5または7g/日以下)
c. アルコールの制限(30g/日以下)
d. 病態(ステージ、性別、年齢、合併症即ち、糖尿病や高脂血症など)に応じた肥満やカロリーのコントロール
e. 運動不足の解消(例えば、楽なサイクリングや早歩きで、30〜60分を週3〜5回)
などです。この内、とくに禁煙が、合併症の予防にとても重要です。
¶ とくに高年者の高血圧について
従来から、特に80才以上の高年者の方への過度の降圧は、戒められていて、基本的には合併症の治療、予防が主目的で、血圧の管理は程々に、行っても徐々に数ヶ月をかけるようにするのが望ましいとされています。最近の考え方では、収縮期圧が180mmHg以上では160mHg未満に、160〜179mmHgでは20mmHg下げるのがよいとされます。
しかし、60才以上では降圧療法による有用性は、証明されており、また70〜84才での収縮期血圧180〜230mmHgの降圧療法は死亡率を43%減少させたという報告もあります。より若い人の降圧療法の必要性は当然です。従って、程度を考えた治療は必要です。
¶ 定期的な検査の必要性
高血圧治療中の患者さんは、経過中に胸写、心電図、尿一般沈渣、尿塩分、血液検査、眼底検査、心エコーなどを定期的に検査するのが望ましいです。また、多くの高血圧は本態性高血圧と呼び、従来原因が不明とされていたものですが、二次性高血圧といって、ある種の腫瘍などが体の中に発生し、それが原因で高血圧になることもあります。これが疑われる場合など、必要に応じ検査が必要です。
一病息災といいます。患者さんは説明をきちんと受け、同意をしたうえで、高血圧以外の病気でも命を縮めないよう、癌検診など全身の健康管理も受けて下さい。
当院では、患者さんの疑問にお答えいたします。お気軽にご相談下さい。