秋端勉監修 魔女たちの世紀シリーズ第四巻

マーゴット・アドラー著
江口之隆訳

『月神降臨』

国書刊行会


作者本人いわく

「わたしは古代神話の美とヴィジョンを渇望しており、その欲求を満たしつつも洗脳や思考停止を要求しない祝祭型のエコロジー系自然宗教を捜し求めた結果、新ペイガニズムにたどりついた。不可知論者、無神論者、マルクス主義ヒューマニストの家系にあって、わたしはギリシャの神々を秘密崇拝する子供だった。しかしその後は60年代と70年代前半の政治に強く影響された。バークレーでは留置され、有罪宣告を受けた。シカゴでは催涙ガスをくらい、ミシシッピでは危うく死にかけた。さらにその後、ジャーナリストとして政治的法廷闘争やデモを取材し、キューバに2回、東ドイツに2回旅行した。やがてすべては関連していると理解するようになった。監獄であれ女神であれ、月光下の儀式であれ政治運動や分析であれ、わたしはすべて拒否したことがないのである」
−−『月神降臨』本文より



新ペイガンとは

「新ペイガンは聖域に住んでいるわけではない。大部分は都市のアパートや郊外の家屋に居住している。農村や農場で生活している人は一部だが、増加傾向にはある。土地を購入してペイガン・サンクチュアリーを造ろうという真剣な動きもあるが、ペイガン運動はやはり現代世界の枠内で生活する人の運動である。ウィッカ司祭の神殿はたいてい自宅、裏庭、近所の公園あたりである。高度に組織化されて資金が潤沢にあるグループに入信した人間とはちがい、新ペイガンは宗教共同体で暮らすことはしない。世俗を離れない。新ペイガンワールドで生きることをしない。たいていごく“普通の”職についていて、普通の家庭を持ち、ごく普通の生活を送っている」
−−『月神降臨』本文より


時に過激に

−−昨今のペイガン雑誌をざっと眺めた印象としては、魔女は「政治的にリベラルないしリベルタリアン」「フェミニスト」「反ヒエラルキア」「鯨を救え」「同性愛容認」である。真相はというと、「核で鯨をぶっ殺せ型“田舎者はとっとと石器時代に戻れ”系右翼」魔女はこの手の「左翼くずれのホモ系雨後の竹の子魔女のアナーキスト的“鳥かごの糞受けくらいしか使い道のない”アングラ雑誌」など予約購読しないというだけである。次にあげるものは魔女たちが意見の一致を見ていない項目の一例である。
 堕胎と産児制限。動物の権利。占星術。環境至上主義。外交政策。核武装。核エネルギー。婚前性交渉。政治。レーガン大統領。娯楽目的での薬物使用。菜食主義。信じようと信じまいと、最古のウィッカ流派には女神など崇拝しないものまであるのだ! もちろん仲間の魔女になにを説こうと自由であるが、全員がその種の見解を有していると想定するのは愚行である。
魔女たちはクリスチャンと同様、十人十色なのである。
−−『月神降臨』中引用文より



アーシュラ・K・ル・グインいわく

「すばらしい。尊敬する。夢中になる。マーゴット・アドラーはなんと困難な作業を引きうけたのだろう。そして見事に、公平に、魅力的にやってのけたのだ」
−−増補改訂版裏表紙宣伝文より



『月神降臨』、2003年11月末刊行予定!


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