そのなかで一番視力のある、つまり一番よく見える場所が黄斑なんです。 この大事な黄斑を犯す病気がいくつもありますが、中でも親玉格がこの加齢黄斑変性です。しかも最近増えています。25年ほど前、私が医者になった頃は多くはありませんでした。日本が欧米化することによって増えている病気の一つであることは間違いありません。 黄斑変性とは、この網膜の中の黄斑にたちの悪い血管が生えてきて、出血する、そこを治そうとして細胞が働いているうちに、繊維性の変化が起きて、網膜の中が荒廃して固まってしまうといった病気です。 この方の場合は、今のところ片方だけ視力が落ちているので、片方だけなのかもしれませんが、左右ばらばらにおきます。私はよく火山にたとえるのですが、何回も爆発をくり返して起こして、やがて固まるといった経緯をたどります。 この方の0.3という左目が本当に休火山なのかという確定が問題で、また爆発があるかもわからないので、今後の治療方法は、爆発がありそうかどうか、まず定期的に診断してもらうことです。 3ヶ月が半年かそれは任せますが、そしてもう一つは自己判断です。早期発見を自分で判断するには、カレンダーの少し大きめの字のものを片目ずつ一定の距離から見ます。真ん中の14とか15などの数字を見ます。すると毎日同じところを見ていて、周囲の16が見えなくなった、また字が歪んできたとか、上の9がはっきりしてきた・・・などの違いが出てきます。これをはっきり医師に説明できることがよいのです。 大事なことはいつも同じ場所から見ていて、違いが出てきたら医師にその説明ができること、視野のどの辺が見えなくなったか、かすれたなど具体的に医師に説明できることです。何となく見にくいというより分かりが早いですね。 早期発見で駆け込み治療を受けることですが、時には医師も何もできない場合があります。それは黄斑部の真ん中部分だった場合、治療に使うのはレーザーですが、全部つぶしてしまうなんてのはできませんから。レーザーを一面にかけたら、大事な黄斑の能力を失う結果となり、ますます見えなくなるいう場合もままあるのです。しかしチャンスは早期発見にあり、うまく行けば、進行をくい止める場合もありますから。
例えば偏眼性の白内障だったらとか、ある程度視力のある白内障だったらどうするか、いろいろあります。昨今は眼内レンズをいれるのがずっと低年齢化してきて、場合に寄っては、赤ん坊のとき眼内レンズを入れてしまって、成長につれて目の大きさや度数が変わるので、ある程度大きくなったら、そのレンズを入れ替えていくという考え方がおきています。そしてもし患者が十歳ぐらいでしたら大人 の目になっているので、普通に眼内レンズを入れます。 最初に眼内レンズが登場したときは、30年ぐらいしか持たないのではと心配されました。60過ぎた人でないと入れないなんて時代がありました。最近はレンズは100年でももちますなんて時代になりました。 アトピーの子が白内障になる、またステロイドの長期投与の場合も白内障になりやすい、それから怪我が原因で起こるなど、若年性の白内障は少なくありません。この時期の白内障の進行は早くありませんが、手術の適応の問題と、視力の進行の問題がありますから、定期的な観察は必要です。また、この時期の子供はあまり訴えませんから、片方の目しか悪くない場合、子供は平気で過ごしています。日常の注意点は格別ないですね。片眼だと怪我しやすいということはありますが。
近視を弱めるためには、目の凸レンズ(角膜)を薄くする必要があります。眼鏡やコンタクトを使用せず、裸眼で見たいという人のために行われる手術です。角膜というのは、凸レンズの働きをしているので、この角度を少し平らにしてやると、近視が弱くなるのです。その度合いをコンピユーターで予め計算して、レーザーの光を当てて、角膜をある程度削ってしまう方法です。昨今はやっている方法 では、角膜の一番上の皮を剥がして、中を削り、またその皮を元に戻しておくということをします。 レーシックというのですが。これが一般的です。外来治療で、5分ほどで終わり、あまり痛くもないようです。そしてそのあとは何でもないように治ります。 私の評価は、皆さんが望まれた場合、0.7以上の裸眼視力でよければ、ほぼ100%うまく行きます。視力1.2を希望した場合だと、9割5分だと思います。手術を希望する人は、もともとコンタクトレンズを使ってよく見えている若い人が多いのです。この場合コンタクトレンズで、1.2あるいは1.5とよく見えているわけで、手術しても視力は0.7しかでないと分かればすごく不満なんですね。そこへまたコンタクトすれば1.5になるといっても納得しません。すごく要求度が高いので、結果には不満を抱くことが多いのです。 また初期には機械が不備だったこともあって、剥いた皮が飛んだとか、感染してしまったとかの事故がありました。しかし最近は減っていますがゼロではないようです。もともと健康だつた若者がこのために感染を起こして視野がまっ白になるなんて、一般の先生は一寸手が出せないのが、昨今は大都市中心に施設は増えつつあります。 保険は使えないので、一眼平均30万円位かかり、両眼だとその倍乱視の矯正にはもっとかかります。欠点としては私が思いますには、その人が現在20歳で受けたとして、30歳以後だんだん老眼になりますが、その時近くが見えない ということはどうなんでしょうか。 私は近眼ですので、遠近両用眼鏡をかけていますが、欝陶しいからといって眼鏡を外しても、近くはよく見えます。50歳になって老眼になって、近くが見えなくともいいのかなあと思います。 眼内レンズを入れる時は、今度は角膜の角度に合わせて入れるのですが、この手術した角膜の場合コンピューターで計っても合わないのです。正常の角膜ではないからです。もう一つ眼圧を計るのにこの角膜では数字がうんと低く出てしまうのです。もし緑内障になったしても、眼圧の測定がうまくできないのです。こういう点がちょっとどうかと思います。 もう一つの方法で、コンタクトレンズを装着後、視力が1.2に回復したというのをテレビでやっていました。これはオルソケラトロジーという方法です。硬いレンズを角膜の上に載せますと、角膜の形が変形することがあり、外すと元に戻ります。この方法を使って、少し大きめのハードコンタクトレンズを造って一晩角膜の上に載せますと、コンタクトの内側の力ーブに沿って角膜が力ーブするので、角膜の角度を変えることができる、これによって近視を一時的に治そうという考え方です。このいい点は、しばらくこのオルソケラトロジーをやっていても不都合があってやめると、角膜が元に戻ることです。 毎晩やっていて近視が治り、それをやめると元に戻る、これはいいことです。しかし日本では、角膜の専門家がまだ完全には認めていません。日本の眼科医師があまりかかわっていないからです。 アメリカで考えられたこの方法を日本に取り入れたのはある脳外科医で、眼科医ではなかったこと、個人個人にあうようにコンタクトレンズを設計して造るので、値段の設定が不透明で、純粋の医療とは認めがたいような場合があるなどがあげられます。まだ十分な検証がされていないのです。方法はいいかもしれないが、普及にはまだちょっと日がかかるということです。角膜を削ってしまうよりは いいと思われます。
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