秋端勉監修 魔女たちの世紀シリーズ第四巻

マーゴット・アドラー著
江口之隆訳

『月神降臨』

国書刊行会

絶賛発売中



コンピュータ

 ペイガン界でコンピューター関連の仕事をしている人のパーセンテージはどのくらいでしょうか? ペイガンあるいはクラフト哲学とコンピュータに対する関心のあいだにはどのような関係が存在するのでしょうか?
 回答は千差万別だった。質問自体が愚問――コンピュータとペイガニズムは水と油だから――という反応もあった。
ペイガン関係者の80パーセントがコンピュータを積極的に用いており、両者間には重要かつ驚くべき類似性があるという回答もあった。実践的な回答から秘教的な回答まで、どれも魅力的であった。

 「象徴思考とパターン化が魔術的思考の本質である。魔術同様、コンピュータも見えざる方法でタスクを遂行する」。「魔術同様、コンピュータもプロセスと論理性を要求するが、たまに論理を拒絶する」。「コンピュータはシジルのようだ」。「コンピュータはときどき生命体のように思える」。「コンピュータは変装した精霊である」。「
われらの文化の新たな魔法である」。「ペイガンたちは人間精神の産物を聖なるものと見なしはじめた。となれば、おおむね都会人という人にとってこれほど神聖なものがあろうか?」。「モデムをかませればコンピュータは未来からの神託である」。「汝、かの曖昧なる古代魔法語を学ぶがよい。されば汝は人の恐るる強大なる魔物を意のままに操ることが可能とならん」。「魔術はメタファーであり、その点プログラミングも同じである」

 「両者ともカルチャー的にちょっと傍流で、孤独で、創造的な思索家をひきつける」。「両者とも精神的ゲームに似ている」。「新しい考え方を身につけるのは大した手間ではない」。「両者とも権威を信用していない」。「両者とも先端を行くタイプである」。「
ペイガンは根っからの遊び好きであり、コンピュータほど限りなく面白いものもないから」。「コンピュータ人種とペイガンはともに社交技術に欠ける場合があり、家族関係等でつらい経験があったりする。それゆえに“ノーマル”な社会の代替物を求めるのだろう」

−−『月神降臨』本文より



ゲイ

 ジョディーはシャーマン系魔女術に何年も関わってきた人物であり、ゲイである。ラディカル・フェアリーズに出会うまでは、ゲイ・カルチャーには不満と怒りと幻滅ばかり感じたという。「さいしょわたしがカミングアウトしたとき、“これでようやく愛せる、セックスができる、自分自身を表現できる”と勢い込んだものだ。ところが多くの点でゲイ・カルチャーはわたしの欲求に応えられなかった。あれは多くの点でストレート・カルチャーの抑圧パロディー版だった。だいたいバーで始まって、やかましい音楽が鳴っていて、あまりしゃべってはいけないというのが決まりで、個人的な絆とか相手を気遣うとかも奨励されない。異性愛カルチャーの最悪の部分を模倣しているんだ。セックスするためには自分らしくふるまってはいけないというわけで、なんとも気に入らなかった。ゲイ・カルチャーはこの程度でベストなのかと思うと情けなかった」
 ジョディーはコロラドの山奥で開かれた第2回フェアリー集会に参加した。「到着したとき、故郷に帰ってきたとわかった。これがわたしのカルチャーだ、と。セックスするために他人になることのない人々がいる。大地と密接する形式で自らのセクシュアリティーを生きる人々がいたんだ」


 1985年のCOG大集会の際、バークシャーの森のなかでジョディーも同様の見解を語っていた。「いいかい、ウィッカ伝統が大部分破壊されたというのであれば、ゲイ霊性は完璧に削除されたといっていい。たとえば“ファゴット”という単語は薪の意味であり、またゲイを意味する。これを考えてみればわかるはずだ。われわれは魔女と一緒に燃やされたんだ。われわれの魔法は破壊された。屋内型儀式魔術のように保存されたわけじゃなかった」

−−『月神降臨』本文より


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(注)一流書店 ‐‐ 『月神降臨』を置いている書店のこと

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